CO2の排出削減
サステナビリティ
経営
ESGマテリアリティ
環境に配慮したものづくり
サステナビリティ課題領域
重点項目
課題認識
気候変動への対応を巡る国際的な議論は、近年、目標や方針を掲げる段階から、各国の取り組みをいかに実行し、その進捗を確認していくかという段階へと移行しています。パリ協定10周年の節目となる2025年に開催された国連気候変動枠組条約第30回締約国会議(COP30)においても、各国が掲げる排出削減目標と実際の削減ペースとの乖離が改めて認識されました。併せて、削減策を着実な実施につなげることの重要性や、排出量の進捗を把握するための透明性の確保が強調されました。
一方で、気候変動対策を取り巻く政策や規制の動向は地域によって異なり、先行きの不確実性も高まっています。しかしながら、気候変動そのものがもたらす影響は、既に課題として顕在化しており、企業には中長期的な視点に立った対応が求められています。
農産物を主原料とし、世界各地の生産拠点でエネルギーを使用し、自然の恩恵を受けながら事業を展開する不二製油グループにとって、温室効果ガス(GHG)排出量の削減を含む気候変動への対応は、事業の前提条件に関わる重要な課題であると認識しています。
リスク管理の取り組みGRI:102-4,103-1
温室効果ガス(GHG)排出量削減目標が「SBT1.5℃」認定を取得
不二製油(株)は、サステナブルな食の未来の実現を目指し「不二製油グループ環境ビジョン」で設定したGHG排出量削減目標において、2025年12月にSBTイニシアチブ※1から科学的根拠に基づいた目標であるとして 「SBT1.5℃」認定を取得しました。
今回認定を取得した、当社グループのGHG削減目標は、以下のとおりです。
Near-term(短期)目標
- スコープ1※2+スコープ2※3:2030年度までに温室効果ガス総排出量を42.0%削減(2020年度比)
- スコープ3(カテゴリ1)※4:2030年度までに「購入した製品・サービス」由来の温室効果ガス総排出量を25.0%削減(2020年度比)
- FLAG※5:2030年度までにFLAG温室効果ガス総排出量を30.3%削減(2020年度比)

今回認定を取得した温室効果ガス排出量削減目標では、削減対象を従来のCO2から、温室効果ガス(GHG)全体へと拡大、スコープ1+スコープ2の短期目標において WB2℃水準※6から1.5℃水準※7へと目標を引き上げました。さらに、新たにFLAG排出量の短期目標を設定しています。
- ※1 SBTイニシアチブ (Science Based Targets initiative):CDP、国連グローバル・コンパクト、世界資源研究所(WRI)、世界自然保護基金(WWF)の国際的な共同イニシアチブ
- ※2 スコープ1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(当社グループにおける国内外の製造拠点・事業所において、燃料の燃焼や製造プロセスなどから直接排出される温室効果ガスを対象とする)。
- ※3 スコープ2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出(当社グループにおける国内外の製造拠点・事業所で使用する、電力や蒸気など購入エネルギーの使用に伴う温室効果ガス排出を対象とする)。
- ※4 スコープ3(カテゴリ1):購入した原材料・資材の製造段階におけるGHG排出量を対象とする(当社グループにおける、原材料・資材等に係る温室効果ガス排出のうち、FLAG関連排出を除いた非FLAG排出のみを対象とする)。
- ※5 FLAG(Forest, Land and Agriculture):森林・土地・農業セクターに関連する温室効果ガス排出(当社グループにおける、パーム油や大豆などの農産物原料の生産段階における排出を対象としており、原料生産地での土地利用の変化、農業・土地管理、炭素除去に関連する温室効果ガスの排出および吸収を含む)。
- ※6 WB2℃水準:世界全体の平均気温上昇を産業革命前に比べて2℃を十分に下回る水準に抑えるため SBTイニシアチブ が定める科学的根拠に基づいた目標基準。
- ※7 1.5℃水準:世界全体の平均気温上昇を産業革命前に比べて1.5℃に抑えるため SBTイニシアチブ が定める科学的根拠に基づいた目標基準。
指標と目標GRI:102-4,103-1,302-4,305-5
当社グループは、2025年、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が推奨する1.5℃目標と整合した削減目標「環境ビジョン2030/2050」※を新たな目標として定めました。
| 2030年度目標※1 (グループ全体) |
2025年度実績※7 | 2030年度目標の 達成率 |
|---|---|---|
| スコープ1※2+2※3総量 42%削減 | 19.9%削減※8 | 47% |
| スコープ3※4(カテゴリ1※5) 25%削減 | 11.7%削減 | 47% |
| FLAG※6 30.3%削減 | 14.2%削減 | 43% |
- ※1 基準年度:2020年度。
- ※2 スコープ1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出。
- ※3 スコープ2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出。
- ※4 スコープ3:事業者の活動に関する他社の排出(カテゴリ1~15)。
2025年度:IDEA ver3.5.1係数を用いて算定。 - ※5 スコープ3(カテゴリ1):原材料・資材等に係る温室効果ガス排出のうち、FLAG関連排出を除いた非FLAG排出のみを対象。
- ※6 FLAG(Forest, Land and Agriculture):土地利用の変化、農業・土地管理、炭素除去に関連する温室効果ガスの排出および吸収。
- ※7 グループ全体のうち、プロヴァンス ユイル(フランス)は除く。グループの対象は、2026年3月末時点。
-
グループ会社一覧
https://www.fujioil.co.jp/pdf/sustainability/download/esg2026.pdf#page=13(1.17MB)
- ※8 不二製油グループの削減目標対象はGHG排出量であるが、CO2が全体の94%(2025年度実績)を占めるため、主たる排出源であるCO2排出量の実績を記載。
〇:目標に対して90%以上達成、△:目標に対して60%以上達成、×:60%未満
| 2025年度目標 | 2025年度実績 | 自己評価 | |
|---|---|---|---|
| スコープ1+2排出量 削減レベルの向上 |
省エネ活動や再生可能エネルギー導入の継続的推進 |
|
〇 |
| 国内グループ会社へのエネルギー管理の取り組み調査 | 各社の取り組み状況を確認し、課題を抽出。課題解決に向けた対応を実施 | 〇 | |
| 海外グループ会社へのインターナルカーボンプライシング制度導入促進 | 海外グループ会社7社に対してインターナルカーボンプライシングのトライアル導入を開始 | 〇 | |
| スコープ3(カテゴリ1)排出量削減レベルの向上 | サプライヤーエンゲージメントの継続的実施 | 国内外サプライヤー30社に対し、オンライン面談やアンケートなどを通じてエンゲージメントを実施 | 〇 |
| FLAG | 削減手法の情報収集 | 削減施策に関する外部ヒアリングを通じた情報収集と蓄積 | 〇 |
考察
スコープ1+2
スコープ1+2のCO2排出量は、2025年度実績で基準年度(2020年度)比19.9%削減となりました。これは前年の14.5%削減から5.4ポイント好転しています。この結果、2030年度目標に対する達成率は47%となりました。
スコープ3(カテゴリ1)
スコープ3(カテゴリ1)のGHG排出量は、2025年度実績で基準年度(2020年度)比11.7%削減となりました。これは前年の7.7%削減から4.0ポイント好転しています。この結果、2030年度目標に対する達成率は47%になりました。
FLAG
FLAGのGHG排出量は、2025年度実績で基準年度(2020年度)比14.2%削減となりました。ただし、前年の16.6%削減から2.4ポイント悪化しています。この結果、2030年度目標に対する達成率は43%になりました。
Next Step
当社グループはスコープ1+2及びスコープ3(カテゴリ1)の排出量において、基準年度から順調に削減しています。脱炭素社会の実現と目標達成に向け、以下の活動に取り組みます。
- スコープ1+2排出量削減に向けた取り組み
- 環境監査の実施にあたっては、オンライン形式を適宜活用しつつ、可能な限り実地での監査を重視し、設備状況や運用実態を現場で直接確認することで課題の的確な抽出および是正につなげ、PDCA(Plan-Do-Check-Action)を確実に実行する
- 省エネ活動や再生可能エネルギー導入の継続的推進
- 国内グループ会社へのエネルギー管理の取り組み調査
- 海外グループ会社へのインターナルカーボンプライシング制度導入促進 - スコープ3(カテゴリ1)排出量削減に向けた取り組み
サプライヤーエンゲージメントの継続的実施 - FLAG排出量削減に向けた取り組み
削減手法の調査・情報収集および導入検討の推進
具体的な取り組みGRI:102-4
当社グループでは、「環境ビジョン2030/2050」の目標達成に向け、これまでも環境に対する教育や、太陽光パネルの導入、省エネ設備の導入、サプライヤーエンゲージメント等、さまざまな取り組みを継続的に進めてきました。これらの取り組みは、自社事業活動からのGHG排出量削減を推進するとともに、原料調達を含むサプライチェーン全体での排出削減を目指すものです。以下では、2025年度における主な取り組みについてご紹介します。
エネルギー管理活動GRI:302-4
当社グループでは、「環境ビジョン2030/2050」の達成に向け、エネルギー管理の高度化を重要な取り組みと位置づけ、継続的な改善活動およびガバナンスの強化を推進しており、製造拠点を対象に環境部門による環境監査を行っています。「GHGの排出量削減」に関しては、エネルギー使用量およびGHG排出量に係る管理体制や運用状況ならびに関連法令や規制の遵守状況を確認しています。加えて、「配管や設備の保温状況」「蒸気ロスの状況」など、エネルギー使用量やGHG排出量に影響を及ぼす事項に注目した現場視察も行い、帳票と設備の両面から、拠点全体を網羅的に確認しています。2025年度は海外4グループの監査を実施し、軽微な改善事例はあったものの、概ね適切に運営されていることを確認し、計画的に改善を進めています。また、日本国内においては、不二製油(株)および国内グループ会社のエネルギー管理責任者が参画する「エネルギー管理代表委員会」を通じて、GHG排出量削減や購入電力のCO2フリー電力※化に関する進捗状況を確認し、対応方針を共有しました。また、ガバナンス強化の一環として、2025年度には国内グループ会社へのヒアリングを実施し、エネルギー管理に関する管理体制および関連規程の整備状況に問題がないことを確認しました。
さらに、環境に関する取り組み事例をグループ各社へ横断的に展開することを目的として、オンラインで情報共有を行うシステムを構築し、運用を開始しました。今後も国内外のグループ会社と積極的にコミュニケーションを図り、エネルギー管理に関するガバナンスの更なる強化に取り組んでいきます。
- ※ CO2フリー電力:電力事業者が提供する、CO2フリーの価値を付加した再生可能エネルギー由来の電力。CO2排出係数をゼロとして算定できる。
スコープ1+2の削減活動
主な削減活動
当社グループの各拠点でのさまざまな取り組みを以下にご紹介します。
表:各拠点での削減活動事例
| 国 | 事業所 | 具体的な取り組み |
|---|---|---|
| 全社 | 不二製油グループ | 当社グループ27社の生産拠点のうち12拠点への太陽光発電設備の設置および再生可能エネルギー活用によるGHG排出量削減の推進 |
| 日本 | 不二製油(株)阪南事業所、神戸工場、関東工場、大阪支店、つくば研究開発センター | 日本の事業所における購入電力の約50%にCO2フリー電力を導入 |
| 日本 | 不二製油(株)東京支社 | グリーン電力証書の購入による再生可能エネルギー由来電力の使用とみなされ、同所支社における2025年度のCO2排出量約32t-CO2相当の削減 |
| 日本 | 不二製油(株)阪南事業所 |
|
| 日本・ガーナ | 不二製油(株)阪南事業所、不二製油(株)千葉工場、フジ オイル ガーナ |
|
| ガーナ | フジ オイル ガーナ | 従来ボイラー燃料として使用していた軽油からバイプロ油への切り替えによるGHG排出量削減および廃棄物削減への寄与 |
| インドネシア | フレイアバディ インドタマ |
|
| マレーシア | パルマジュ エディブル オイル |
|
| 中国 | 不二製油(張家港)有限公司 |
|
| ブラジル | ハラルド | 新たにCO2フリー電力の使用を開始し、1,357 t-CO2を削減 |

阪南事業所のコージェネレーション設備
- ※1 コージェネレーション設備:天然ガス等を燃料として発電すると同時に、その際に発生する排熱も回収・利用することで、エネルギーを高効率に活用するシステム。
出典)経済産業省ウェブサイトの内容を引用、一部表現を平易化
https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/other/cogeneration/ - ※2 水素Ready:将来の水素燃料への転換を見据えた設計・措置が実装されていること
出典)テュフズードジャパン「H2 Readiness(H2レディネス)とは何か」の内容を引用、一部表現を平易化
https://www.tuvsud.com/ja-jp/resource-centre/stories/jp-h2-readiness-certification
出典)経済産業省 資源エネルギー庁「水素・アンモニア政策について(審議会資料)」
https://www.mlit.go.jp/maritime/content/001735440.pdf(1.96MB)
インターナルカーボンプライシング制度(Internal Carbon Pricing:ICP)の導入
環境配慮の投資を促進するため、一部の海外グループ会社においてインターナルカーボンプライシング制度(ICP単価:1万円/t-CO2eq)のトライアル導入を実施しました。フジ オイル ガーナでは、太陽光パネル導入時の投資検討に本制度を活用しました。今後も、ICPの活用を通じて環境投資の更なる促進を図っていきます。
バイオマスエネルギーの利活用
大豆加工工場で発生する排水由来バイオメタンの有効利用
日本の阪南事業所では、排水処理とエネルギー利用を組み合わせたバイオマスエネルギーの活用に長年取り組んできました。阪南事業所内、2ヵ所の大豆加工工場においては、排水処理工程でメタン発酵処理槽から発生するメタンガスを回収し、専用ボイラーの燃料として利用しています。これらの取り組みにより、化石燃料の使用量を削減するとともに、GHG排出量の削減に貢献しています。

大豆加工工場の嫌気処理設備

大豆加工工場のメタンガス回収設備
パーム油製造時の排水(POME)由来バイオメタンの有効利用
ユニフジ(マレーシア)のパーム油サプライヤーであるUnited Plantations社は、搾油工場から排出される排水(POME※)由来のメタンガスを活用し、発電を行っています。ユニフジでは、発電した電力を精製工程で使用しています。これらの取り組みにより、化石燃料由来エネルギーの使用量削減およびGHG排出量の低減を推進しています。
- ※ POME(Palm Oil Mill Effluent):パーム油製造時に発生する有機物を多く含む排水。
スコープ3の削減活動
カテゴリ1の削減
スコープ3(カテゴリ1)のGHG排出量削減に向け、国内外のサプライヤー30社を対象に、面談やアンケート調査を通じてエンゲージメントを実施しました。サプライヤーに対してGHG排出量削減の重要性、当社グループの方針、環境目標や削減活動についてご理解いただくとともに、GHG排出量の削減目標や取り組み状況を共有し、当社グループに供給いただく製品に関連するGHG排出量の原単位情報を収集しています。
今後もサプライヤーとの継続的なエンゲージメントを通じてサプライチェーン全体でのGHG排出量削減を推進し、スコープ3(カテゴリ1)の削減につなげていきます。
カテゴリ9の削減
不二製油(株)では、取引先企業および物流事業者と連携し、31フィート冷蔵コンテナを活用した鉄道によるラウンド輸送を開始しました。トラック輸送から鉄道輸送へのモーダルシフトを推進することで、物流に伴うGHG排出量を削減し、スコープ3(カテゴリ9)の排出削減に取り組んでいます。
FLAGの削減
FLAGの排出量削減に向け、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)に採択された関連案件への参画を通じ、農業分野におけるGHG削減技術や実装可能性に関する知見の蓄積を進めています。また、農林中央金庫が主導するインセッティングコンソーシアムへの参画を通じて、サプライチェーン上流における環境配慮型農業の動向把握を行っています。これらの取り組みに加え、大学等の研究機関との連携を通じて学術的、専門的知見の収集を行う予定であり、今後の研究成果や知見を将来的な施策検討につなげていきます。




