グループ会社一覧

統合報告書
CFOメッセージ

資本効率を高め、企業価値向上へつなぐ

CFOとして不二製油らしい成長を支える

取締役 兼 上席執行役員
最高財務責任者(CFO)兼 財務経理本部長 兼 人事総務本部長 兼 情報開示担当
前田 淳

「人マネをしない」、「挑戦することを原点に、まだない価値を社会に届ける」。

技術の力でこれまでになかったものを生み出し、顧客や社会にとって価値あるものを創出してきたことは、不二製油グループの強みであり、私自身、誇りに思っています。投資家の皆様との対話の中で、「仮に投資額や収益性が同じ案件が二つあった場合、どのような判断軸をもって投資を選択するのか」とご質問を受けたことがあります。その際、私は、案件を見極めるうえでは「不二製油らしさ」が発揮されるかどうかを判断軸の一つにしているとお答えしました。当社が培ってきた技術や知見を活かし、顧客や社会の課題解決につながる価値を生み出せるかどうかは、投資判断において欠かせない視点です。

CFOである私が果たすべき役割は、こうした不二製油らしい挑戦と成長を、企業価値向上へと結び付けていくことです。そのためには、成長機会に必要な資本を投じられる健全な財務基盤を築くとともに、トップラインの成長だけでなく、資本効率を高め、創出した利益を持続的な企業価値向上へつなげていく必要があります。また、資本市場と向き合う立場として、不二製油グループの価値創造のあり方を分かりやすく伝え、当社グループの成長性について、より深くご理解いただけるよう努めてまいります。

2025年度は植物性油脂事業の伸長を中心に、過去最高となる事業利益360億円を達成しました。一方で、企業価値向上に向けては、利益水準の向上にとどまらず、資本効率を高めるとともに、資本市場からの成長期待を醸成していくことが必要です。こうした課題に対し、企業価値の構成要因を明確にするため、PBRをROEとPERに分解し、ROEの向上に向けては収益の拡大と資本効率の改善に取り組み、PERの向上に向けては、当社グループの成長性や戦略を的確に伝える情報発信の強化に取り組んでいます。これらの取り組みを実効性あるものにするための軸が、FUJI ROICです。

FUJI ROICを軸とした成長投資と資本効率の向上

当社グループではFUJI ROICを経営の共通軸とし、投資判断に加え、調達・生産・販売を一体で管理することで運転資本の適正化を進め、資本効率の向上を図っています。2024年度から2025年度にかけては、カカオ価格の高騰により、業務用チョコレート事業を中心に運転資本が増加し、キャッシュ・フローの面で厳しい局面が続きましたが、運転資本の適正化について事業本部と議論を重ね、適正在庫量の管理などを進めることで、改善を図っています。

また、2025年度に再編した投資管理レビュー制度の運営にあたっては、FUJI ROICと成長率を評価基準とし、経営陣が継続的に投資案件の進捗を確認し、当初想定した収益や資本効率が実現できているかを検証する仕組みを強化しています。指標を導入するだけでなく、実際の意思決定や事業運営の中で実効的に機能させることで、成長投資の規律を高め、既存事業においても資本効率の向上とキャッシュ創出力の改善に取り組んでいます。

キャッシュ創出力を高め、次の価値創造へつなぐ

キャッシュアロケーションについては、営業キャッシュ・フローの創出を起点に、財務基盤の健全化、成長投資、株主還元のバランスを図っていきます。今中期経営計画期間においては、累計1,300億円規模の営業キャッシュ・フロー創出を見込んでおり、この安定的なキャッシュ創出力が、持続的な企業価値向上の基盤となります。2025年度末には、カカオ価格の下落に加え、グループ各社で進めてきた運転資本削減に向けた取り組み、植物性油脂事業を中心とした利益伸長により、営業キャッシュ・フローが大幅に改善し、フリーキャッシュ・フローも黒字化しました。今後も運転資本の適正化を含めた資本効率の改善を継続し、外部環境の変化に左右されない強固な財務基盤を築いていきます。

創出したキャッシュについては、まず有利子負債の削減を進め、Net D/Eレシオの改善につなげていきます。さらに中長期の成長を見据えるうえでは、挑戦領域の育成が鍵になると考えています。世界的な人口増加や食文化の変化により、動物由来資源の安定確保が難しくなるリスクが高まる中、当社グループは植物性油脂、植物性たん白、乳化・発酵に関する技術や知見を活かし、顧客や社会の課題解決に貢献できる素材・技術の開発を進めています。短期的な収益性だけで判断するのではなく、中長期的に不二製油らしい価値創造につながる領域を見極め、規律を持って資本を配分していきます。

こうした取り組みを通じて、FUJI ROICを軸に資本効率を高め、創出したキャッシュを将来の成長へとつなげていきます。情報開示と対話の質を高めることで、不二製油グループの価値創造への理解を深めていただくとともに、さらなる企業価値向上に取り組んでまいります。