人権マネジメント
方針
不二製油グループは、「不二製油グループ憲法」のバリュー(私たちが行動する上で持つべき価値観)で「人のために働く」を表明し、当社グループを支えるさまざまな人のために働くことを表明しています。2017年4月には人権の基本的な考え方として「不二製油グループ人権方針」を策定しました。
サプライヤーに対しては2021年4月に策定した「不二製油グループサプライヤー行動規範」や、主原料別の調達方針において、人権尊重の遵守を求めています。また、当社グループの従業員が人権尊重について共通の認識を持ち、事業活動において責任を果たせるよう、具体的な対応指針として「不二製油グループ人権ガイドライン」を2023年3月に策定しました。
不二製油グループサプライヤー行動規範
2021年4月に「不二製油グループサプライヤー行動規範」※を策定しました。同規範では、人権尊重(非差別・労働安全衛生・労働環境・団体交渉権と結社の自由・強制労働・児童労働・地域コミュニティ)に加え、食の安全・品質、環境汚染による地域コミュニティへの影響、情報セキュリティとプライバシーに関する行動規範を示すとともに、救済の仕組みの導入をサプライヤーに求める内容が含まれています。当社は、サプライヤーとの対話を本行動規範に基づいて促進し、人権や環境に配慮した方法で製品やサービスが製造されていることを確認するよう努めています。
- ※ 不二製油グループサプライヤー行動規範
https://www.fujioil.co.jp/sustainability/policy/supplier/ - ※ サプライヤーとのエンゲージメント
https://www.fujioil.co.jp/sustainability/procurement/
不二製油グループ人権ガイドライン
「不二製油グループ人権方針」に基づき、当社グループ内の職場や従業員に関する人権課題への対応指針とし2023年3月に「不二製油グループ人権ガイドライン」を策定しました。当社グループの全従業員が使えるよう9言語を用意しています。
これは第2回人権インパクトアセスメントで特定されたリスク「職場の人権(ハラスメント・強制労働)」への対応の一環として行ったものです。2021年度のBSRとのダイアログで指摘された包括的な人権リスクマネジメント体制構築に向け、グループ各社で一貫した人権尊重責任を果たすことを目的としています。
ガバナンスGRI:3-3
不二製油グループは、取締役会の諮問機関であり代表取締役社長兼CEOが委員長を務めるサステナビリティ委員会※1を設置しています。サステナビリティ委員会では、お客様や人権専門家、従業員などさまざまな立場からのお声を踏まえて人権課題に関連するESGマテリアリティを特定し、マルチステークホルダーの視点で審議・監督し、取締役会へ答申しています。また、該当するESGマテリアリティ重点項目の管掌役のもと、人権リスクの低減に向けた取り組みを推進しています。
グループ全体の人権リスクについては、サステナビリティ推進部が関係部門を統括し特定しています。重要な人権リスクはESGマテリアリティの重点項目に反映し、グループにおける人権課題に対応しています。
また、人権課題に関する事業上のリスクや機会については、全社リスクマネジメント体制※2においても議論と管理を行っています。
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※1ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標>ガバナンス
https://www.fujioil.co.jp/sustainability/sustainability_management/#governance
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※2 全社リスクマネジメント体制
戦略GRI:2-24
人権は、人が生まれながらに平等に持っている尊厳を持って自由に生きていく権利です。当社グループはグローバルなサプライチェーンを有しており、当社のビジネスのバリューチェーン上において、様々なステークホルダーの人権課題に、直接的あるいは間接的に関わっています。当社グループは「不二製油グループ憲法」の中で、ビジョン「植物性素材でおいしさと健康を追求し、サステナブルな食の未来を共創します。」を掲げています。このビジョンのもとサステナビリティ経営を推進しており、グループ全体でバリューチェーン上の人権尊重の責任を果たすよう努めています。
人権尊重の取り組みへの対応を怠った場合、差別やハラスメント、強制労働や児童労働などの人権リスクが高まる恐れがあります。また、ビジネスと人権に関する重要度の高まりや、各国の人権に関する法規制化が進む事業環境において、顧客との取引の中止などのビジネスリスクにもつながります。一方でグループを挙げて人権対応をきめ細かく行うことは、顧客やステークホルダーからの信頼の獲得や、従業員エンゲージメントの向上につながる機会となり得ます。当社グループは「不二製油グループ人権方針」や人権に関する各種方針、規範に沿って、バリューチェーン上の人権課題を把握し、ESGマテリアリティや全社重要リスク項目によって、取り組みを管理しています。
リスク管理
不二製油グループは、以下のESGマテリアリティおよび全社重要リスクによって、人権に関するリスクや機会を管理しています。
ESGマテリアリティ
「製品安全と品質管理の徹底」「油脂中のプロセスコンタミナントの低減」「心身の健康課題の解消」「多様な植物性素材の創出」「生物多様性の保全と回復」「パーム油のサステナブル調達」「カカオのサステナブル調達」「大豆のサステナブル調達」「シアカーネルのサステナブル調達」「DE&Iの推進」「人材の確保と育成」「労働災害および物的事故の低減」「情報セキュリティマネジメント」「信頼性ある内部通報制度の運用」「公正な取引の推進」
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全社重要リスク>「災害・事故」「環境・人権」「調達」「労務・人事」
人権デュー・ディリジェンス
人権デュー・ディリジェンスの全体像
国連「ビジネスと人権に関する指導原則」※1では、企業にも人権を尊重する責任があることが明文化されています。企業は人権尊重の社会的、道義的意義を理解し人権を尊重するよう求められるというもので、方針によるコミットメント、人権デュー・ディリジェンス※2の実施、是正を可能とするプロセスの設置の3つから構成されています。当社グループは「不二製油グループ人権方針」に定める「人権尊重責任の実行」の一つとして、人権デュー・ディリジェンスを実施しています。
- ※1 ビジネスと人権に関する指導原則:2011年に国連人権理事会において全会一致で支持された国際文書。
- ※2 人権デュー・ディリジェンス:企業がサプライチェーン上を含めた事業における人権リスクを特定し、その防止・軽減を図り、取り組みの実効性や対処法について説明・情報開示する一連の行為。

人権インパクトアセスメント
事業活動が関与し得る人権への負の影響を特定・評価し、優先的に対処すべき重要な課題を特定するため、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」で提唱されるプロセスにのっとり、外部の有識者の助言を得て、人権インパクトアセスメントを実施しています。
第1回・第2回人権インパクトアセスメントと人権リスク対応
2016年度に第1回、2020年度に第2回のアセスメントを実施しました。
第2回のアセスメントでは、ビジネスと人権分野に知見を持つ米国非営利団体BSR(Business for Social Responsibility)より、第三者の立場から助言をいただき、以下の手順で人権リスクを特定しました。
第2回人権インパクトアセスメントのプロセス
第1段階 | BSRのノウハウをもとに、当社グループの事業活動や操業地域の特性上の人権リスクを洗い出し |
第2段階 | BSRの参画を得て社内関係者にインタビューを行い、当社グループの実情を可能な限り反映して、事業活動を通して影響を及ぼし得る6分野(①労働安全衛生、②サプライチェーン上の労働者の人権、③ダイバーシティ&インクルージョンおよび職場の人権、④食品安全、⑤ガバナンス・リスク・コンプライアンス、⑥気候変動による人権への影響)の人権リスクを特定 |
第3段階 | 専門家からの助言に基づき、特に対応を優先すべき重要な人権リスクとして3分野(①労働安全衛生、②サプライチェーン上の労働者の人権、③ダイバーシティ&インクルージョンおよび職場の人権)を特定し、経営層に報告 |

特定された優先リスク分野への対応実績については「指標と目標」欄をご参照ください。
第3回人権インパクトアセスメント
2024年度、BSRの助言のもと第3回人権インパクトアセスメントを実施し、優先的に対応する人権リスクを再特定しました。
第3回人権インパクトアセスメントのプロセス

第3回人権インパクトアセスメントで特定された不二製油グループのバリューチェーン上の権利保有者と優先的な人権リスク

また、2024年度は、従来の人権インパクトアセスメントに加え、人権デュー・ディリジェンスについて国連「ビジネスと人権に関する指導原則」や食品業界の取り組み状況とのギャップ分析を行いました。その結果、特に人権ガバナンスの強化と、特定された高リスク分野・課題に対するより深いデュー・ディリジェンスの取り組みが必要であることを確認しました。
人権に関するリスク管理の仕組み
2016年度の第1回人権インパクトアセスメント以降、ビジネスと人権分野に知見を持つ専門家、業界団体、主原料の原産地において活動を行うNGOなどのステークホルダーとの対話を通し、当社グループへの期待や意見の把握に努めています。また、特定した人権課題に対して取り組み、ネガティブインパクトの低減、あるいはポジティブインパクトの創出に努めています。
有識者との対話、有識者の助言を踏まえた人権リスクの特定
- 人権ダイアログ(2016年9月)
- 第1回人権インパクトアセスメント(2016年度)
- ビジネスと人権に関する有識者ダイアログ(2019年6月)
- 第2回人権インパクトアセスメント(2020年度)
- 第3回人権インパクトアセスメント(2024年度)
ステークホルダーとの対話を踏まえたサプライチェーン上の労働者の人権への対応
- 「責任あるパーム油調達方針」の策定(2016年3月)
- パーム油の労働環境改善プログラム開始(2017年度)
- 「不二製油グループ人権方針」の策定/人権デュー・ディリジェンスの導入(2017年4月)
- パーム油のグリーバンスメカニズムの構築・公表(2018年5月)
- パーム油搾油工場(ミル)リストの公表(2018年6月)
- パーム油のランドスケープイニシアチブに参画(2018年度)
- 「責任あるカカオ豆調達方針」の策定(2018年8月)
- パーム油のグリーバンスプロシージャーの改訂(2020年4月)
- 「不二製油グループサプライヤー行動規範」の公表(2021年4月)
- 「責任ある大豆、大豆製品の調達方針」の策定(2021年6月)
- 「責任あるシアカーネル調達方針」の策定(2021年6月)
- シアカーネルのTebma-Kanduプログラムの開始(2021年度)
- 不二製油(株)「CSR調達ガイドライン」の改訂(第3版)(2021年11月)
- 「不二製油グループ生物多様性方針」の策定(2023年3月)
- 「不二製油グループ人権ガイドライン」の策定(2023年3月)
ステークホルダーの人権課題に対するインパクトの創出(パーム油サプライチェーンの事例)

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(関連情報)ステークホルダーエンゲージメント
https://www.fujioil.co.jp/sustainability/stakeholder_engagement/
グリーバンス(苦情処理)メカニズムGRI:2-25, 26
内部通報制度
不二製油グループでは、グループの役員や従業員による法令違反行為、不正行為をはじめ、その他ハラスメント・差別等あらゆる人権侵害を含む、法令やグループの行動規範や方針に違反またはその恐れがある行為を対象に、内部通報制度を設けています。当制度は、国内外のグループ会社従業員(退職者を含む)および取引先事業者が利用できます。
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※ 信頼性ある内部通報制度の運用>内部通報制度
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※ ガバナンス
サプライチェーンを対象としたグリーバンスメカニズム
2018年5月、「責任あるパーム油調達方針」に基づくグリーバンスメカニズム※1を構築しました。グリーバンスメカニズムでは、当社グループのステークホルダーや利害関係者が、パーム油サプライチェーン上の環境・人権問題などの懸念を提起することができます。当社グループのウェブサイトに「グリーバンスメカニズム」のページ(英語)※2を設け、そのメカニズムと進捗状況を公表しています。
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※1 FUJI OIL GROUP Grievance Mechanism(英語)
https://www.fujioil.co.jp/en/sustainability/grievance_mechanism/
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※2 パーム油のサステナブル調達>グリーバンス(苦情処理)メカニズム
教育・普及啓発活動
毎年、12月10日の世界人権デーに合わせて「不二製油グループ人権週間」を設定し、グループ従業員に向けて、ビジネスと人権に関する担当役員メッセージと注意喚起メールを発信しています。

社内コミュニケーションサイト(日本語・英語・中国語・ポルトガル語)に掲載した担当役員メッセージ
指標と目標GRI:408-1、409-1
2020年度第2回人権インパクトアセスメントで特定した優先人権リスク分野 | 特に確認・留意する事項 (専門家の推奨事項) |
対策の方向性 | 主な取り組み事項 (2020年~2024年度) |
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労働安全衛生 関係するステークホルダー:従業員 |
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サプライチェーン上の労働者の人権(農園における労働環境、労働安全衛生、非差別・機会均等、強制労働・児童労働、土地の権利に焦点) 関係するステークホルダー:サプライチェーン上の労働者 |
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ダイバーシティ&インクルージョンおよび職場の人権(ハラスメント・強制労働) 関係するステークホルダー:従業員 DE&Iの推進 人材の確保と育成 |
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