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サステナビリティ課題領域

重点項目

課題認識

不二製油グループは、農産物を主原料とする事業特性から、森林、土壌、水、生態系サービスなどの自然資本に大きく依存して事業活動を行っています。一方で、原料生産や調達を含むバリューチェーン全体を通じて、土地利用の転換や森林・生態系の劣化など、生物多様性に影響を与える可能性があることも認識しています。
近年、気候変動や自然資本の劣化、生物多様性の喪失が加速する中、生態系サービスの低下や自然関連リスクの顕在化が世界的な課題となっています。こうした変化は、原料の品質変動や調達の不安定化を通じて、当社グループの事業継続および中長期的な企業価値に影響を及ぼし得ます。
また、市場や顧客、投資家、規制当局などからは、自然資本への依存と影響を踏まえた、より実効性の高いリスク管理や情報開示が求められています。当社グループは、地域ごとに異なる自然環境や生物多様性の特性を踏まえつつ、主原料であるパーム油やカカオなどを中心に、バリューチェーン上の自然関連リスク※1・機会※2を適切に把握し、負の影響の回避・低減とともに、保全・回復につなげていくことを重要な経営課題と位置づけています。
このような取り組みを通じて、自然関連リスク・機会への対応を強化し、生物多様性の保全と回復に貢献するとともに、ネイチャーポジティブの実現および事業のレジリエンス向上を目指していきます。

  • ※1 自然関連リスク:組織およびより広範な社会の自然への依存やインパクトから生じる、組織にもたらされる潜在的な脅威。
  • ※2 自然関連機会:自然にプラスの影響を与えたり、マイナスの影響を軽減したりすることで、組織や自然にとってのプラスのアウトカムを生み出す活動。

リスク管理の取り組みGRI:101-2,101-4,101-5

当社グループ全体における環境マネジメント上のリスク管理の考え方および、バリューチェーン上の自然関連リスク・機会への対応については、以下をご確認ください。

課題領域「環境に配慮したものづくり」全体に関するリスク管理については、以下をご確認ください。

課題領域「サステナブル調達」に関するリスク管理については、以下をご確認ください。

自然関連リスクの特定GRI:101-4

当社グループは、生物多様性の保全と回復に関するリスクおよび機会について、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)が提唱するLEAPアプローチ※に基づき、段階的かつ体系的に把握・評価しています。自然資本への依存および事業活動による影響を踏まえ、バリューチェーン全体を対象に、自然関連リスクおよび機会を特定し、経営上の重要性の観点から管理しています。

2022年度には、原料生産から製造・販売に至るバリューチェーン全体を対象に事業活動と自然・生物多様性との関係性を整理し、LEAPアプローチの「L:Locate」「E:Evaluate」に基づき、自然への依存と影響の全体像を把握しました。その上で、自然資本リスク評価ツールであるENCORE等を活用し、「ステークホルダーが対応を期待する自然項目」と「当社グループの事業への影響が大きい自然項目」の2軸で評価を行い、重要な自然関連リスクと関連する原材料を抽出しました。
その結果、「土地利用の転換と土壌の利用」「農地周辺の生態系への影響」「GHG排出と気候変動」「水資源の利用と排水」が、特に重要な自然関連課題として特定され、これらが主原料であるパーム油およびカカオのサプライチェーンとの関係性が高いことが判明しました。

これらの分析結果を踏まえ、当社グループでは、抽出された自然関連リスクと機会を評価(LEAPの「A:Assess」)し、戦略の策定および施策の実行(LEAPの「P:Prepare」)につなげています。詳細については、「環境マネジメント」に掲載の「不二製油グループのバリューチェーン上の自然関連リスク・機会」および後掲の「生物多様性の課題解決に向けた取り組み」をご参照ください。

パームおよびカカオの自然関連リスク分析結果GRI:101-4

2023年度は、自然関連リスクをより具体的に把握するため、TNFD LEAPアプローチに基づき、詳細なリスク分析(L3、L4、E2、E3、E4に該当※1)を実施しました。
2022年度に実施した全事業を対象とした重要度評価の結果を踏まえ、特に自然生態系への依存および影響が大きく、地域特性の把握がリスク管理上重要であるパームおよびカカオの生産国・生産地域を対象に分析を実施しました。本分析では、複数の自然関連分析指標※2と地理情報システム(GIS)を活用し、ロケーションベースで評価を行いました。

その結果、パームおよびカカオの生産国において、洪水リスク等の自然災害リスクならびに、生態系の観点から重要な原生林、泥炭地、マングローブ、湿地などの地域が農園へと改変されることによる自然へのインパクトが相対的に高いことを確認しました。

なお、本分析における「重要度」は、複数の指標に基づき評価した、生産国における一般的なパームまたはカカオの自然への依存とインパクトの大きさを示すものです。本分析で特定された自然関連リスクは、当社グループのバリューチェーンに限った特有のリスクではなく、生産国における一般的なリスクです。なお、事業戦略上の観点から、具体的な地域や地名の開示は控えています。

  • ※1 LEAPアプローチは、Locate(自然との接点の特定)、Evaluate(依存・インパクトの評価)、Assess(リスク・機会の評価)、Prepare(対応と開示の準備)の4つのプロセスで構成されています。L3、L4、E2、E3、E4は、本分析で実施したLEAPアプローチの各評価ステップを示しています。詳細はTNFD LEAPアプローチガイダンスをご参照ください。
  • TNFD LEAPアプローチガイダンス(英語)
    https://tnfd.global/publication/additional-guidance-on-assessment-of-nature-related-issues-the-leap-approach/
  • ※2 自然関連分析指標:IBAT, KBA(Key Biodiversity Areas), Global Forest Watch, NASA(earth data), The World Agroforestry Centre (ICRAF), EarthStat, Aqueduct, Indigenous & Community Land Mapほか。

表:分析ステップ

Step 1 農地空間データ整備 グローバルスケールの農地空間データおよび当社グループ調達国の農地空間データを収集・整備
Step 2 文献調査 国際機関のレポートや論文などの資料文献を精査。精査後、パームやカカオと関係性の深いインパクト要因、自然の状態、生態系サービスを特定し、それに基づき突合するGISデータなどを選定
Step 3 農地空間データでの分析 パーム・カカオ生産国の農地を対象に、自然関連分析指標となる各GISデータを用いて分析
Step 4 空間データ画像の作成 Step 3の分析結果の画像を出力
Step 5 結果整理 優先地域を選定(自然生態系への依存度や影響度が高く優先的に対応する地域)、注意すべき観点(モニタリングやサステナブル調達の上での重要な観点)を整理

表:パーム生産国における自然関連リスク分析結果

◎:重要度が高い、〇:重要度が中程度、△:重要度が低い、×:データ不足等

画像からPDFファイルへリンクします(1.92MB)

自然への依存(パーム油)

自然への依存の観点では、洪水リスクの重要度が高いことが明らかになりました。
また、タイおよびインドネシアの一部の地域において水ストレスが高い状況にあることに加え、インドネシアの一部では水質浄化の生態系サービス機能を上回る形で、窒素による水質汚染が進行している可能性が確認されました。
これらの水関連リスクは、原料生産の安定性や中長期的な調達の確実性に影響を及ぼす要因になり得ると認識しています。

自然へのインパクト(パーム)GRI:101-5

自然へのインパクトの観点では、原生林、泥炭地、マングローブ、湿地など、生態系の観点から重要度の高い土地が農園へ改変されることによる影響の重要性が高いことが確認されました。特に、泥炭地の開発は、温室効果ガス(GHG)の排出や大気汚染の観点からも影響が大きいことが判明しました。
また、インドネシアの一部地域は、泥炭地・マングローブ・湿地、森林火災といった複合的なリスクの観点から広い視点で注意が必要な地域であることが明らかになりました。加えて、インドネシアの別の地域では、原生林や泥炭地、湿地との重複の可能性が高いことも確認されました。
保全優先度や保護地域の観点からは、タイ南部や東マレーシア北部が特に重要な地域であり、汚染などが発生した場合、周辺の生態系に与えるインパクトが大きいことが想定されます。ロケーション分析結果から、当社グループが2016年から継続的にWild Asiaと協働で小規模農家を支援している東マレーシア北部は、保全優先度が高い地域であることが改めて確認され、現地への環境再生型農業導入の意義を再認識しています。
近年、インドネシアやマレーシアの一部の地域で森林減少が進行しています。2018年からインドネシアのスマトラ島で展開しているランドスケープ活動地域は、自然保護区またはIUCN保護地域管理カテゴリのⅠ・Ⅱに該当する種が存在し、先住民も多く居住するセンシティブな地域である一方、スマトラ島の中でも樹木被覆減少率が限定的であることを確認しました。
一方、2022年から参画しているマレーシアのサザン・セントラル・フォレスト・スパイン・ランドスケープ活動地域では、樹木被覆減少率が大きく、生物多様性の重要性が高い地域であることが分かりました。生産地域全体の持続可能性にポジティブなインパクトを生み出すため、引き続き、これらのランドスケープ活動に取り組んでいきます。
なお、先住民・コミュニティの観点では、インドネシアの一部地域において注意が必要なことが分かり、自然環境への影響と併せて、地域への配慮を含む包括的な対応が重要であると認識しています。
マレーシア、インドネシアでのランドスケープアプローチについては、下記をご参照ください。

図:パームに関する主な依存とインパクトの関係図

画像からPDFファイルへリンクします(207KB)

自然関連リスクの特定とモニタリング(パーム)

上記のロケーション分析により、生態系の観点から重要度の高い土地が農園へ改変されることによる自然へのインパクトの重要性を改めて認識しました。この分析結果は、当社グループが2016年より掲げているNDPE(森林破壊ゼロ、泥炭地開発ゼロ、搾取ゼロ)の方針と取り組みの妥当性を裏づけるものです。
具体的には、以下の取り組みを通じて、自然関連リスクの特定および継続的なモニタリングを実施しています。

  • 農園までのトレーサビリティの確保
  • 衛星写真を活用した森林状況のモニタリング
  • 高保護価値(HCV)および高炭素貯蔵(HCS)地域の特定と管理

具体的な取り組みについては、以下をご参照ください。

表:カカオ生産国における自然関連リスク分析結果

◎:重要度が高い、〇:重要度が中程度、△:重要度が低い、×:データ不足等

画像からPDFファイルへリンクします(1.76MB)

自然への依存(カカオ)

自然資本への依存の観点では、洪水リスクに加え、土壌・堆積物の保持、土壌の質の維持の重要性が高いことが確認されました。土壌侵食は洪水リスクをさらに増大させる要因となり得るほか、土壌が薄い地域において洪水や土壌侵食が発生した場合、土壌の質にも深刻な影響を及ぼす可能性があります。
こうした指標はコートジボワールの一部の地域において高い傾向が見られ、自然災害リスクおよび土壌の肥沃度の観点から、原料生産の安定性や中長期的な調達に影響を及ぼし得るリスクとして認識しています。

自然へのインパクト(カカオ)GRI:101-5

自然へのインパクトの観点では、西アフリカにおいて、原生林、泥炭地、湿地など生態系の観点から重要度の高い土地が農地へ転換されることによる影響の重要性が高いことが明らかとなりました。特に泥炭地の開発は、温室効果ガス(GHG)の排出や大気汚染の観点からもインパクトが大きく、これらの要素が重複する場合には一層注意が必要です。
またコートジボワールの一部において、農地がIUCN保護地域管理カテゴリⅡに該当する保護地域と重複している可能性が確認されました。ロケーション分析の結果を踏まえ、生態系の十全性の観点から、森林モニタリングの重要性を改めて認識するとともに、ガーナおよびコートジボワールで展開している植樹活動が果たす意義を再認識しました。
ガーナ、コートジボワールにおける具体的な取り組みについては、以下をご参照ください。

図:カカオに関する主な依存とインパクトの関係図

画像からPDFファイルへリンクします(202KB)

自然関連リスクの特定とモニタリング(カカオ)

上記のロケーション分析により、森林や生態系の観点から重要度の高い土地が農地へ改変されるリスクが存在することを確認しました。これらのリスクに対応するため当社グループは以下の取り組みを通じて、自然関連リスクの特定および継続的なモニタリングを実施しています。

  • トレーサビリティの向上: サプライヤーと連携し、直接調達先の農園のポリゴンマッピングを整備
  • 森林状況のモニタリング(コートジボワール、ガーナ、エクアドル): 農園ポリゴンマップに基づき、衛星画像を活用して森林被覆の変化や森林破壊の有無を継続的に監視
  • 炭素動態の把握:農園および周辺地域における炭素の増減や炭素隔離の状況をモニタリング

具体的な取り組みについては、以下をご参照ください。

生物多様性の課題解決に向けた取り組み

当社グループは、農産物を主原料とするバリューチェーン全体を通じて、自然・生物多様性への依存と事業活動によるインパクトの双方を踏まえ、ネガティブインパクトの回避・低減に加え、自然の保全・回復および価値創出につながる取り組みを推進しています。
これらの取り組みは、自然関連リスクの適切な管理とともに、ネイチャーポジティブの実現を目指すものです。
下図は、当社グループの主な取り組みを、ミティゲーション・ヒエラルキー※1とバリューチェーンの各段階に沿って整理しています。

表:ミティゲーション・ヒエラルキーに基づく生物多様性への取り組みとサプライチェーン上の位置づけ

主な目的 具体的な取り組み バリューチェーン
回避 森林破壊・生態系改変の未然防止 衛星写真による森林状況モニタリング
保護価値の高い森林(HCV※2)や高炭素貯蔵(HCS※2)の特定と保護
パーム油、カカオ
水資源の保全 Aqueductによるグループ事業拠点の水リスク分析 不二製油グループ事業拠点
低減・最小化 農地・周辺生態系への環境負荷低減 農業生産工程管理(GAP※3)、生態系を活かした有害生物・害虫管理、RSPO認証油の拡大
小規模農家の環境再生型農業導入支援
パーム油
アグロフォレストリー導入支援
農業生産工程管理(GAP)導入支援
カカオ
事業所・周辺地域への環境負荷低減(GHG、廃棄物、水資源) 省エネや再生可能エネルギー導入によるCO2排出量の削減
搾油後副産物の燃料利用
工程改善や汚泥の含水率低減による廃棄物量の削減
節水・水のリサイクル
不二製油グループ事業所
回復・復元 森林・生態系の再生と回復 植樹、緑地保全 パーム油、カカオ、シアカーネル
ランドスケープイニシアチブへの参画 パーム油
ポジティブな成果 資源循環・土壌改善 清掃工場で回収したCO2(CCU)を活用した大豆育成研究
加工工程で副生される大豆ホエイをアップサイクルした土壌改良剤の開発と普及
不二製油グループR&D
自然・生物多様性への正の価値創出 油脂酵母によるパーム油代替油脂の開発
えんどう繊維の高度利用による機能性食品素材の開発
不二製油グループR&D
ステークホルダー・エンゲージメント ステークホルダーの意識啓発、キャパシティビルディング サプライヤーや地域コミュニティに向けた方針の周知、自然関連課題の改善エンゲージメント パーム油、カカオ、大豆、シアカーネル他
サプライヤーに向けた労働環境改善プログラム導入 パーム油
女性農家のエンパワーメント、女性農家向け緑地管理研修 カカオ、シアカーネル
社内コミュニケーションサイト(日本語・英語・中国語・ポルトガル語)での啓発
サステナビリティ研修
不二製油グループ共通
  • ※1 ミティゲーション・ヒエラルキー:環境保全措置を検討する際の優先順位または階層。回避、低減(最小化)、回復/復元、オフセットの順で自然への影響の緩和を行うこと。
  • ※2 HCV/HCS: High Conservation Value(高保護価値)/High Carbon Stock(高炭素貯蔵)。
  • ※3 GAP: Good Agricultural Practices(農業生産工程管理)。

指標と目標GRI:101-1

環境ビジョン2030/2050

中長期コミットメント 基準年度 2030年度目標 2050年度目標 2025年度実績
GHG排出量削減 2020年度 スコープ1+2※142%削減 ネットゼロ※5 CO2の排出削減
スコープ3※2(カテゴリ1)※325%削減
FLAG※430.3%削減 -
水使用量削減 2020年度 水使用量原単位※620%削減 - 水使用量の削減
廃棄物量削減 2016年度 廃棄物量原単位※710%削減 - 廃棄物の削減
資源リサイクル(日本国内グループ会社) - 再資源化率99.8%以上維持 -
  • ※1 スコープ1: 事業者自らによる温室効果ガスの直接排出、スコープ2: 他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
  • ※2 スコープ3: 事業者の活動に関する他社の排出(カテゴリ1~15)
  • ※3 スコープ3(カテゴリ1): 原材料・資材等に係る温室効果ガス排出のうち、FLAG関連排出を除いた非FLAG排出のみを対象
  • ※4 FLAG(Forest, Land and Agriculture):土地利用の変化、農業・土地管理、炭素除去に関連する温室効果ガスの排出および吸収
  • ※5 ネットゼロ:排出量と除去量のバランスがとれ、大気中へのGHG排出量が正味ゼロの状態のこと
  • ※6 水使用量原単位:生産量当たりの水使用量
  • ※7 廃棄物量原単位:生産量当たりの廃棄物量

主原料生産国における自然関連目標

中長期コミットメント 2025年度目標 2030年度目標 2025年度実績
パーム油SC※1のNDPE※2 森林破壊と土地転換フリー(DCF※3)100%
搾油工場までのトレーサビリティ(TTM):100%
農園までのトレーサビリティ(TTP)100% パーム油のサステナブル調達
カカオSCの森林破壊防止と森林の保全、農家の生活環境改善 植樹50万本 植樹100万本 カカオのサステナブル調達
大豆SCの森林破壊ゼロ、搾取ゼロ 第一次集荷場所までのトレーサビリティ確保、またはRTRS※4認証品もしくはRTRS認証に準じたその他認証品での調達率:100% コミュニティレベルまでのトレーサビリティ確保、またはRTRS認証品もしくはRTRS認証に準じたその他認証品調達率:100% 大豆のサステナブル調達
シアカーネルSCの緑地保全と森林破壊ゼロ 植樹6,000本/年 植樹6,000本/年 シアカーネルのサステナブル調達
  • ※1 SC:サプライチェーン
  • ※2 NDPE:No Deforestation, No Peat, No Exploitation(森林破壊ゼロ、泥炭地開発ゼロ、搾取ゼロ)
  • ※3 DCF:Deforestation and Conversion Free(森林破壊および土地転換ゼロ)
  • ※4 RTRS:Round Table on Responsible Soy Association(責任ある大豆に関する円卓会議)

バイオ炭による土壌への炭素貯留(マレーシア・サバ州)

当社グループは、マレーシア・サバ州において、Wild Asiaとの協働を通じて、小規模農家による環境再生型農業の導入支援に取り組んでいます。2025年度は、バイオ炭の活用を含む再生型農業の取り組みを対象に、生物多様性の保全・回復および気候変動緩和への貢献を定量的に把握するため、以下の指標に基づき実績を整理しました。

指標 2025年度実績(1–12月)
環境再生型パーム農園面積 66ha
パーム農園でのバイオ炭施用量 17t
バイオ炭施用によるCO2貯留量 35t-CO2eq

本重点項目の目標と実績

〇:目標に対して90%以上達成、△:目標に対して60%以上達成、×:60%未満

2025年度目標 2025年度実績 自己評価
TNFDコア開示指標を参考とした生物多様性に関する追加的な開示候補の検討 マレーシア・サバ州のパーム油小規模農家における再生農業の一環として、バイオ炭活用によるGHG固定量を定量的に算定し、サステナビリティレポート2026で開示 ○

考察

2025年度は、TNFD開示指標を念頭に、自然への効果を定量的に示すことが可能な当社グループの取り組みについて整理しました。その中で、マレーシア・サバ州において支援しているパーム油小規模農家による再生農業の実践に着目しました。
これらの農地では、バイオ炭を施用により土壌環境の改善を図るとともに、国際的な算定基準である Global Artisan CSink Standard※に基づき、土壌への炭素貯留量を算定することで、CO₂固定量を定量的に把握できました。
対象規模は限定的ではあるものの、本取り組みはTNFDコア開示指標に準じた定量情報の開示につながるものです。

Next Step

他の地域や原料サプライチェーンにおいても、自然関連の影響を定量的に把握・開示する可能性を検討していきます。

具体的な取り組み

ランドスケープイニシアチブ(インドネシア・アチェ)

当社グループは、2018年よりインドネシア・アチェ州においてEarthworm Foundationと連携し、アチェ地域を対象としたランドスケープイニシアチブに参画しています。本取り組みは、生物多様性において重要性が高いルーセルエコシステム(Leuser Ecosystem)と呼ばれる生態系を含む地域において、森林減少の抑制と、持続可能なパーム油生産、自然保全、適切な社会・労働慣行の両立を目指すものです。
対象地域は約230万ヘクタールにおよび、天然林、農地、小規模農家の生産地域を含む広域なランドスケープ単位で、多様なステークホルダーが連携する協働プラットフォームとして運営されています。本取り組みは、個々の農園単体ではなく、地域全体の環境・社会課題を統合的に捉え対応する点に特徴があります。

2025年度は、地方政府と連携したマルチステークホルダーフォーラムの構築や、先住民族・地域コミュニティ(IPLC)の土地・森林ガバナンスに関する権利保護、土地利用計画の推進などを通じて、保全優先度の高いエリアの特定と管理が進展しました。これにより、現地の規制やHCV・HCSなどの国際基準に基づき保護される森林・生態系の面積が拡大し、生物多様性の保全および生態系機能の維持・回復に寄与しています。加えて、地域主体による森林再生や保全活動、小規模農家に対するGAP研修、生計多角化支援なども進展しており、森林・生態系の保全と地域社会の持続可能な発展の両立を図ることで、ランドスケープ全体のレジリエンス向上に貢献しています。
詳細は「パーム油のサステナブル調達」をご参照ください。

表:APTランドスケープイニシアチブ(インドネシア・アチェ州)

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ランドスケープイニシアチブ(マレーシア半島、サザン・セントラル・フォレスト・スパイン: SCFS)

当社グループは、2022年よりEarthworm Foundationを通じて、マレーシア半島のサザン・セントラル・フォレスト・スパイン(SCFS)におけるランドスケープイニシアチブに参画しています。同地域は生物多様性の観点から重要な森林回廊を有しており、森林減少の抑制と持続可能なパーム油生産、地域社会の発展の両立を目的としています。
本取り組みは、企業、行政機関、地域コミュニティなど多様なステークホルダーとの連携のもと、衛星モニタリングやトレーサビリティの向上、人と野生動物の共存、小規模農家の生計向上支援などを統合的に推進する点に特徴があります。
2025年度は、衛星技術を活用したモニタリングとステークホルダーとのエンゲージメントを通じて森林減少の抑制が進展するとともに、人と野生動物の共存プログラムの展開や、先住民・地域コミュニティの慣習的土地に関する権利の正式な申請プロセスが進展しました。
これらの取り組みにより、生物多様性の保全と生態系の連結性の維持に寄与するとともに、地域全体の持続可能性向上につながっています。
詳細は「パーム油のサステナブル調達」をご参照ください。

表:サザン・セントラル・フォレスト・スパイン(SCFS)ランドスケープ(マレーシア半島)

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