トランス脂肪酸含有量の低減
特に貢献を目指すSDGs
マネジメント情報
テーマと事業活動の関わり
食用油脂の加工法として水素添加技術(硬化技術)が開発されて以降、トランス脂肪酸(TFA)を含む油脂は急速に利用が広まり、食品の多様化に貢献してきました。しかしその後の研究により、エネルギー比で2%以上のトランス脂肪酸の大量摂取を続けた場合には、心疾患のリスクを高めることが報告されました。2003年にはWHO/FAO会合において、トランス脂肪酸の最大摂取量を1日当たりの総摂取エネルギーの1%未満にするように勧告がなされました。
さらに、2018年にWHOは、加工食品を製造する際に発生するトランス脂肪酸を低減するための行動指針を公表しました。この指針では、2023年までに、工業的に生産された食品のすべての製品に対してトランス脂肪酸の低減(2g-TFA/100g-oil以下)を達成することなどを各国政府や食品企業に呼びかけています。
不二製油グループでは、製造時にトランス脂肪酸が発生しないエステル交換などの技術に強みを持っています。チョコレートやマーガリン用に低トランス・ノントランス脂肪酸油脂を製品化することで、お客様そして消費者に対し、おいしく健康な食素材の提供に貢献できると考えています。
考え方
不二製油グループでは、従前よりお客様と協働しながら各地域でトランス脂肪酸の低減に向けて取り組んできましたが、さらに取り組みを強化するために、2019年度に当社グループとしての考え方を整理しました。“おいしさと健康で社会に貢献する”というグループ憲法の考え方に基づき、WHO(世界保健機関)の指針に沿って、トランス脂肪酸の摂取量が総摂取エネルギーで1%をオーバーしている地域において、2023年度にトランス脂肪酸を2g-TFA/100g-oil以下に低減していくことを目指し、2019年度より社内体制を強化して取り組んでいます。
推進体制
トランス脂肪酸含有量の低減への対応については、最高技術責任者(CTO)の管掌のもとで取り組みを推進しています。また、2020年度よりESG経営の重点テーマの一つとして、取締役会の諮問機関であるESG委員会※ において進捗や成果を確認しています。
※ ESG委員会の詳細については、以下のURLをご参照ください。
https://www.fujioilholdings.com/csr/approach/
Next Step
2023年度での達成を目指し、各国でのトランス脂肪酸の法規制に基づいてトランス脂肪酸含有量の低減に取り組んでまいります。各グループ会社で年度ごとの目標値を設定し、全社で進捗を管理して対応を進めていきます。
具体的な取り組み
ノントランス酸・低トランス酸への対応
世界のさまざまなエリアで、トランス脂肪酸の使用規制が進んでいますが、特に米国では、FDAの通達※ を背景とした低トランス脂肪酸のパーム油需要が拡大しています。トランス脂肪酸低減への対応を強化するために、海外グループ会社のフジ ベジタブル オイル(米国)では、ニューオリンズの新拠点の2021年度内の稼動開始を予定しています。
※ FDAの通達:FDA(米国食品医薬品局)が2015年6月に発表。心臓病のリスクを高めるとされる「トランス脂肪酸」の原因となる油について、2018年6月以降は食品への使用を原則認めないとした。