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4. 大豆たん白の健康知識 基本編

食品業界における大豆たん白の現状と将来性

年間出荷量は約4万トン

 大豆たん白は、製法や形状により粉末状、粒状、繊維状などに分類されます。さらに粉末状大豆たん白は、精製方法やタンパク質含有量により、濃縮大豆たん白、分離大豆たん白に区別されます。いずれも、大豆から大豆油を抽出した後の脱脂大豆を原料として製造され、それぞれ違った機能・用途をもっています。
日本国内の大豆たん白の生産量(輸入を含む)・出荷量(輸出を含む)は、年間4万トンを超えています。

表1 大豆たん白の生産量・出荷量

単位:トン

国内生産量 出荷量
粒状 粉末状 合計 粒状 粉末状 合計
濃縮 分離 濃縮 分離
2014 28,379 857 7,732 36,968 27,426 837 9,067 37,330
2015 27,913 924 8,285 37,122 27,763 922 9,132 37,817
2016 29,014 767 8,549 38,330 29,656 779 8,912 39,347
2017 30,084 650 7,825 38,559 30,155 677 8,570 39,402
2018 31,371 630 6,681 38,682 31,686 657 7,567 39,910
2019 33,297 609 7,043 40,949 32,829 588 7,459 40,876
2020 36,046 637 7,516 44,198 33,734 598 8,092 42,424
2021 36,054 427 8,244 44,725 36,105 464 8,431 45,000
2022 36,703 231 6,081 43,015 35,632 200 6,193 42,025
2023 36,290 97 6,122 42,509 36,759 108 6,979 43,846

出所:一般社団法人 日本植物蛋白食品協会

さまざまな加工食品分野で活躍

 現在、大豆たん白は食肉加工製品、水産練り製品、冷凍食品、チルド惣菜、健康食品、製菓・製パン、飲料などに幅広く利用されています。
最もタンパク質の含有量の多い粉末状の分離大豆たん白は、水に分散させた後、熱を加えると固まるという性質があるため(ゲル化)、ハムやソーセージ、揚げ蒲鉾などの食感の改善に利用されています。また外食、中食産業の拡大にともない、がんもどき類や冷凍豆腐、冷凍厚揚げ、即席麺の具材としての油揚げ、てんぷら類の原料としても使用量が増加しています。
 保水性がよく、優れたテクスチャーを有する粒状、繊維状大豆たん白は、ハンバーグやギョウザ、シュウマイなどの惣菜を中心に多くの用途があり、冷凍食品では欠くことできない素材となっています。
 なお、大きく分類すると大豆たん白は以上に挙げた粉末状大豆たん白(濃縮大豆たん白、分離大豆たん白)、粒状大豆たん白、繊維状大豆たん白にわけられますが、実際には30年以上にわたる食品への応用の歴史のなかで、ゲル形成性、乳化性、粘稠性、親油性、保水性などの点において、それぞれ加工する食品に適した性質をもつ多種多様な大豆たん白が生み出されています。

表2 大豆たん白の加工品への利用例

分 類 加工品の種類 主な加工品
粉末状 食肉加工品 ハム、ソーセージなど
水産練り製品 揚げ蒲鉾、竹輪など
冷凍食品・惣菜 ハンバーグ、ミートボール、ナゲット、唐揚げ、豚カツなど
健康食品 プロテインパウダー、育児粉乳、経腸栄養剤など
製菓 クッキー、キャンディーなど
製パン 菓子パンなど
その他 スープ、ドレッシング、麺類など
繊維状・粒状 食肉加工品 ソーセージなど
冷凍食品・惣菜 冷凍食品・惣菜 ハンバーグ、ミートボール、餃子、しゅうまい、
春巻、メンチカツ、中華まん、コロッケ、そぼろ、でんぶなど
その他 ふりかけ、フィリング材など

健康な生活を送るための食品としての新しい役割

 大豆たん白は、これまで加工食品の原料として、あまり表には出ない存在でしたが、近年、大豆タンパク質の健康への効果が科学的に立証され、多くの食品メーカーが大豆たん白の健康効果に着目した新たな商品の開発・販売を始めています。
 消費者庁では、医学・栄養学的に健康に効果のある食品を「特定保健用食品」として許可していますが、大豆タンパク質は「コレステロールが高めの人の食生活の改善」や「血中コレステロールの低減」をうたった食品の関与成分として、ソーセージ、ハンバーグ、ミートボールなどに使われています。  またアメリカでは1999年に、食品医薬品局(FDA)が大豆タンパク質の「心臓病予防効果」を正式に認めています。これにより、大豆タンパク質を一定量以上含む食品には、その効果を表示することができるようになりました。このためアメリカでは、大手食品会社が大豆たん白を利用した新製品を、次々と市場に投入しています。
 さらに2002年9月5日には、イギリスの食品表示評価団体、ジョイントヘルスクレームイニシアティブ(JHCI)が、大豆たん白食品に対して「コレステロール低下作用を期待できる」というヘルスクレーム(健康表示)を承認するなど、大豆たん白の健康価値が世界的に認められる傾向にあります。
 これからますます高齢化の進む日本では、消費者のニーズも多様化していきます。高齢者用食品、乳児用食品、病者用食品、スポーツ栄養食品・サプリメントなど、今後の大豆たん白には幅広い用途が開けていくと考えられます。