製品安全と品質管理の徹底
マテリアリティ
食品安全と健康
方針
不二製油グループは、「安全品質環境 品質基本方針※」を定めています。
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※ 不二製油グループ 安全品質環境 基本方針
https://www.fujioil.co.jp/sustainability/policy/basic_policy/
ガバナンスGRI:3-3
当社グループは、取締役会の諮問機関であり、代表取締役社長兼CEOが委員長を務めるサステナビリティ委員会※1を設置しています。サステナビリティ委員会では、ESGマテリアリティ重点項目※2「製品安全と品質管理の徹底」について、マルチステークホルダー視点で審議・監督し、取締役会へ答申しています。また、執行役員 安全品質生産技術本部長の管掌のもと、取り組みを推進しています。
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※1 ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標>ガバナンス
https://www.fujioil.co.jp/sustainability/sustainability_management/#governance
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※2 ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標>指標と目標
https://www.fujioil.co.jp/sustainability/sustainability_management/#index
戦略GRI:3-3
当社グループは、フードサプライチェーンの一員として、食の安全に影響を与え得る存在です。そのため製品設計から原料調達、製造、出荷、そして消費者が口にするまでを考慮して、食の安全と品質管理を徹底させることが必須と考えています。
安全・安心な製品を社会に提供する務めを怠った場合、例えば、消費者の健康に悪影響を与え、顧客の生産計画やブランド価値に影響を及ぼすなど、当社の企業価値や収益性の低下につながる恐れがあります。一方で継続的に安全で品質の高い製品を提供し続けることで、顧客や社会からの信頼を高め収益の安定や企業価値の向上につながる機会となり得ます。
製品安全と安定品質の製品出荷を最優先に、製品設計からお客様にお届けするまでの品質保証体制の確立と強化に努めています(顧客および消費者を総称し、お客様と表現しています)。具体的には、グループ全体を対象に制定した「品質保証規程」に基づく品質および食品安全マネジメントの強化や、従業員の継続的な品質意識向上のための活動を推進することで、食の安全と品質管理を徹底していきます。
リスク管理
不二製油グループでは、ESGマテリアリティ・サステナビリティ課題領域「食品安全と健康」に関するリスクと機会を、全社重要リスク項目と関連づけながら、体系的に管理しています。
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全社重要リスク
リスク分類「戦略」「製品」「調達」
リスク管理と対策
品質マネジメント体制の強化
「不二製油グループ 安全品質環境 基本方針」を事業活動に適用するため、1990年代前半から各グループ会社において、ISO9001(品質マネジメントシステムの国際規格)やFSSC22000(食品安全マネジメントシステムの国際規格)またはこれらに類する認証取得を通じて、品質マネジメント体制の構築とさらなる強化に努めています。また「品質保証規程」に基づき、各グループ会社の管理状況を計画的にモニタリング(安全・品質・環境監査)しています。
お客様からの品質に関する苦情、クレーム、お問い合わせについて、当社グループでは営業部門やお客様相談室が受けつけています。これらは各グループ会社の品質保証部または品質保証を担っている部署で精査され、適切な担当部署で検証や調査を実施しています。その後、責任部署の確認を経て営業部門からお客様へ回答しています。また、各グループ会社で受けつけたお客様の苦情、クレームのデータは、各社が収集・分析しています。不二製油はそれらの情報を集約・分析し、経営会議に報告の上、グループ会社全体で情報共有しています。
加えて、包括的に品質保証に携わる品質管理者間での情報共有の促進ならびに品質保証体制の向上を目指し、品質管理者間のネットワークの構築を進め、取り組みの共有・グループ内の好事例や管理ノウハウの横展開を行っています。本ネットワークの活用により、他グループ会社との経験知の共有や、他国における最新の食品規制情報および国際的な食に関するトレンドのアップデートを行っています。これにより製品安全・品質に関する新たな課題や潜在的なリスクの低減・解消に努め、安全・安心の向上に向けた継続的改善につなげることができると考えています。問題発生時には、分析手法の共有や専門家の派遣などの相互協力により速やかな解決を図り、お客様のご不便の解消に努めます。

食の安全に関するリスク管理手法
当社グループ全体のリスクマネジメントシステム※の中で、各グループ会社および関係部門が管理・対応しています。
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※ リスクマネジメントシステム
食の安全に関するリスクと対策
2024年度のリスクアセスメントの結果、食の安全に関して、異物やアレルギー物質、不適切な原材料の混入リスクが改めて認識されました。これらについては、食品安全マネジメント認証や品質マネジメント認証の取得および維持、内部監査での重点的な評価・指導・改善、および3S活動や5S活動の実施強化により低減に努めています。
また、商品回収訓練やトレーサビリティ検証を計画的に行うことで、仕組みや手順の有効性や妥当性の確保に努めています。
重大な品質事故(当社製品が原因で消費者への健康被害が発生(またはその可能性がある)や販売先国内の食品関連法規違反(またはその恐れがある))の場合には、クライシス対応に関する規程に基づいて速やかに経営層に伝達される仕組みを構築しています。
教育GRI:403-5
当社グループは、各グループ会社の品質保証部や品質保証を担う部署が現地の実情に合わせて、従業員の品質意識向上のために教育活動を計画・実施しています。例えば不二製油(株)では行動指針を掲げ、各工場での取り組みを支援するとともに、衛生講演会などを実施しています。2024年度の衛生講演会では生産職場の従業員を中心に約70名が対面参加し、リモート配信も行いました。そのほか、日本科学技術連盟や日本規格協会等が主催する「品質月間委員会」が定める品質月間(毎年11月)にも参画しています。品質月間では、品質テーマを決めて周知徹底を図るなど、従業員全員の意識の啓発に力を入れています。
また海外グループ会社では、「食品安全文化活動」(巴洛美巧克力製造(上海)有限公司(中国))、「品質・食品安全の日」(ハラルド(ブラジル))、「品質と食品安全文化啓発プログラム」(フレイアバディ インドタマ(インドネシア))などのイベント開催による意識向上を図っています。

フレイアバディ インドタマ(インドネシア)における教育活動
製品表示GRI:417-1
製品表示に関する要求事項は販売する国によって大きく異なるため、各グループ会社の品質保証部もしくは品質保証を担う部署が情報を収集し、各国・地域の法令にのっとった製品表示の徹底に努めています。
例えば不二製油(株)では、法令については品質保証部が毎日情報収集し、改正があれば日常的に社内関係者に伝えることで、迅速かつ的確に製品表示に反映しています。また、製品表示の内容で法令に触れる誤りがないか、実際に表示する前に開発部門・生産部門・品質保証部などの担当者がチェックする仕組みを作り、管理を徹底しています。さらに、お客様が求める情報は、商品規格書や不二製油(株)ウェブサイトなどでタイムリーに開示することで透明化を図っています。
2024年度、製品表示に関する重大な違反は、国内および海外グループ会社において発生していません。
指標と目標GRI:416-2
〇:目標に対して90%以上達成、△:目標に対して60%以上達成、×:60%未満
2024年度目標 | 2024年度実績 | 自己評価 |
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重大品質クレーム※ゼロを実現するための従業員の品質意識・食品安全意識向上 | 重大品質クレームゼロ | 〇 |
各グループ会社の品質担当者とのコミュニケーション強化、食品安全文化・品質情報などの情報共有の促進 | グループ製造会社の商品回収訓練の手順や訓練記録、内部監査における指摘事項や好事例、食品安全ガイダンス等の共有 | 〇 |
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※ リコール(商品回収)が必要な、健康危害を与えるまたは法律違反している食品事故。
考察
安全品質パトロール、内部監査、あるいは外部機関による監査などを通じて指摘された不適合事項の解消や、過去に発生した顧客クレームの再発防止のための是正処置・予防処置の実施により、製造現場の衛生管理維持に努めたことから、重大品質クレーム(リコール)は発生しませんでした。また、品質保証レベルの向上とグループ内での品質情報共有を目的に構築したプラットフォームでは、自社および自国の品質情報を提供・共有できるようになりました。加えて、特定のテーマのもと自社事例を共有し合うことで、他社事例を学ぶ機会を作り、品質保証レベルの向上を図っています。
Next Step
2025年度も重大品質クレームゼロを目標としています。目標達成に向けて、品質クレーム削減とグループ会社の品質保証レベル向上が課題であると考えています。これら課題への対策として、以下の2025年度目標に取り組みます。
- 従業員の品質意識・食品安全意識向上活動等を通じての重大品質クレームゼロの実現
- 各グループ会社の品質担当者とのコミュニケーション強化、食品安全文化・品質情報などの情報共有の促進