グループ会社一覧

パーム油のサステナブル調達

サステナビリティ
経営

ESGマテリアリティ

サステナブル調達

サステナビリティ課題領域

重点項目

課題認識GRI:2-6

パーム油は、東南アジアなどの熱帯地域に植生するアブラヤシから得られる植物性油脂であり、単位面積当たりの収穫量が大きく、加工適性にも優れることから、食品から化学品まで幅広い用途で使用されています。その生産量は世界の植物性油脂の中で最大であり、グローバルなフードシステムを支える重要な原料の一つです。
一方で、農園開発に伴う森林破壊や生態系への影響、強制労働や児童労働といった人権侵害が懸念されており、パーム油の持続可能性は国際的な社会課題となっています。
このような状況の中、不二製油グループは、主にマレーシアおよびインドネシア産のパーム油を調達し、植物性油脂事業などにおける主要原料の一つとして使用しています。そのため、パーム油の生産・調達段階における環境および人権に関する課題は、当社グループのサプライチェーンに直接関わる重要な経営課題であると認識しています。

図:不二製油グループのパーム油サプライチェーン

画像からPDFファイルへリンクします(180KB)

リスク管理の取り組みGRI:203-2

トレーサビリティ

サステナブル調達の推進にあたり、サプライチェーンの透明性をより高めることが必要です。当社グループでは、パーム油生産に伴う環境・社会リスクの防止、最小化、軽減、管理に向け、パーム油のサプライチェーンにおけるトレーサビリティの把握・強化を進めています。購入する原材料が責任ある方法で生産されていることを確認するため、油脂事業本部においてパーム油サプライチェーンのトレーサビリティ情報を半年ごとに収集・検証しています。
2025年12月時点で、搾油工場までのトレーサビリティ(TTM※1)は99%、農園までのトレーサビリティ(TTP※2)は96%を達成しました。
また当社グループでは 、2024 年より TTM に関する手順、結果および報告内容の検証を開始しています。2024 年の TTM 報告は、第三者機関による検証を受けました。評価方法は、その年のミル単位のトレーサビリティデータに基づき、報告内容の正確性を確認する形で実施されています。

  • ※1 TTM:Traceability To Millの略。
  • ※2 TTP:Traceability To Plantationの略。

衛星写真によるモニタリング(対象地域/スコープ:インドネシア、マレーシア、パプアニューギニア)

当社グループは、2020年度より非営利団体Earthqualizerと連携し、衛星技術を活用したパーム油サプライチェーンにおける森林破壊リスクの特定・検証・モニタリングを実施しています。農園およびその周辺地域の衛星画像は、森林破壊の特定や緩和、防止に非常に有効であり、同団体から月に2回提供される森林減少や泥炭地開発に関するアラートを含む報告書を活用しています。これらの情報をもとに、当社グループではグリーバンスメカニズムを通じて案件を登録し、調査を実施しています。

トレーサビリティデータは、グリーバンスメカニズムによる申し立てが当社グループのサプライチェーンに関連するかを特定する際に不可欠です。関連が認められた場合には、当社グループは関係する直接サプライヤーと連携して実際の状況を把握するための調査を行います。
また、当社グループのサプライチェーンにおける森林破壊に関する事案への対応にあたっては、Earthqualizerと緊密に連携し、グリーバンスの処理、サプライヤーとの是正措置の確立、NGOなどのステークホルダーとのコミュニケーションを行っています。これらの調査結果は、少なくとも四半期に1回グリーバンスリストを更新し、情報開示を行っています

サプライチェーン変革プログラム(対象地域/スコープ:マレーシア)

当社グループは、2017 年より非営利団体Earthworm Foundation と協働し、グループ子会社である パルマジュ エディブル オイル(マレーシア)において「労働環境改善プログラム(LTP)」を開始しました。本プログラムは、サプライヤーの能力強化支援および人権リスクの特定と対応を通じて、パーム油サプライチェーン全体における責任ある労働慣行を強化することを目的としています。当初は直接サプライヤーを対象としていましたが、現在では間接サプライヤーにも対象を拡大しています。

LTP は、以下 8つの主要分野に焦点を当てています。

  • 移動の自由
  • 雇用契約
  • 倫理的雇用
  • グリーバンスメカニズム
  • 賃金および労働時間
  • 結社の自由
  • 安全衛生
  • 労働者の住居ならびに宿舎

当社グループは、サプライヤーの事業や供給拠点における人権リスクの低減に向け、搾油企業や農園管理者との直接的な対話を通じて、サプライヤーに対する以下の支援を実施しています。これらの取り組みにより、実務レベルでの導入と継続的改善を推進しています。

  • サプライヤーがコンプライアンスを支援するための情報や支援文書の提供
  • 専任のスタッフや部署に対する実践的な研修の実施
  • 業界の要求事項に対するサプライヤーの意識啓発
  • サプライヤーの労務管理への国際基準適用の支援
  • サプライヤーにおける認証取得または顧客要求への対応支援

2025 年 3 月時点で、パルマジュ エディブル オイル(マレーシア)のサプライヤーの 83% が本プログラムの対象となっています。当社グループは、LTP の適用範囲拡大に引き続き取り組み、サプライチェーンの変化に応じて KPI の見直しを進め、対象サプライヤー100%の達成を目指すとともに、労働搾取のないサプライチェーンの構築に取り組んでいきます。
なお、直接サプライヤーへの LTP適用率が 100% に達した後も、サプライヤー・デュー・ディリジェンス・プロセスを通じて継続的なパフォーマンスモニタリングを実施し、責任ある労働慣行の継続的な実施を支援していきます。

プログラムを通じた労働者へのインタビュー

  • ※LTP:Labor Transformation Programの略。

自己評価ツール(対象地域/スコープ:当社グループのパーム油サプライチェーン)

当社グループは、Earthworm Foundationと協働し、パーム油サプライチェーンを対象に、パルマジュ エディブル オイル(マレーシア)のサプライヤーに対して体系的な自己評価ツールの実施を促進しています。これにより、サプライヤーのサステナビリティに関する取り組み状況の把握および評価・モニタリングを進めています。
本プロセスは、より広範かつ効果的なサプライヤーエンゲージメントを可能にすることで、当社グループのサプライヤー・デュー・ディリジェンス・プロセスを支える重要な仕組みとなっています。また、リスクの早期特定を通じて、当社グループの「責任あるパーム油調達方針」との整合に向けた推奨事項の提示や、サプライヤーへの支援につなげています。
今後も、サプライチェーン全体における森林破壊ゼロ、泥炭地開発ゼロ、搾取ゼロ(NDPE)に関するコミットメントの進捗を継続的にモニタリングしていきます。

表:2025年度 自己評価質問票と行動計画の提出状況(パルマジュ エディブル オイル(マレーシア))

サプライヤー種別 提出率・提出数
直接サプライヤー 43%
間接サプライヤー 79%
プランテーション 55プランテーション

新しいプラットフォームへの移行とシステム立ち上げの遅延の影響で、直近2年間提出率が低下していますが、昨年度より間接サプライヤーからの提出率、プランテーションからの提出数は改善しています。
現在、サプライヤーをサポートするために、より使いやすく、より正確な情報を把握できるデュー・ディリジェンス・システムを開発中です。

森林破壊ゼロに向けたエンゲージメント(対象地域/スコープ:当社グループのパーム油サプライチェーン)

当社グループは、パーム油のサプライチェーンにおける森林破壊ゼロの達成に向けた最も効果的なアプローチを特定するために、サプライヤーとの積極的な連携を通じた取り組みを推進しています。

具体的には、以下のアプローチを実施しています。

  • 農園までのトレーサビリティ(TTP)100%達成を目的とするフレームワーク開発のため、業界のステークホルダーとの連携を継続
  • 非営利団体であるEarthqualizerと連携し、TTPデータと衛星技術を重ね合わせることにより、当社グループの供給域内で森林破壊が行われていないことを検証・報告
  • 直接サプライヤーのTTPデータの取得を支援
  • RSPO認証やその他検証可能なパーム油の調達量の増加
  • パーム油サプライチェーンにおける森林破壊案件の管理を強化、また潜在的な森林破壊リスクをサプライヤーへ報告し、対策を支援するなど、グリーバンスメカニズムのより一層の改善

当社グループでは、森林破壊ゼロへの取り組みに消極的なサプライヤーや、取り組みの進捗が不十分なサプライヤーを排除しつつ、森林破壊ゼロに向けた対応を行っています。今後も本コミットメント達成に向けて各ステークホルダーとの協働のもと、サプライチェーン上のリスクモニタリングおよび改善活動を継続していきます。

また、2023 年より、The Consumer Goods Forum (CGF) Forest Positive Coalition of Actionのパーム油森林破壊・転換ゼロ(DCF)アプローチに基づき、サプライチェーンにおける森林破壊および土地転換ゼロの検証・報告に取り組んでいます。
本取り組みでは、以下の3つのアプローチによりDCF コミットメントの実効性を担保しています。

  • RSPO の分別管理方式(SG)および識別管理方式(IP)サプライチェーンモデルからの調達拡大
  • CGF Forest Positive Coalition of Action の DCF アプローチ、および Palm Oil Collaboration Group(POCG)の実施報告フレームワーク(IRF)に基づくDCF の検証・報告
  • サプライヤーが用いるその他の DCF アプローチについては、当社グループによる協議・承認を前提として適用

IRFは、第三者機関により、プロファイルの検証を受けており、当社グループの2024年DCFスコアは94.5%でした。
2025年度の検証は現在実施中のため、集計と第三者保証が完了次第スコアを公表する予定です。

  • ※RSPO:Roundtable on Sustainable Palm Oil(持続可能なパーム油のための円卓会議)。

グリーバンス(苦情処理)メカニズム(対象地域/スコープ:当社グループのパーム油サプライチェーン)GRI:2-25,26

取り組みの概要

「責任あるパーム油調達方針」の透明性および有効性を高めるために、当社グループは2018年5月にパーム油に関するグリーバンスメカニズム※1を設置しました。
2025年3月には、その有効性を一層強化するため、業界のステークホルダーや有識者からのフィードバックを踏まえ、制度の改訂を行いました。
本メカニズムでは、あらゆるステークホルダーが「不二製油グループ グリーバンスウェブページ(英語)」を通じて、当社グループおよびサプライチェーン上の環境、人権を含むさまざまな問題について報復や不利益を被らない形で提起することが可能です。
これにより、ステークホルダーを効果的に巻き込み、「責任あるパーム油調達方針」に基づく適切な是正措置を講じることができます。
当社グループは、受領したグリーバンスの一覧および対応状況を四半期ごとにウェブサイト上で開示しています。
2025年度のグリーバンス登録件数※2は133件(環境関連130件、社会関連3件)であり、そのうち52件が解決済み、61件がモニタリング中、20件が無効と判定されました。
また、グリーバンスメカニズムは社内外の専門家の協力のもと定期的に見直しを行い、全てのステークホルダーの懸念に適切に対応するために必要な情報の把握に努めています。
こうした取り組みを通じて、「責任あるパーム油調達方針」に反する疑いのある事案について、公正、公平かつ透明性のある対応を実現しています。

表:2025年度グリーバンス登録件数と内訳

登録内容 件数
環境関連 130
社会関連 3
合計 133
対応状況 件数
解決済み 52
モニタリング中 61
無効 20
合計 133
  • ※1 FUJI OIL GROUP Grievance Mechanism(英語)
    https://www.fujioil.co.jp/en/sustainability/grievance_mechanism/

  • ※2 当社グループのグリーバンス手順書に則り、当社グループのパーム油サプライチェーンに直接的または間接的に関係し、当社グループの「責任あるパーム油調達方針」に合致しないと判定されたグリーバンスの件数。

グリーバンスメカニズムの仕組み

サプライチェーンからグリーバンスを受領した場合、当社グループのグリーバンス手順書に基づき対応を行います。まず、受領したグリーバンスについて、当社グループのパーム油サプライチェーンとの直接的または間接的な関連性、および「責任あるパーム油調達方針」に合致しない事象であるかを確認し、その妥当性を判断します。
妥当と判断されたグリーバンスについては登録処理を行い、内容の調査を実施します。その後、内容に応じた是正措置を講じ、一定期間モニタリングを行います。是正策措置の有効性が確認された場合には、当該グリーバンスをクローズします。
調査、是正およびモニタリングの各段階においては、サプライチェーン上の関係するステークホルダーと連携しながら対応を進めています。

図:グリーバンスメカニズムの仕組み

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APTランドスケープイニシアチブGRI:304-3

インドネシア:アチェ・ランドスケープイニシアチブ(対象地域/スコープ:インドネシア アチェ州)

当社グループは、2018年よりEarthworm Foundation※1と協働し、インドネシアのアチェ地域におけるランドスケープイニシアチブを支援しています。本プログラムでは、パーム油生産、森林保全ならびに適正な社会的・労働的慣行の観点から地域のバランスを維持しつつ、小規模生産者のパーム油サプライチェーンへの参画も同時に支援することを目指しています。
アチェ地域には、多くの科学者や自然保護活動家により世界で最も生物多様性の高い場所の一つとされる、ルーセルエコシステム(Leuser Ecosystem)と呼ばれる生態系が存在します。一方で、同地域ではパーム農園開発やその他活動により森林破壊が進行しており、現在もそのリスクにさらされています。本イニシアチブでは、ランドスケープ内の主要なステークホルダーである民間企業、行政機関、農民協同組合、地域コミュニティ、市民が連携し、プログラムを推進しています。
ランドスケープイニシアチブの対象地域は合計230万ヘクタールに及び、そのうち約74%が天然林、11%がパーム油農園、1%未満が森林プランテーション※2で構成されています。重点地域は、アチェ・スラタン、アチェ・テンガラ、アチェ・シンキルおよびスブルサラムの4地域です。

2025年度の主な活動と進捗は以下のとおりです。

ランドスケープイニシアチブ実施地域

表:2025年度の主な活動と進捗

カテゴリ 活動
ステークホルダー支援 アチェ・テンガラにおいて、郡政府の支援のもと天然資源・環境管理作業部会(POKJA PSDA)設立に向けた準備を通じ、多様なステークホルダーによる協議フォーラムの構築・強化を推進
コミュニティの管理 4つのアチェ地区において、土地紛争の解決や先住民・地域コミュニティ(IPLC)の土地・森林ガバナンスに関わる権利保全を支援するため、ステークホルダーマッピングを実施
森林保護 3地区の32村で参加型土地利用計画(PLUP)が完了し、74,000ヘクタール以上の保全区域を特定
地域コミュニティ組織(CBO)による森林再生(合計324.96ヘクタール)やパトロール、看板設置、アグロフォレストリー、住民参加型の保全活動などを通じて、約20,000ヘクタールに及ぶ保全活動を継続
レジリエントな農家 GAP(農業生産工程管理)、安全、金融スキルに関する研修を1,124の小規模農家が受講し、累計受講者が2,397軒に到達するとともに、小規模農家向け研修の一環である労働安全の取り組みは164の小規模農家に展開され、持続可能な農業の実践と農作業従事者の安全な労働環境の向上に寄与
地元行政の支援のもと、6つの村において土壌改良、灌漑整備、野菜種子の配布などを含む試験農業を導入

プログラム委員会では、5ヵ年計画(2020-2025年)の結果を踏まえて、第2フェーズ(2026-2030年)の計画策定に向けた協議を進めています。

マレーシア:サザン・セントラル・フォレスト・スパイン(SCFS)ランドスケープ(対象地域/スコープ:マレーシア SCFS)

当社グループは2022年より非営利団体Earthworm Foundationと連携し、マレーシア半島の主要なパーム油調達地域であるサザン・セントラル・フォレスト・スパイン(SCFS)においても、ランドスケープイニシアチブに参画しています。
SCFSランドスケープ※1では、パーム油企業の事業地が、SCFS内に断片的に残る森林に隣接して存在しています。これらの森林は、野生動物にとって重要な回廊として機能しています。
こうした地域特性を踏まえ、本イニシアチブは、パーム油業界において重要な地域であるこのランドスケープにおいて、中間業者であるFFBディーラー※2との協働による農園までのトレーサビリティ(TTP)100%の達成、労働慣行の改善、ならびにパーム油農園およびその周辺における人と野生動物の共存の支援を通じて、ランドスケープ内の複数のステークホルダーと連携しながらサステナブルな慣行の実現を目指しています。

2025年度の主な活動と進捗は以下のとおりです。

表:2025年度の主な活動と進捗

カテゴリ 活動
森林保護 衛星技術を活用した継続的なモニタリングにより、SCFS 地域における森林破壊が75%減少したことを確認
野生動物・国立公園局(DWNP)および WCS(野生生物保全協会)と連携し、主要パートナーとして協力し、地域コミュニティを対象とした人とゾウの共存(HEC※3)に関する標準化モジュールの開発に向けたワークショップを支援(対象面積:8,433ヘクタール)
サプライチェーンの変革 マレーシア人的資源省と協力し、外国人労働者の採用費用返還に関する国家ガイドラインをテーマとしたマルチステークホルダーとの対話を開催
労働者と家族 土地の有効活用と所得向上を目的として、農家向けに高度なキノコ・唐辛子栽培研修、ビジネスおよびマーケティング研修、トレイル・キャンプ研修などを実施

Sg. Mok コミュニティによるヒラタケブロック栽培(撮影:不二製油グループ サプライチェーン・マネジメント・チーム)

プログラム委員会では、5ヵ年計画(2020-2025年)の結果を踏まえて、第2フェーズ(2026-2030年)の計画策定に向けた協議を進めています。

指標と目標

〇:目標に対して90%以上達成、△:目標に対して60%以上達成、×:60%未満

中長期目標 KPI 2025年度目標 2025年度実績 自己評価
2030年 2025年
森林破壊ゼロ、
泥炭地開発ゼロ、
搾取ゼロ
搾油工場までのトレーサビリティ(TTM):100% TTM:100% TTM:100% TTM:99%※1
農園までのトレーサビリティ(TTP):100% TTP:85% TTP:95%以上 TTP:96%※1
パーム油のサプライチェーンにおける森林破壊を特定、監視、検証、排除するための、衛星写真による常時モニタリングの継続 実施
DCF(森林破壊と土地転換フリー) 100% 100% 94.5%※2
労働環境改善プログラム適用率:100%(全直接サプライヤー) 労働環境改善プログラム適用率:100%(パルマジュ エディブル オイル(マレーシア)※3の全サプライヤー) パルマジュ エディブル オイル(マレーシア)のサプライヤーへのサプライチェーン変革プログラムの適用:90% 83%
  • ※1 2025年1月から12月までのデータ。
  • ※2 2025年度に検証された、2024年1月~12月の実績。
  • ※3 不二製油(株)の100%子会社の油脂製造拠点。

考察

当社グループは2016年に「責任あるパーム油調達方針」を策定し、2030年までに搾油工場までのトレーサビリティ(TTM)100%の達成を目標として掲げています。併せて、パーム油サプライチェーン全体における農園までのトレーサビリティ(TTP)の確保に向けた手順の整備を進めてきました。
その他にも、TTP100%の達成に向けては、情報の機密性やFFBディーラーからの調達を含むサプライチェーンの複雑さなど、さまざまな課題が存在します。これらの課題に対応するため、複数の専門家やコンサルタントと協力し、当社グループのTTPパフォーマンス向上に向けた戦略を強化しています。

また、パーム油生産量全体の約30~40%を占める小規模農家においては、持続可能な農法技術や環境配慮に関する情報不足、およびそれらの持続可能な手法の実践に必要な資金不足が課題となっています。当社グループは、これらの課題への対応として、2016年1月よりマレーシアの社会的企業Wild Asiaが運営するWild Asia Group Scheme(WAGS)に参画し、サバ州(マレーシア東部)における認証プロジェクトおよびWAGS BIO(環境再生型農業)プロジェクトを支援しています。これにより、小規模農家の農法の改善やRSPOおよびMSPOへの準拠支援を通じた課題解決を進めています。
その他にも、森林伐採、土地の権利、生産労働者の権利など、依然として取り組むべき課題は多く残されています。今後も、調達戦略の強化とサプライチェーン慣行の改善を進めるとともに、これらの課題に対する機運と認識を高めていくことが重要です。

  • ※ MSPO:Malaysian Sustainable Palm Oil(マレーシア持続可能なパーム油認証基準)。
    Malaysian Sustainable Palm Oil(英語)
    https://mspo.org.my/

Next Step

NDPE(森林破壊・泥炭地開発・搾取ゼロ)への取り組みの継続は、持続可能なパーム油調達の実現において極めて重要です。
この認識のもと、2025年度に引き続き、2026年度は以下の目標の達成に向けた取り組みを推進します。

  • TTM:100%
  • TTP:96%以上
  • 森林破壊の特定・監視・検証・排除を目的とした、衛星技術によるパーム油サプライシェッド(=供給元の地理的範囲)の常時モニタリングの継続
  • パルマジュ エディブル オイル(マレーシア)のサプライヤーへのサプライチェーン変革プログラムの適用:90%

LTPについては、各国・国際基準に沿った労働管理の改善をサプライヤーが進められるよう支援するため、幅広いモニタリング活動を新たに開始します。これらの取り組みは、パーム油サプライチェーンの変革に向けた当社グループの戦略であるとともに、パーム油サプライチェーンにおけるデュー・ディリジェンスの一環として位置づけています。

具体的な取り組みGRI:203-2

認証油の拡大(対象地域/スコープ:不二製油グループのパーム油サプライチェーン)

2025年に当社グループが調達したパーム油のうちRSPO認証油の割合は60%でした。持続可能なパーム油に対する需要の高まりが、認証油の調達量の増加傾向に大きく寄与しています。
当社グループは、マレーシアのアブラヤシ栽培会社United Plantations社との合弁会社であるユニフジ(マレーシア)の生産能力を維持・強化することで、市場拡大に対応しています。
また、更なる市場の拡大に対応すべく、当社グループ会社のフジオイル アジア(シンガポール)とパーム油・パーム核の製造会社 Johor Plantations Group社(マレーシア)による合弁会社JPGフジは、2026年度の稼働を予定しています。同社はRSPO認証の取得を前提とし、シンプルかつトレーサブルな供給体制の構築により、欧州をはじめとする高品質な原料を求める市場にも対応可能です。
当社グループは、RSPOの新ルールである「責任の共有」を実践し、認証パーム油の取引拡大を進めてきました。
一方で、近年、EU森林破壊防止規則(EU Regulation on Deforestation-free products:EUDR)をはじめとするサステナビリティ要件の厳格化により、法規制や認証要件に適合するパーム油農園の拡大は難しくなっており、既存の生産基盤の中で需要に応えていくことが一層重要になっています。 こうした状況において、パーム油生産の重要な担い手の一つが小規模農家ですが、小規模農家は認証取得が難しいという課題も抱えています。
こうした背景から、当社グループでは特に自社のパーム油サプライチェーンにおいて、小規模農家のRSPO認証取得を積極的に支援しています。2021年からRSPOの作業部会に積極的に参加し、これらの課題に対する議論を行うとともに、その成果を解決策の開発に反映しています。
今後はパルマジュ エディブル オイル(マレーシア)の戦略的サプライヤーであるJohor Plantations Group社との協業※1をさらに深化させ、特に需要が拡大する欧州市場においてより多くの顧客ニーズに応えるため、一層取り組みを強化していきます※2

United Plantations社とユニフジ

JPGフジ(完成予想図)

RSPO認証とは

RSPO認証とは、パーム油が環境や人権に配慮した責任ある方法で生産・流通していることを保証する、国際的な第三者認証です。
本認証制度は、パーム油生産者、加工業者、商社、消費財メーカー、小売業者、金融機関、NGOの7つのセクターの利害関係者が参加する国際的なマルチステークホルダー組織である「持続可能なパーム油のための円卓会議(RSPO)」(2004年設立)により策定されました。当社グループは、パーム油の持続可能な生産と消費の実現を目的とする本制度の趣旨に賛同し、2004年よりRSPOに加盟しています。
RSPOは、持続可能なパーム油生産に向けたグローバルな基準を策定・運用しており、認証取得企業には環境・社会に関する一連の基準の遵守が求められます。これらの基準は、森林破壊の防止や人権の尊重などを通じて、パーム栽培が生産地域の環境および地域社会に与える負の影響を最小限に抑えることを目的としています。

RSPO認証の主な目的

  • 森林破壊を防止し、高保全価値地域を保護すること
  • 泥炭地での開発を回避すること
  • 人権および労働者の権利を尊重すること
  • 生物多様性および野生生物の生息地を保護すること
  • 地域コミュニティと責任ある関わりを持つこと

責任の共有 (SR)とは

SRは、RSPOのビジョンである 「パーム油を持続可能なものにするためのグローバル・パートナーシップ 」の実現に向けて、RSPOメンバーが採用する一連の責任です。持続可能なパーム油の生産を拡大し、それを標準的なものとして普及させていくためには、サプライチェーン関係者、投資家、NGOを含む全てのRSPOのメンバーがそれぞれの役割を果たす必要があります。
当社グループは、RSPOが求める認証取得量の年率2%の増加に合意し、その達成に向けた取り組みを推進しています。

NGO・業界との協働GRI:304-3

①マレーシア・サバ州での小規模農家支援活動

当社グループは、マレーシアの社会的企業Wild AsiaのWild Asia Group Scheme(WAGS)※1に2016年1月から参画し、サバ州(マレーシア東部)における認証プロジェクトおよびWAGS BIO(環境再生型農業)プロジェクトを支援しています。
パーム農園の多くは中・小規模農家によって運営されており、パーム油調達に関する環境・人権問題の要因の一つとして、一部の中・小規模農家による生産性の低い農園運営が指摘されています。当社グループは、WAGSへの参画を通じて、小規模農家の農法の改善やRSPOおよびMSPOへの準拠を支援することで、パーム油の小規模農家が直面する課題解決に取り組んでいます。

認証プロジェクトでは、小規模農家に対しRSPOおよびMSPO認証取得に向けた技術支援やトレーニングを提供しています。2016年1月の参画以降、当社グループがWAGSを通して認証取得を支援した小規模農家は、2025年12月時点で累計1,961軒に上ります。

WAGS BIOプロジェクトでは、小規模農家の所得向上と、生物多様性への負の影響の緩和、農園周辺の自然生態系の保全・回復を目的として、リジェネラティブ農業の導入支援を行っています。
2025年度は、WAGSプロジェクトの対象地域を超えて101の区画へBIO再生型農業の導入を拡大しました。主な取り組みとして、バイオ炭や有機資材の施用に加え、EFB(搾油後の空果房)やPOME(搾油工程で出る排水)などの搾油工程由来の有機副産物を、農園で堆肥化し活用する試みを実施しました。これらは、土壌の健全性の回復および気候変動の緩和への貢献を目的としています。
さらに、バイオ炭の製造・検証・流通に関する認証プログラムのもと、生産および施用の取り組みを推進しました。
バイオ炭の施用は、土壌の改良に加え、土壌に蓄積される炭素が気候変動の緩和効果をもたらすことが期待されます。
加えて、Wild Asiaでは、マレーシア・サバ州で得られた知見を活かし、GIZ GRASSプロジェクト※2のもとサバ州のチームがインドネシアへ赴き、地域パートナーと連携してBIOプログラムのトレーナー育成を実施しました。パーム業界全体のサステナビリティ向上に資する取り組みとして、地域を超えて連携し、導入拡大を図っています。

BIO区画でのバイオ炭内部監査

小規模農家向けWAGS BIO導入セッション

小規模農家のRSPO認証監査

  • ※1 Wild Asia Groups Scheme(WAGS):マレーシアの小規模農家や独立した生産者を対象とし、持続可能なパーム油の生産を支援するプログラム。
  • ※2 GIZ GRASSプロジェクト: 2023年から2025年に実施されたドイツ・インドネシア共同イニシアチブ。西カリマンタン州において小規模農家の持続可能性とレジリエンスの向上を目指している。
    GIZ>小規模農家のレジリエンス向上(英語)
    https://www.giz.de/en/projects/greening-agricultural-smallholder-supply-chains-grass

②The Consumer Goods Forum Japan Sustainability Local Group パーム油ワーキンググループ

当社グループは、消費財流通の国際的な業界団体であるThe Consumer Goods Forum(CGF)に加盟しています。2017年11月Japan Sustainability Local Group設立当初から参画し、その傘下にある「ステアリングコミッティ」および「パーム油ワーキンググループ」で活動しています。
2025年「パーム油ワーキンググループ」では、NGOや有識者との対話に加え、CGFが提唱するフォレストポジティブアプローチの実施ガイダンスに沿って、メンバー企業各社の取り組み状況を相互に共有し、持続可能なパーム油調達に関する課題や知見の共有を進めました。

  • ※パーム油ワーキンググループ:2026年1月より、取り扱いコモディティ(大豆や紙パルプなど)を拡大するために「パーム油ワーキンググループ」から「フォレストポジティブワーキンググループ」に改称。

③Japan Sustainable Palm Oil Network

不二製油(株)は、2019年10月よりJapan Sustainable Palm Oil Networkに正会員として加盟し、日本の産業界全体に持続可能なパーム油の調達と消費を促す趣旨に賛同しています。

④Palm Oil Collaboration Group

当社グループは、パーム油サプライチェーン全体の企業が結集し、森林破壊ゼロ、泥炭地開発ゼロ、搾取ゼロ(NDPE)に向けた実効性のある行動の加速を目的としたプラットフォーム、Palm Oil Collaboration Group(POCG)に2020年6月から参画しています。
この中で、当社グループはパーム油セクターにおける人権問題について協議・解決するための「社会課題ワーキンググループ」のメンバーとして積極的に活動しており、業界パートナーと協働し、実践的なソリューションの開発や好事例の共有を行っています。
主な重点分野は以下のとおりです。

  • マネジメントシステムにおける人権デュー・ディリジェンス
  • 外国人労働者が多く占めるマレーシアのパーム油産業における責任ある雇用慣行の推進
  • 先住民および地域コミュニティの権利保護