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循環型フードシステムの構築

サステナビリティ
経営

ESGマテリアリティ

環境に配慮したものづくり

サステナビリティ課題領域

重点項目

課題認識

循環型フードシステムとは、原料の生産から食品の製造、加工、流通、消費、廃棄といった全ての段階で、限りある資源を循環させて利用することで、環境負荷を低減する仕組みを指します。
食品の大量生産・大量廃棄は、資源の有効利用を妨げるとともに廃棄物処理の負担を増加させ、気候変動や自然へのダメージにもつながります。
不二製油グループは、原料調達から顧客による加工段階までを含む製品のサプライチェーン全体において、資源を循環させて環境負荷を低減することを重要な課題と捉えています。当社グループが捉える循環資源は、製造工程の副産物に限らず、他産業を含む事業活動で排出されたCO2なども含みます。

リスク管理の取り組み

多様な社外機関との共創活動

当社グループ以外の他機関による革新的な新技術創出によって市場環境に変化が生じた場合、循環型フードシステムの構築にあたり当社グループの技術的優位性が低下し、市場競争力が失われる点をリスクだと捉えています。この対応策として、多様な社外機関との共創活動を通じた技術開発を実施することで、当社グループの事業領域や研究領域を拡大し、変化する市場環境への対応力を強化します。

指標と目標

〇:目標に対して90%以上達成、△:目標に対して60%以上達成、×:60%未満

2025年度目標 2025年度実績 自己評価
CO2施肥環境下における中規模植物工場での栽培検証 複数回の栽培試験を実施し、目標とする収量を達成

考察

当社グループでは2022年より、佐賀市の清掃工場で排出されるCO2を利活用した大豆の育成研究プロジェクトを実施しています。本プロジェクトは、循環型フードシステムの構築に向け、CO2を大豆の育成促進資源として有効活用し、将来的に生育した大豆を当社グループの加工技術を用いたサステナブルな製品として、広く皆様にお届けしたいと考えています。
これまで、本プロジェクトに適した大豆品種の選定や水耕栽培による栽培条件の検証を進めてきました。2025年度は、これまでの検証成果を踏まえ、本大豆栽培技術の実用化に向けた生産性向上を目指し、実際の栽培を想定した中規模植物工場において栽培試験を実施しました。
その結果、栽培環境が大豆の生育に及ぼす影響に関するデータを得るとともに、植物工場栽培において生産性向上に寄与する環境制御因子を絞り込むことができ、実用化に向けた知見を得ることができました。

Next Step

2025年度の検証結果を踏まえ、排出CO2を活用した原料生産の事業化に向けて、大豆の生産技術の更なる改善が当面の課題であると認識しています。2026年度も引き続き、生産性向上に向けた最適栽培条件の確立を検討していきます。
また、新たな研究テーマとして、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)が公募した「バイオものづくり革命推進事業」に対し、「未利用原料を用いた油脂産業構造転換に寄与するバイオものづくり技術の開発と実証」が採択されました。今後、廃棄バイオマスを活用した酵母による循環型高付加価値油脂製造システムの確立に向けて検討していきます。

具体的な取り組み

清掃工場から排出されるCO2を活用した国産大豆育成研究プロジェクト

気候変動ならびに人口増加に伴う食資源不足の解決に寄与する技術の創出は、当社グループの重要課題です。また、近年の食糧およびエネルギー資源価格高騰への対応策として、国産農作物を活用した「サステナブルでおいしい身体に良い食の提供」は、食料安全保障の面でも必要不可欠と考えています。
そこで2022年5月より、国産大豆の生産においてCO2を有効活用する共同研究を、佐賀市、国立大学法人佐賀大学、伊藤忠エネクス株式会社とともに開始しました。これまでに、CO2施肥による大豆の育成スピードと品質の向上に関わる研究および、育成促進に適した品種の選定や栽培技術の開発について研究を行ってきました。これらの研究から、2023年度の日本における大豆の平均収量169kg/反(農林水産省作物統計)と比較し、1作当たり約3倍※1に増加する結果を得ることができました。
これまでの研究成果を踏まえ、佐賀大学構内に設置していた実験施設に加えて、九州電力株式会社の協力を得て同社保有の研究施設において、より精緻な環境制御※2を施すことで、更なる収穫量の増大を目指した研究を進めていきます。
将来的には、佐賀市の清掃工場に設置した二酸化炭素分離回収装置の活用も視野に入れ、本技術を当社グループの加工技術と組み合わせ、サステナブルな製品として社会に提供していきたいと考えています。

  • ※1 実験面積を1反当たりに換算した上で全量収穫が前提。
  • ※2 環境制御:温・湿度、酸素・二酸化炭素濃度など、環境を構成するさまざまな要素をコントロールすること。

九州電力研究施設外観(佐賀市)

植物工場内における栽培状況

未利用原料を用いた油脂産業構造転換に寄与するバイオものづくり技術の開発と実証開始

当社グループでは、基幹原料である植物性油脂のサステナビリティ向上のため、油脂酵母による代替油脂生産に関する技術開発を実施してきました。その中で、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)が公募した「バイオものづくり革命推進事業」に対し、「未利用原料を用いた油脂産業構造転換に寄与するバイオものづくり技術の開発と実証」を提案し、2025年度に採択されました。
本事業は、経済産業省が定める「バイオものづくり革命推進事業研究開発計画」に基づき実施するもので、多様な原料を活用し、多様な製品を社会に届けるバイオものづくりのバリューチェーン構築を目的として、必要な技術開発や社会システム実証を行い、バイオものづくりへの製造プロセスの転換と製品の社会実装を推進するものです。
この研究を通じて、食品および非食品用途での高付加価値油脂を産生する酵母株を創出するとともに、廃棄バイオマスを活用した酵母による循環型高付加価値油脂製造システムを確立し、市場展開を見据えた取り組みを進め、バイオものづくり技術を核としたサステナブルな循環型油脂産業の構築に貢献していきます。

グレープシードオイルを通じたサーキュラーエコノミーの構築

プロヴァンス ユイル(フランス)では、フランスの蒸留酒メーカーと強固なパートナーシップを構築し、ワイン・蒸留酒産業と油脂事業を結ぶ循環型のビジネスモデルを確立しています。
フランスの蒸留酒メーカーでは、ワイン生産の過程で発生するブドウの搾りかす(ポマス)を原料として、アルコールやその他の成分を製造しています。その過程において、ブドウの種子は十分に活用されず、通常は廃棄されるか、飼料として利用されてきました。
プロヴァンス ユイルは、このブドウの種子を活用し、食品、化粧品、化学品向けの高品質なグレープシードオイルを製造することで、植物性油脂市場に新たな供給源を追加しました。
また、油脂の抽出および精製工程で発生する副産物も廃棄せず、アップサイクルによってワインおよび蒸留酒のバリューチェーンに戻されます。具体的には、副産物の一部はバイオ燃料の原料として蒸留酒メーカーで再活用されるほか、肥料としてブドウ畑に還元しています。さらに、一部の副産物はペットフードの原料としても活用されるなど、ワイン・蒸留酒産業との連携による取り組みに加え、他のバリューチェーンにおいても資源が有効活用されています。これにより、ワイン・蒸留酒生産からグレープシードオイル製造を通じて資源が循環し、経済全体における価値創出の最大化につながっています。

ワイン生産用のブドウ畑

グレープシードオイル

図:本取り組みにおける循環の仕組み

本取り組みにおける循環の仕組み

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