グループ会社一覧

CO2の排出削減

マテリアリティ

環境に配慮したものづくり

方針

不二製油グループは、2015年に「環境基本方針」を策定しました。

ガバナンス

当社グループは、取締役会の諮問機関であり代表取締役社長兼CEOが委員長を務めるサステナビリティ委員会※1にて、ESGマテリアリティ重点項目※2「CO2の排出削減」について、マルチステークホルダーの視点で審議・監督し、取締役会へ答申しています。また、執行役員 安全品質生産技術本部長管掌のもと、「環境ビジョン2030/2050※3」達成に向け、同重点項目の取り組みを推進しています。

戦略

脱炭素への取り組みが世界的に進展する中、国連気候変動枠組条約第29回締約国会議(COP29)ではCO2の排出量削減を進める上で、各国の緩和および適応策の実効性と透明性の向上が求められています。一方で、一部の地域では環境規制の見直しや、気候変動対策に対する姿勢の後退が懸念される動きが見られます。このような状況下においても、農産物を主原料とし、世界各地の生産拠点でエネルギーを使用し、自然の恩恵を受けながら操業する当社グループにとって、温室効果ガス(GHG)排出量削減を含む気候変動への対応は重要な課題です。今後、気候変動の緩和が進まなければ、当社グループも自然災害リスクはもとより、原料収穫量減少による安定調達への影響や、炭素税などの環境規制によって事業活動が制限を受けるリスクが高まります。一方で、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを強化することで、エネルギーコストの削減や持続可能な企業成長につながる機会を創出できると捉えています。
こうした認識のもと、当社グループはESGマテリアリティ重点項目「CO2排出量の削減」に関する環境ビジョン目標を改定しました。長期目標として、事業活動におけるGHG排出量のネットゼロ達成を掲げるとともに、短期目標として、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が推奨する1.5℃目標と整合した削減目標を設定しました。加えて、農業・森林・土地利用に起因する排出(FLAG※2)にも着目し、これらの分野における新たな削減目標も設定しました。原材料の調達や土地利用に関わる排出の削減にも取り組むことで、サプライチェーン全体の環境負荷低減を図り、より包括的なネットゼロ実現を目指します。これらを踏まえ、「環境ビジョン2030/2050※1」を新たな指針とし、グループ全体でGHG排出量の削減に取り組んでいきます。目標達成に向け、継続的な生産現場での省エネ活動はもとより、エネルギー使用量の少ない新設備や再生可能エネルギーの導入も推進しています。日本では、2030年までに全ての購入電力をCO2フリー電力※3へ切り替える活動を進めており、グループ一体となって目標達成を目指しています。

  • ※1 環境マネジメント>指標と目標

    https://www.fujioil.co.jp/sustainability/environmental_management/#index

  • ※2 FLAG(Forest, Land and Agriculture):土地利用の変化、土地管理、炭素除去を合わせた温室効果ガス排出量。
  • ※3 CO2フリー電力:電力事業者が提供する、CO2フリーの価値を付加した再生可能エネルギー由来の電力。CO2排出係数をゼロとして算定できる。

リスク管理

不二製油グループでは、ESGマテリアリティ・サステナビリティ課題領域「環境に配慮したものづくり」に関するリスクと機会を、全社重要リスク項目と関連づけながら、体系的に管理しています。

指標と目標GRI:305-5

2030年度目標※1 2024年度実績※1 2030年度目標の
達成率
スコープ1※2+2※3総量40%削減(グループ全体) 31%削減 78%
スコープ3※4(カテゴリ1※5)総量18%削減(グループ全体※6 16%増加 未達成
  • ※1 基準年:2016年度。
  • ※2 スコープ1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出。
  • ※3 スコープ2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出。
  • ※4 スコープ3:事業者の活動に関する他社の排出(カテゴリ1~15)。
    2016年度:IDEA ver3.3係数を用いて算定、2023年度・2024年度:IDEA ver.3.4 係数を用いて算定。
  • ※5 カテゴリ1:購入した製品・サービスによる間接排出。
  • ※6 フジ ブランデンブルク(ドイツ)は除く。
  • ※ グループの対象は、2025年3月末時点。
    グループ会社一覧
    https://www.fujioil.co.jp/pdf/sustainability/download/esg2025.pdf

〇:目標に対して90%以上達成、△:目標に対して60%以上達成、×:60%未満

2024年度目標 2024年度実績 自己評価
CO2排出量削減の新目標策定
  • 新目標を策定。2025年度からは新たな削減目標達成に向けた活動を推進

(※本サステナビリティレポートでは旧目標にて報告)
2030年度:スコープ1+2 GHG総排出量 42%削減
スコープ3(カテゴリ1) GHG総排出量 25%削減
FLAG GHG総排出量 30.3%削減
2050年度:スコープ1・2・3GHG総排出量 ネットゼロ

スコープ1+2排出量
削減レベルの向上
省エネ活動や再生可能エネルギー導入の継続的推進
  • グループ会社4社へ環境監査を通じた社内啓発を実施
  • 不二製油(株)にて省エネ活動の活性化および自立化を目指した省エネパトロールを開始
海外グループ会社へのインターナルカーボンプライシング制度導入促進 海外グループ5社に対してインターナルカーボンプライシングのトライアル導入を開始。
スコープ3排出量
削減レベルの向上
サプライヤーエンゲージメントの継続的実施 国内外サプライヤー20社に対し、オンライン面談やアンケート送付などを通してエンゲージメントを実施

考察

スコープ1+2のCO2排出量は、対基準年度(2016年度)削減率について、2024年度実績は31%削減となり、前年の30%削減より1ポイント好転しました。この結果、2030年度目標に対する達成率は78%となりました。日本の事業拠点では購入電力の約50%がCO2フリーになり、海外グループ各社でも節電や設備保全など省エネ活動や再エネ導入が寄与しました。環境マネジメントについては、環境監査を通じて改善を図りました。また、環境配慮の投資を促進するため、一部の海外グループ会社において、インターナルカーボンプライシング制度(ICP単価:1万円/t-CO2)のテスト導入の準備を行いました。
スコープ3カテゴリ1のCO2排出量については、対基準年度(2016年度)、2024年度実績は16%増加しましたが、前年の21%削減より5ポイント好転しました。生産量の増加に伴い、スコープ3カテゴリ1のCO2排出量も増加しており、2030年度目標に対しては達成率0%となりました。これらの排出量を削減するために、国内外のサプライヤー様のうち20社を対象に、面談やアンケート調査を通じてエンゲージメント活動を実施しました。当社の削減目標を共有し、供給いただく製品に関連するCO2排出量の原単位情報を収集しています。
2024年度には、社会全体の脱炭素化への関心の高まりや、お客様・ステークホルダーからの期待の高まりを受け、当社グループはCO2削減に関する「環境ビジョン」の目標を改定しました。新たな長期目標として、事業活動における温室効果ガス排出量のネットゼロ達成を掲げるとともに、短期目標では、1.5℃目標と整合した削減目標を設定しました。加えて、FLAGに関する新たな削減目標も定めました。

CO2総排出量(スコープ1+2)と原単位推移

Next Step

当社グループは基準年度から順調にCO2排出量を削減しています。脱炭素社会の実現に向け、2025年度以降は新目標達成に向け、以下の活動に取り組みます。

  • スコープ1+2排出量削減レベルの向上
    - 省エネ活動や再生可能エネルギー導入の継続的推進
    - 国内グループ社へのエネルギー管理の取り組み調査
    - 海外グループ会社へのインターナルカーボンプライシング制度導入促進
  • スコープ3排出量削減レベルの向上
    - サプライヤーエンゲージメントの継続的実施
  • FLAGについては削減手法の情報を収集

具体的な取り組み

日本国内のエネルギー管理活動

不二製油グループ本社を除く国内グループ会社では「環境ビジョン2030」への取り組みとして、エネルギー管理や改善活動を推進しています。具体的には、エネルギー管理拠点責任者が参加する「エネルギー管理代表委員会」において、CO2排出量削減の見通しや購入電力のCO2フリー化に向けた計画の確認および、国内外の環境に関するトピックス(改正省エネ法※1やCOP29等)を共有しました。また、2023年度より開始し推進している省エネパトロールにて、抽出したエア漏れ等のエネルギーロスを積極的に改善するとともに、全社的な底上げを目指し、横断的な活動として他工場へ横展開しました。これらの活動により、省エネ法における努力目標※2は2024年度報告分(2023年度実績)も達成できました。

「環境ビジョン2030/2050」の目標達成に向け、さらなるCO2排出量の大幅な削減施策として、阪南事業所では2025年にコージェネレーション設備※3を更新※4する予定です。なお、本設備は改造により水素混焼できる仕様としています。水素への燃料転換については、水素サプライチェーンの整備状況を注視し、適切なタイミングでの利用を目指しています。

  • ※1 改正省エネ法:2023年4月に施行された「エネルギーの使用の合理化および非化石エネルギーへの転換等に関する法律」を指す。
  • ※2 努力目標:5年間平均原単位を年1%以上低減。
  • ※3 コージェネレーション設備:天然ガス、石油等を燃料として、タービン等の方式により発電し、その際に生じる廃熱も同時に回収するシステム(経産省HPより引用、抜粋し一部改変)。
  • ※4 省エネの補助金(令和4年度省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金)の採択事業。

生産設備の省エネ化

2024年度の省エネ化事例は以下のとおりです。

  • 不二製油(株)では、生産プロセスから回収した排熱を他プロセスの加熱源として再利用し、省エネを図りました。
  • 不二製油(株)阪南事業所やオーム乳業(株)では、IoTを利用した新たな空調自動制御技術を導入し、室内環境を快適に保ちながら省エネを実現しました。
  • 天津不二蛋白有限公司(中国)では、トラップの交換やモーターを省エネタイプへ更新することにより、エネルギー効率を改善しました。
  • 不二製油(張家港)有限公司(中国)ではタンクトレースの熱源として廃熱を有効利用し、省エネを実現しました。
  • ブラマー チョコレート カンパニー(米国)ではコンプレッサーの排熱回収ユニットの導入と照明の省エネ化により、省エネルギーを達成しました。

再生可能エネルギーの導入GRI:302-4

当社グループの20生産拠点のうち、12拠点で太陽光発電を設置しています。2024年度は、フジ オイル ガーナにて新たに太陽光発電利用を開始しました。ブラマー チョコレート カンパニー(米国)では、生産拠点のあるペンシルベニア州、カリフォルニア州の法律にのっとり再生可能エネルギーを一部使用しており、さらにRECs※1を購入しています。不二製油(株)阪南事業所・千葉工場およびフジ オイル ガーナでは、製造工程で副産物として生成されるバイプロ油を燃料として活用するバイオマスボイラーを導入し、CO2および廃棄物の削減に貢献しています。さらなる燃料利用に向けて、油脂排水から油分を分離する取り組みを始めました。東京支社のオフィスでは、使用する電力量分の「グリーン電力証書※2」を購入しています。これによりCO2を排出しない自然エネルギー由来の電力とみなされるため、同所の2024年度のCO2排出量約30t-CO2相当を削減したことになります。これら取り組みの結果、スコープ1+2におけるCO2排出量に占める再生可能エネルギーの割合は6%になりました。

  • ※1 RECs:Renewable Energy Certificates
  • ※2 グリーン電力証書:再生可能エネルギーの「環境付加価値」を証書として発行したもの。

フジ オイル ガーナでは太陽光パネルを導入

スコープ3の削減活動

スコープ3のCO2排出量削減に向け、カテゴリ1排出量の約9%を占める国内外のサプライヤー20社に対し、面談やアンケート調査を通じてエンゲージメントを実施しました。サプライヤーにCO2排出削減の重要性、当社グループの方針、環境目標や削減活動についてご理解いただくとともに、サプライヤーのCO2削減目標や取り組み状況を共有いただきました。
サプライチェーン全体のCO2排出量削減に向け、サプライヤーのCO2削減効果を当社グループのスコープ3算定に反映できるよう、引き続きエンゲージメントを実施していきます。

ハラルド・ムンド工場:空調システムが気候変動対策イノベーションとして受賞

ハラルド(ブラジル)のムンド工場は、SMACNA※1とABRAVA※2から「気候イノベーション賞」を受賞しました。これは、同社の新しい省エネ空調システムの優れた性能が評価されたものです。 ハラルドと空調業者の協業により開発したシステムは、省エネ性能だけでなく、職場の快適性、生産性、そして持続可能性を向上させました。

  • ※1 SMACNA(Sheet Metal and Air Conditioning Contractors' National Association/全米板金・空調設備業者協会):米国を拠点とする板金・空調設備業者を代表する国際業界団体。
  • ※2 ABRAVA(Associação Brasileira de Refrigeração, Ar Condicionado, Ventilação e Aquecimento/ブラジル冷凍空調設備協会):ブラジルを代表する業界団体。

関連資料