シアカーネルのサステナブル調達
サステナビリティ
経営
ESGマテリアリティ
サステナブル調達
サステナビリティ課題領域
重点項目
課題認識GRI:2-6
シアバターノキは、西アフリカのサハラ砂漠以南に広がるサヘル地域(ブルキナファソ、マリ、ガーナ、コートジボワール、ベナン、トーゴ、ナイジェリアなど)に自生する貴重な樹木です。シアバターノキの果実 (シアナッツ) の胚であるシアカーネルから抽出されるシアバターは、食品、製菓、スキンケアなど幅広い用途を持つ植物性油脂として、世界的に利用されています。
一方で、農業用地の拡大や土地利用の変化によりシアの自生地が減少しているほか、果実の採取や一次加工は主に農村部の女性による手作業で行われており、重労働や労働安全衛生の確保が課題となっています。これらは、地域社会の持続可能性や生計手段に関わる重要な社会課題です。
このような状況の中、不二製油グループは、シアカーネルから得られるシアバターを、植物性油脂事業における重要な原料の一つとして使用しています。特に、シアバターはココアバター代替脂(CBE)として広く用いられており、その安定的かつ持続可能な調達は、当社グループの事業継続や製品価値の維持に直結する課題であると認識しています。

西アフリカに自生するシアの木の実
図:不二製油グループの西アフリカにおけるシア・バリューチェーン

リスク管理の取り組みGRI:203-1,203-2
シアバターを将来的にも安定的に調達するため、当社グループはシアの自生木の減少や、シアの実の採取・加工に携わる女性の労働環境の改善に積極的に取り組んでいます。
シアの自生木の減少に関しては、シアバターノキの定期的な植樹や育成管理、周辺の緑地保全を通じて、その維持・回復を図っています。
また、地域の協同組合と連携し、Tebma-Kanduプログラムを推進し、シアの実の採取および加工に従事する女性労働者のエンパワーメントに加え、農村自体の発展や環境に配慮した栽培・生産の推進に貢献しています。
これらの取り組みは当社グループのコミットメントとして管理されており、引き続き着実に推進していきます。
Tebma-Kanduプログラム(対象地域:ガーナ)
当社グループは、「責任あるシアカーネル調達方針」の実現に向け、2021年にTebma-Kanduプログラムを開始しました。本プログラムは、農村部に暮らす女性のエンパワーメントを主な目的の一つとしており、マネジメント能力やビジネススキルの向上、品質・安全性の確保、業務効率の改善を目指した研修を提供しています。
プログラムでは、研修に加え、計量器、袋、パレット、倉庫といった具体的な資機材の提供を行っているほか、一部のTebma-Kandu協同組合には、三輪車や脱殻機(必要な個人用保護具〈PPE〉を含む)も提供しています。
収穫期が始まる前には、特別な条件や制約を伴わない前払い資金(プリ・ファイナンス)を提供しています。これにより、シアナッツ採集者が不当に低い価格で中間業者に販売せざるを得ない状況を回避できるよう支援しています。
なお、このプログラムには、組合員の能力開発に加え、森林再生プロジェクト、環境フットプリント削減に向けた取り組みも含まれています。
2021年にガーナ北部の23の女性協同組合から開始した本プログラムは、開始以降着実に拡大し、2026年5月時点で126の協同組合に48,290名の女性が参加しています。当初はシアナッツの収穫後から加工前までの品質向上および作業効率化に重点を置いていましたが、現在では収穫期以外における農村コミュニティの収入創出にも取り組みの対象を拡大しています。
本プログラムへの参加に対する関心は非常に高く、当社グループはその枠組みを拡大し、現在では同様の原則のもとで活動する複数の外部パートナーとも連携し、他の女性協同組合も支援しています。
また、当社グループは西アフリカの自社生産拠点であるフジ オイル ガーナにおいて、シアバターをシアステアリンおよびシアオレインに分別・加工しています。同社では現地従業員を対象に工場運営、品質管理、安全管理に関する研修を実施し、地域社会における付加価値および雇用の創出にも貢献しています。
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※ シアナッツのサステナビリティ・プログラム「Tebma-Kandu」に関するお知らせ
https://www.fujioil.co.jp/news/2021/__icsFiles/afieldfile/2021/03/11/20210311_news_j_Tebma-Kando.pdf(679KB) -
Tebma-Kanduの状況は下記からもご確認いただけます
FUJI OIL EUROPE> Welcome to our sustainable shea journey! (英語)
シアサプライチェーンにおける児童労働デュー・ディリジェンス・プロジェクトGRI:408-1
シア原料のサプライチェーンにおいて、フジ オイル ガーナは2021年より、同業他社、オランダ油脂協会(MVO)、およびオランダのNGOであるCordaid とともに、オランダ企業庁(RVO)の支援を受けた「FBKシアの児童労働リスクデュー・ディリジェンス・プロジェクト」※に参画しています。本プロジェクトは、西アフリカ(ガーナ、ブルキナファソ、マリ)のシア生産地域における児童労働のリスク、根本原因とその緩和に向けたアプローチの評価を目的としています。
今後、その成果を活用し、シアサプライチェーンにおける当社グループのサステナビリティに関する取り組みの更なる向上につなげていきます。

FBKプロジェクトのワークショップの様子
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※ FBKシアの児童労働リスクデュー・ディリジェンス・プロジェクト(FBK Child Labor Risk Due Diligence in Shea)
Cordaid>Investigating the risk of child labour in the shea value chain(英語)
https://www.cordaid.org/en/news/investigating-the-risk-of-child-labour-in-the-shea-value-chain/
指標と目標
〇:目標に対して90%以上達成、△:目標に対して60%以上達成、×:60%未満
| 中長期目標 | KPI | 2025年度目標 | 2025年度実績 | 自己評価 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 2030年 | 2025年 | ||||
| 森林保全、 女性のエンパワーメント支援 |
植樹6,000本/年 | 植樹6,000本/年 | 植樹6,000本/年 | 植樹12,325本/年 (2021年からの累計本数:37,215本) |
〇 |
| Tebma-Kandu協同組合※1からの調達を含め、地域レベルまでのトレーサビリティ:75% | 70% | 70% | 97% | 〇 | |
| Tebma-Kanduプログラムからのシアカーネル調達比率※2:50% | 30% | 30% | 30% | 〇 | |
| 西アフリカでのシアカーネル搾油・分別比率:100% | 100% | 100% | 100% | 〇 | |
| フジ オイル ガーナで使用する非化石エネルギー※3比率(蒸気発生用):100% | 100% | 100% | 98% | 〇 | |
| Tebma-Kandu協同組合の代替収入のための、当社グループ寄贈倉庫活用比率:80%※4 | 20% | 20% | 90% | 〇 | |
- ※1 Tebma-Kanduプログラムの登録協同組合とTebma-Kanduの原則に従って活動するパートナー。
- ※2 KPIを「Tebma-Kandu協同組合からのシアカーネル直接調達比率」から「Tebma-Kanduプログラムからのシアカーネル調達比率」に変更。Tebma-Kanduプログラムの考え方に基づいて当初から活動している協同組合に加えて、新たにTebma-Kanduの趣旨に賛同したパートナーからの調達数量を含める。
- ※3 シアバターを分別した際に得られる副産物であるシアオレインをバイオマス燃料として使用。
- ※4 地域における価値創造に関するKPI「フジ オイル ガーナの正規雇用の社員数:50%増加(2017年比)」は2022年度時点で達成したため、それに代わる新たなKPIを2024年度から設定。フジ オイル ガーナが寄贈したシアカーネル保管用倉庫のうち、空きスペースやシアシーズン以外の期間を利用して、シア以外の収穫物の保管に活用して収入を生み出している倉庫数の比率。
考察
2025年度のシア関連産品市場は2つの要因により大きな影響を受けました。
1つ目の要因は、一部の西アフリカ諸国におけるシアカーネルの輸出停止措置です。原料であるシアカーネルの輸出が停止され、シアバターとして加工された場合のみ輸出が許可される状況となりました。西アフリカ諸国の中でも、シアカーネルの収穫量が多い国と、大規模なシアカーネル加工工場を持つ国が一致しないため、地域内で価格差が大きくなり、密輸が誘発され、トレーサビリティの確保が困難となりました。
要因の2つ目は、カカオ価格の高騰に伴うシアカーネル価格の歴史的な高騰です。これにより、農村地域は恩恵を受けた一方で、シアバターを原料とするココアバター代替脂(CBE)の競争力が低下しました。
このような市場環境のもと当社グループは、エージェント、Tebma-Kandu協同組合およびパートナーとの協業により、トレーサビリティ97%を達成しました。また、当社グループのシアカーネル総調達量の30%をTebma-Kandu協同組合またはパートナーから調達し、年初に設定した目標を達成しました。
Next Step
シアのサステナブル調達においては、生産地域の女性のエンパワーメントのみならず、Tebma-Kanduプログラムからの調達比率向上を目指しています。
2026年度は、引き続きTebma-Kanduプログラムに新規に参加する協同組合の拡大を目指していきます。
また、農村地域からのシアカーネルの輸送を強化するために、既存の126の協同組合との連携の効率化を図ります。
- 6,000本/年の植樹
- 地域レベルまでのトレーサビリティ:2026 年度末までに75%
- Tebma-Kanduプログラムとその原則に従って活動するパートナーからのシアカーネル調達比率:30%

Tebma-Kandu女性協同組合との話し合いの様子
具体的な取り組みGRI:203-1,203-2
外部団体との協業
Global Shea Alliance(GSA)/Shea Network Ghanaへの参画
フジ オイル ガーナは、2013年からGlobal Shea Alliance(GSA)、2015年からShea Network Ghanaに参画しています。主な活動内容は以下のとおりです。
- シアカーネルを保管し、そのほかの収入を創出するための倉庫の提供
- 女性のためのビジネス研修
- シア製品の国際展開
- 労働安全衛生イニシアチブ
- 緑地保全管理の研修
- 植林資材の研究開発
- 緑地保全に関する試験的なプロジェクト
IFPRI(国際食料政策研究所)との福祉改善共同プロジェクト
フジ オイル ガーナは2024年から、ワシントンに本部を置くIFPRI(国際食料政策研究所)と共同でプロジェクトを開始しました。このプロジェクトでは、Tebma-Kanduの協同組合における福祉改善効果を目的としており、効率改善と付加価値向上のためにツールや物流手段を提供しています。
シアの木の生息域内の緑地保全(対象地域:ガーナ)
ガーナ北部では、木炭生産や土地開墾のために、シアバターノキが深刻なペースで伐採されています。
2025年度は地元企業であるEco Restoreと連携し、シアバターノキや在来樹木の苗木を12,325本植えました。
苗木の生存率を向上させるには、管理をする女性たちに適切な栽培技術を教えることが重要です。2026年度には植林を最低6,000本とし、植林だけでなく、研修も実施する予定です。なお、これまでの苗木の生存率は非常に高いことを確認しています。

苗木の世話の研修の様子
エネルギー転換による環境負荷低減(対象地域:ガーナ)
フジ オイル ガーナでは、シアカーネルおよびシアバターの加工に伴うCO2排出量や廃棄物の削減のため、シアバター生産過程で排出される搾油後の油粕(ミール)などの副産物の一部を燃料として活用するなど、生産に使用するエネルギーを鉱物油から非化石燃料へ転換しています。こうした副産物の燃料利用は、薪の使用量削減による森林破壊の減少や節水、エネルギーコストの削減にも寄与しています。同社では、工場で使用する非化石エネルギー比率100%の達成を目標としているほか、自社のソーラーパークから供給される電力により、電力消費の大部分を賄っています。



