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信頼性ある内部通報制度の運用/公正な取引の推進

マテリアリティ

公正な企業活動

方針

不二製油グループでは、グループの使命・目指す姿・価値観・行動原則を明文化したものとして、2015年10月に「不二製油グループ憲法」を制定しており、企業活動を行う上での拠り所として位置づけています。「不二製油グループ憲法」に掲げられた不二製油グループの経営理念を実現するため、事業活動を行う全ての過程で役職員全員が守らなければならない規範である「不二製油グループ行動規範三原則(2003年2月策定)」を遵守し、企業としての社会的責任を果たします。

不二製油グループ行動規範三原則(2003年2月策定)

  • ルールを守ります。
    各国及び地域に適用される法律・法令を守ります。
    会社の定めた規則やルールに従って行動します。
    社会規範を守り、社会の期待と信頼に応えます。
  • 正直に行動します。
    自分の良心に従って行動します。
    ミスや失敗を隠しません。
    報告と説明は、事実に基づき、適時・適切に行います。
  • 公正に行います。
    公正かつ適正な取引を行います。
    公私のけじめをつけ、不正な行為はしません。
    事業活動に関わる人々の人権を尊重し、人種、性、宗教の多様性に配慮します。
    強要や賄賂行為は行いません。
    反社会的勢力の介入を許しません。

ガバナンスGRI:3-3

不二製油グループは、取締役会の諮問機関であり代表取締役社長兼CEOが委員長を務めるサステナビリティ委員会※1を設置しています。サステナビリティ委員会では、ESGマテリアリティ重点項目※2「信頼性ある内部通報制度の運用」「公正な取引の推進」について、マルチステークホルダーの視点で審議・監督し、取締役会へ答申しています。また、上席執行役員 最高財務責任者CFO兼法務部門担当役員の管掌のもと、法務部門がグループ全体におけるコンプライアンス意識の浸透に資するさまざまな施策の企画やコンプライアンス課題の改善などの取り組みを推進しています。コンプライアンスに関わる同取り組みについては、取締役会によるコーポレートガバナンス体制監督の一環として、毎年、法務部門より取締役会に対して報告がなされています。

戦略

公正かつ透明性のある事業活動は、社会の公器としての企業が活動する上で基礎となるものであることから、グループ全体においてコンプライアンスに関する諸施策に取り組んでいます。
公正性と透明性が損なわれると、法令違反による法の制裁のみならず、ステークホルダーからの信頼を失うなど、その負の社会的影響は計り知れません。そのため、不正の早期発見および適切な対応の実施により、影響の拡大・長期化を回避し、損害の最小化を目指すことが求められています。
当社グループでは、前述の「不二製油グループ憲法」および「不二製油グループ行動規範三原則」に定める基本的な価値観・精神を、日々の業務の中で実践することで、公正かつ透明性のある事業活動の継続を図ります。特に、「風通しの良い風土や企業文化の醸成が、コンプライアンスの強化に重要」という認識のもと、トップによるコンプライアンスメッセージの継続的な発信を実施し、その他コンプライアンス施策の強化を図っています。

リスク管理

不二製油グループでは、ESGマテリアリティ・サステナビリティ課題領域「公正な企業行動」に関するリスクと機会を、全社重要リスク項目と関連づけながら、体系的に管理しています。

腐敗防止

重点コンプライアンス分野の一つとしての贈収賄・腐敗防止については、グループ全体に適用される贈収賄防止基本規程(社外非公表)を制定し、贈収賄を禁止しています。
また、当社グループを代理して事業を行うビジネスパートナーに対しても、贈収賄禁止を徹底しています。ビジネスパートナーと取引を実行する前には、適切なデュー・ディリジェンスを行うとともに、当該ビジネスパートナーとの契約に贈収賄防止および汚職防止条項を盛り込むなど、必要な手当てを行っています。
これらの贈収賄防止策をグループ全体に浸透させるべく、贈収賄に関する教育・啓発にも重点を置いています。「不二製油グループ・ビジネス行動ガイドライン」では、事例とともに贈収賄・腐敗防止を包括的に取りあげているほか、従業員に対し定期的にeラーニングや集合研修を行っています。2024年度に実施した、贈収賄・腐敗防止に関するグローバルeラーニングの受講率は、96.2%でした。
また、グループ各社の従業員は、内部通報制度を利用して、会社に対し贈収賄・腐敗に関する懸念や苦情を、匿名で提起することができます。当社の取締役会は、同社の法務部門から贈収賄に関する対応施策の報告を受け、当該施策の内容および運用を監督しています。

  • ※ 対象は、当社グループの役員、執行役員およびテーマに関連性の高い役職または部署に属する従業員。

教育GRI:205-2

ビジネス行動ガイドライン

「不二製油グループ憲法」や「不二製油グループ行動規範三原則」は、不二製油グループの基本的な価値観を表しています。これに対し、日常業務で遭遇する法や倫理に関する事案での判断に、一定の指針を示すものとして、「不二製油グループ・ビジネス行動ガイドライン」を制定し、冊子やPDFにて従業員に配布しています。また、当社グループが進出する国の言語、法令に適応するため、9言語で展開しています。同ガイドラインに含まれる事例を題材にした勉強会を実施するなど、グループ会社でも同ガイドラインの積極的な活用が図られています。

コンプライアンス研修

従業員全体のコンプライアンス感度の向上を目指し、毎年グローバルeラーニングを実施しています。これは、贈収賄・腐敗防止、独占禁止法の遵守といった、公正な取引に関わる法令をはじめとする、コンプライアンスの重要分野をテーマとしたもので、国内外のグループ会社従業員を対象とし、9言語に対応しています。加えて、各国の法令や地域特性、リスクを考慮の上、適切なテーマと受講対象者を設定した集合研修も、毎年実施しています。
2024年度は、国内の役員・執行役員を対象に、カルテル防止に関わる集合研修を実施しました。また、テーマに関連性の高い部門の従業員を対象に、独占禁止法(カルテル防止)および下請法・フリーランス保護新法に関わる集合研修も実施しています。海外では、中国グループ会社を対象に、商業賄賂防止、食品安全に関する法的責任などの、地域課題に焦点を当てた集合研修を実施しました。

  • ※ 当社グループの役員、執行役員およびテーマに関連性の高い役職または部署に属する従業員が必須受講者。

中国グループ会社で実施された集合研修

モニタリング

法務部門では、監査等委員や内部監査担当部門、リスクマネジメント担当部門などの他部門と連携を図り、国内外のグループ会社を対象としたコンプライアンスモニタリングに取り組んでいます。また、当社の法務部門は各グループ会社に対し、年3回行う内部統制法務確認シートの回付および回答の収集・分析や、グループ会社からのヒアリングなどを通じて、カルテルや贈収賄・腐敗等を含むコンプライアンスに関わるリスクの把握や、コンプライアンス活動の実施状況の確認に努めています。

内部通報制度GRI:2-25, 26

当社グループまたは当社グループの役職員等による法令違反行為、不正行為等およびその恐れのある行為について、相談・連絡いただけるよう、国内向けの「内部通報窓口」および海外グループ会社の役職員等向けの「コンプライアンス・ヘルプライン」を設けています。
当社の内部通報規程では、法令違反行為等に関する通報の適正な仕組みを定めており、通報者保護のため、上記「内部通報窓口」および「コンプライアンス・ヘルプライン」に通報したことを理由に、通報者となった役職員等を解雇および不利益に取り扱うことを禁止しています。また、通報者に対して不利益な取り扱いや嫌がらせなどをしたものに、就業規則などに従い処分を課すことができると定めています。
2024年度にグループ全体で寄せられた通報件数は、69件でした。このうち重大な法令違反は0件でした。当社の取締役会は、グループ全体に寄せられた通報件数、概要、是正措置などについて、同社の法務部門より毎年報告を受け、内部通報制度の運用状況の監督を行っています。グループにおける内部通報制度の周知活動も成果をあげ、本社が管理・運営する上記通報窓口に対する認知度は、ここ数年90%を超える水準となっています。

指標と目標GRI:2-27、205-1、206-1

〇:目標に対して90%以上達成、△:目標に対して60%以上達成、×:60%未満

2024年度目標 2024年度実績 自己評価
重大な法令違反ゼロ 不二製油グループの事業運営に関わる重大な法令違反は0件
重要法規違反リスク管理体制の構築 前掲の内部統制法務確認シートによるコンプライアンスリスクおよび活動状況の把握・確認を実施
グループ全体を対象とするコンプライアンスプログラムの実施 前掲のグローバルeラーニングおよび集合研修の実施
従業員のコンプライアンス意識向上 アンケート「ビジネスとコンプライアンスが対立した場合にコンプライアンスを優先する風土があるか」に対する肯定回答率は90.3%(前年対比1.0ポイント減少)

考察

2024年度は、取り組み強化分野として、日本国内における内部通報窓口の設計見直しを実施しました。通報者の匿名性の確保およびプライバシー保護の強化、通報窓口の透明性・公正性の担保、それらによる通報窓口の「会社の不正の吸い上げ」機能の発揮を目指すべく、通報窓口を、社外の弁護士事務所に設置する通報窓口に一本化しました。また、より広範囲にわたって不正の兆しを見つけるために、通報窓口を当社のコーポレートサイトに掲載することで、社外からもアクセス可能な通報窓口へ変更しました。
2024年度、当社グループの事業運営に関わる重大な法令違反はゼロでした。グループ全体での従業員のコンプライアンス意識は、若干ながら下降傾向が見られましたが、一方で、アンケート「コンプライアンス上の問題が懸念される場合、上長に迅速に伝えやすい風土があるか」という設問に対して「はい」と回答した人の割合は、グループ全体で95.6%(前年対比1.3%増加)になっています。コンプライアンス推進のためには、引き続き各社の経営トップからコンプライアンス重視の方針を発信することが重要と考え、今後もコンプライアンストップメッセージの発信等の施策の実施を検討していきます。

Next Step

2025年度も重大な法令違反ゼロを目標としています。信頼性ある内部通報制度の運用、公正な取引の推進に向け、グループ全体のコンプライアンスリスク体制(贈収賄その他腐敗防止を含む)を構築すべく、以下の具体的目標・施策に取り組みます。

  • 重大な法令違反ゼロ
  • 内部通報制度に対する信頼感の醸成
  • 内部通報制度に対する心理的安全性の醸成
  • グループ全体を対象とするコンプライアンスプログラムの実施
  • 従業員のコンプライアンス意識向上

関連資料