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重点項目

課題認識

不二製油グループは、積極的なグローバル展開を背景に、連結従業員の約70%を海外従業員が占め、16か国45社で多様な人材が活躍する組織となりました。さらに、2025年4月に事業持株会社制へ移行し、全社一体化を進める中で、経営戦略・事業戦略の実行を支える人材の確保・育成・配置を、より戦略的かつグローバルに進めることが求められています。
一方、当社グループは4つの事業を展開する製造業として求められる人材の専門性・職種が多岐にわたる中、世界的な人材の流動化の進展や採用競争の激化、製造業への就業志向の変化を背景に、人材確保は従来以上に難易度を増しています。加えて、日本国内では生産年齢人口の減少が進行しており、地域によっては人材確保が一層困難となる状況も顕在化しています。
こうした環境下において、当社グループが持続的な成長と競争力の強化を実現するためには、グローバルでの環境変化に対応しつつ、課題解決と価値創出を担う高度専門人材の層を拡充するとともに、重要ポジションにおける後継者を継続的に確保・育成していくことが、重要な経営課題であると認識しています。

リスク管理の取り組み

従業員とのエンゲージメント

当社グループでは、従業員のHataraki-Gai※向上に向け、現状を可視化し改善アクションにつなげることを目的に、2023年度よりエンゲージメントサーベイを実施しています。

労使間の対話GRI:2-30、407-1

不二製油(株)では、従業員と会社はともに支え合う存在であるという考えのもと、労使間の対話を重視しています。会社側は人事部門が対話の窓口となり、創業期に設立された不二製油労働組合とともに、75年にわたり、従業員の働きやすい職場環境の整備に取り組んできました。
労使間の対話は、会社側代表と労働組合中央執行委員によって構成される場において、毎月実施しています。従業員がやりがいを持ってその力を最大限に発揮し、成長・活躍できる環境の実現に向け、継続的に意見交換を行っています。2025年度には、労働組合との協議を経て、賞与制度の再設計および報酬リバランスの実施を決定しました。
なお、不二製油労働組合はユニオンショップ制を採用しており、執行役員・管理職を除く正社員の加入率は100%です。

指標と目標

〇:目標に対して90%以上達成、△:目標に対して60%以上達成、×:60%未満

2025年度目標 2025年度実績 自己評価
経営戦略との連動強化 指名・報酬諮問委員会による人的側面のガバナンス強化
  • 社長交代と同時に次期CEOサクセションプランを始動
  • 新役員報酬制度を導入
〇
次世代経営層人材の育成
  • 人材育成会議にて第2期次世代経営層育成プログラムを推進
〇
事業戦略との連動強化 事業本部への人事担当(HRBP)の配置
  • 4事業本部にHRBPを配置(一部兼務などあり)
△
事業戦略上の重要ポジションのサクセション、適正配置強化
  • 事業戦略上の必要人材の明確化/キャリアの見える化は次年度検討
  • 海外駐在員の適正配置強化に向けたヒアリングを実施。配置方針は次年度策定
×
グローバル展開を支えるグループグローバル人材の育成
  • 海外駐在員プール充実化の研修を継続実施
  • 語学力/専門性向上プログラムを導入
  • 海外グループ会社人材の日本研修は検討にとどまった
〇
〇
△

考察

経営戦略との連動強化について

2025年度は指名・報酬諮問委員会を計13回開催し、重要諮問事項である「CEOサクセションプラン」および「新役員報酬制度の運用に関わるレビュー」を中心に、活発な議論を行いました。社長交代のタイミングで次期CEOサクセションプランを始動し、2025年度より新役員報酬制度を導入、運用に関わるレビューを開始したことは、人的資本に関するガバナンス体制の強化における重要な進展と位置づけています。
また、人材育成会議を計5回開催し、前中期経営計画期間中に開始した次世代経営層育成プログラムを、事業持株会社体制のもとで第2期プログラムとして再構築しました。本プログラムでは、経営のKeyポジションに求められる人材要件の明確化および候補者選定を進めています。一部に進捗の遅れはあるものの、グループ経営人材育成の重要性や考え方について、継続的に議論を重ねたことで、経営層全体の認識は深化しています。
今後は、これらの取り組みを実効性の高い人材育成・配置につなげるため、投資対効果や成果の可視化を意識した運用へと深化させていきます。

事業戦略との連動強化について

当社グループでは、事業戦略と人材戦略の連動強化に向けた初の取り組みとして、不二製油(株)および各社人事部門に加え、2025年度より事業本部内に人事担当(HRBP※)を配置しています。一方で、HRBPの役割定義や業務設計、運用体制の整備が十分に追い付かず、「事業戦略に基づく必要人材の明確化」や「育成ローテーションを含むキャリアの可視化」に関する検討を進めるには至りませんでした。また、海外駐在員の適正配置についてもヒアリング実施にとどまり、配置方針の明確化は次年度への課題として残りました。
これらを踏まえ、2026年度は海外要員計画および配置方針の策定、部長以下ポストの管理強化、ならびに育成ローテーション設計を重点施策として推進します。
グローバル展開を支えるキーパーソンであるグループグローバル人材の育成については、海外駐在員プールの拡充(意識醸成およびスキル研修)の継続に加え、不二製油(株)においてグローバル業務を担う人材の語学力・専門性向上を目的とした英語コミュニケーションスキル向上プログラムを導入しました。さらに、海外グループ会社人材の専門性向上を目的とした不二製油(株)工場での研修についても検討を進めており、当初計画からの遅れはあるものの、2026年度中の受け入れ開始に向けた準備を進めています。
今後は、多様な人材が能力を最大限発揮し、グローバルで一体となって活躍できる体制の構築に向け、事業戦略と連動したタイムリーかつ実効性の高い人材施策を推進し、当社グループの持続的成長を支える人材の確保・育成を一層強化していきます。

  • ※ HRBP:「Human Resource Business Partner」の略。

Next Step

2026年度は、2025年度の取り組みを通じて顕在化した課題を踏まえ、事業持株会社体制のもと、経営戦略・事業戦略との連動を一層強化した人材施策の推進に取り組みます。

経営戦略との連動強化

  • 指名・報酬諮問委員会による人的側面のガバナンス強化
  • 次世代経営層人材の育成

事業戦略との連動強化

  • 事業本部と人事部の連携強化
  • 事業戦略上の重要ポジションに関するサクセション、適正配置強化
    (海外駐在員配置に関する基本ポリシーの策定、グループグローバル人材の育成)

具体的な取り組みGRI:404-2

人材育成方針

「人的資本と労働安全」のページに記載する人材戦略※に基づき、グループ全体の人材育成方針を定めています。本方針のもと、従業員一人ひとりが自身の強みを育み、“おもろい”仕事に挑戦し、当社グループにおいて持続的に成長できるよう、人材育成施策を推進しています。

不二製油株式会社における人材の確保

不二製油(株)では、学生のキャリア志向の高まりを踏まえ、入社後のミスマッチ低減を目的として、新卒採用手法の見直しを行ってきました。従来、事務系総合職として一括で実施していた採用について、システム、営業、スタッフの各コースに区分し、選考段階から初期配属先をあらかじめ提示しています。さらにスタッフコースでは、経理・人事・法務・物流といった職種別の希望も確認し、当該部門の管理職が選考に関与することで、より精度の高いマッチングを図っています。加えて、全職種において内定者段階で、配属可能性のある部署による業務説明を実施し、その上で配属希望を確認するなど、丁寧なプロセスを設けています。これにより、今後もミスマッチの低減と定着率の向上に取り組んでいます。
また、国内では生産年齢人口の減少などを背景に、交替制勤務者の確保が困難となりつつあります。特に、阪南工場がある大阪泉州地域の人口は、2020年度比で2050年には65%程度まで減少すると見込まれており、生産職人材の安定的な確保に向けて、2024年度に「生産職働き方改革プロジェクト」を立ち上げました。本プロジェクトには、人事や組合に加え、生産部門と関係する従業員も参画し、採用、キャリアプラン、制度、関東工場人材確保の4つの分科会に分かれて検討を進めてきました。
さらに、2025年度からは、各事業本部の人事担当マネージャー(HRBP)が面談や意見交換を通じて、生産職人材の定着およびエンゲージメント向上に取り組むとともに、顕在化した課題については、プロジェクトと連動して対応を進めています。2026年度も引き続き、更なる改革に取り組んでいきます。

不二製油株式会社における教育体系GRI:404-2

不二製油(株)では、階層別研修、選抜・手上げ式研修、カフェテリア式研修など多様な研修機会に加え、通信教育受講補助制度や資格取得奨励などを通じて、従業員のスキル向上を支援しています。これらの教育体系は、中期経営計画「Reborn 2024」の開始時(2021年度)に設定した以下の3つの基本コンセプトに基づき、年度ごとに拡充を図ってきました。

  • 多様な専門性の習得機会の提供
  • 自律的なキャリア形成の支援
  • 上司が部下のキャリアを真剣に考え、支援する風土の醸成

中期経営計画「United for Growth 2027」では、グローバルな事業展開および成長領域の強化を見据え、従業員一人ひとりが自律的に考動し、チームで成果を出す力を高めることを人材戦略上の重要テーマと位置づけています。これを踏まえ、従来のコンセプトを継承しつつ教育体系の拡充を進めるとともに、人事部門はポータブルスキル(汎用的スキル)の教育機会提供を中心に体系を整備し、各部門は当該部署で求められる専門スキルの育成を担うことで、役割を明確化した体系的な人材育成を推進しています。
2025年度は、管理職向け教育および組合員向け階層別研修の拡充に加え、語学研修などの「GLOBALプログラム」を強化し、グローバルに活躍できる人材の育成を進めました。また、DX・デジタル領域のリテラシー向上を目的として「FUJIデジタルアカデミー」を実施し、初年度は122名が受講するなど、業務改善への活用につながっています。さらに、2023年度に導入したカフェテリア形式の「FUJIラーニングカフェ」は、雇用形態を限定せず、全ての従業員に成長機会を提供していますが、2025年度にコンテンツを拡充し、学び続ける風土を強化しています。
これらの取り組みにより、エンゲージメントサーベイにおける「成長機会」「自己成長への支援」「キャリア機会の提供」に関するスコアは、第1回(2023年7月)から第6回(2026年1月)にかけて、それぞれ3ポイント・4ポイント・7ポイントと大きく向上し、人材育成施策の効果が着実に表れています。

図:不二製油株式会社 2025年度教育体系

不二製油株式会社 2025年度教育体系

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不二製油株式会社におけるキャリア支援体制GRI:404-2

不二製油(株)では、従業員一人ひとりの主体的なキャリア形成を支援するため、各種制度・仕組みを整備しています。
評価フィードバックの場において上司と成長課題や育成方針を共有する機会に加え、全正社員を対象に「キャリアアップコミュニケーションシート」を活用した年1回の面談を実施し、キャリアの棚卸しや将来展望の可視化を通じて、適正配置と活躍機会の創出につなげています。
また、2023年度に導入した社内公募制度や、2024年度に導入した非雇用型業務を対象とする副業制度についても、全直接雇用従業員を対象としており、従業員が主体的にキャリアを考え、挑戦と成長の機会を得られる環境を整えています。
さらに、2021年度にリニューアルして導入した海外トレーニー制度では、半年間の海外語学研修後、海外現地法人でOJTを中心とした業務研修を実施しています。加えて、拡大する海外事業の中枢を担う人材の早期育成を目的に、抜擢型の「日本国内で受講できる海外人材育成研修」を2023年度に開始しました。自ら課題を抽出し解決する実践力や、異なる文化・習慣・環境を受容する素地形成を促し、将来の海外グループ会社の経営人材候補の早期育成に取り組んでいます。

海外グループ会社における人材育成の取り組みGRI:404-2

海外グループ会社では、エンゲージメントサーベイの結果を踏まえ、「リーダー育成」を重点領域として位置づけています。これを受け、従来は体系的な研修の整備が十分でなかった小規模拠点を含め、マネジメント研修を中心とした各種研修の拡充を進めています。
フジ オイル ガーナでは、管理職を対象に、自社の価値観の浸透に加え、目標設定や評価フィードバックに関する研修を実施しました。また、巴洛美巧克力制造(上海)有限公司では、エンゲージメントサーベイ結果に基づき、全従業員を対象に感情知能指数(EQ)の向上に焦点を当てたプログラムを展開し、感情の自己管理やコミュニケーションの質の向上を通じて、チームワークの強化を図っています。
2026年度以降も、グループ共通重点領域である「期待値の明確化(業務の進め方や目標の整合性を高める仕組みづくり)」および「心理的安全性があり、強みを活かす文化の醸成」を踏まえ、各種研修や仕組みづくりが数多く検討されており、全社方針のもと、各社の育成施策の質の担保や継続実施を支援していきます。