人権マネジメント
マネジメント情報
テーマと事業活動の関わり
不二製油グループの事業活動はさまざまな人の関わりによって成り立っています。従業員はもとより、サプライチェーン上の労働者から消費者まで、当社の事業活動がさまざまなステークホルダーの人権について、直接的、あるいは間接的に影響を及ぼし得ると認識しています。
考え方
グローバルに活動する不二製油グループは、グループ憲法に定める「人のために働く」という価値観に基づき、バリューチェーンのあらゆる段階を通じて人権を尊重した事業活動を行う責任を果たすという責任があると考えています。「国連ビジネスと人権フォーラム2016」への参加およびステークホルダーとの対話を機に、人権に対する考え方をあらためて整理し、2017年4月に「不二製油グループ人権方針」を公表しました。
推進体制
不二製油グループ本社のCSR担当役員である最高ESG経営責任者(C“ESG”O)管掌のもとで、ESG経営グループが全社的な人権尊重の推進・啓発、人権リスクの把握・統括を行い、各事業所・各職場において人権尊重の実践に努めています。
また、バリューチェーンでの人権の尊重は、ESG経営の重点テーマ※ に落とし込み、取締役会の諮問機関であるESG委員会※2 にて進捗報告や課題検討を行い、取締役会に対して具申されています。
※ ESG経営の重点テーマの詳細については、以下のURLをご参照ください。
https://www.fujioilholdings.com/csr/materiality/
※2 ESG委員会の詳細については、以下のURLをご参照ください。
https://www.fujioilholdings.com/csr/approach/
教育・普及啓発活動
不二製油グループでは、ビジネスと人権に関する教育・啓発活動を推進しています。
2019年度は、人権方針の考え方を当社グループ全体に周知し、「ビジネスと人権」に関するテーマの推進について意識高揚を図る目的で、2019年12月4日~13日を「不二製油グループ 人権週間」として定め、最高総務責任者(CAO)と最高ESG経営責任者(C“ESG”O)の共催のもと、ビジネスと人権に関する以下のプログラムを展開しました。プログラムを通し、従業員からは「グループ憲法の“人のために働く”と人権のつながりを認識できた」「人権について考えるきっかけになった」「会社が人権を重要視している意思が伝わった」などの意見が得られました。
人権週間のプログラム | 対象 |
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経営者メッセージ (CEOメッセージ、CAOメッセージ、C“ESG”Oメッセージ) |
不二製油グループ 全社 |
ビジネスと人権 e-learning 動画 | |
ビジネスと人権 解説記事 | |
ビジネスと人権 デイリーニュースe-mail | 不二製油グループ本社および不二製油(株) |
ダイバーシティセミナー |
ビジネスと人権 e-learning 動画
人権デュー・ディリジェンス
人権デュー・ディリジェンスの全体像
不二製油グループは、人権尊重責任を実行する一環として人権デュー・ディリジェンスを実施しています。

インパクトアセスメントのプロセス
人権リスクの特定プロセス
2016年度、不二製油グループの事業活動が関与し得る人権への負の影響を特定・評価し、優先的に対処すべき重要な課題の特定をするため、人権インパクトアセスメントを行いました。アセスメントを実施するプロセスにおいては、社内関係部署の関与にとどまらず、外部有識者として、Verisk Maplecroft社および経済人コー円卓会議日本委員会から知見を得ました。
第1段階として、Verisk Maplecroft社のノウハウをもとに、当社グループの事業活動や操業地域が関与しうる人権リスクを定量的に評価しました。第2段階として、その結果に基づいて、経済人コー円卓会議日本委員会の参画を得て社内関係者にインタビューを行い、当社グループの実情を可能な限り反映して人権リスクを特定しました。
2016年度にインパクトアセスメントを実施して以降、M&A等により事業環境に変化があることから、2020年度に第2回目のインパクトアセスメントを実施する予定です。
特定した人権リスクと進捗状況
特定した人権リスク | 具体的な懸念点 | 対策 | 進捗 | |
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1.グループ従業員を対象とした教育・研修 |
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① 人権方針が従業員の行動に落とし込まれる仕組みが不十分 | 教育・研修の実施 |
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② 合弁会社や最近買収したグループ会社の人権リスク把握が不十分 | 各社リスクマネジメントシステムの中で人権リスクも管理 |
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③ 派遣・請負労働者について人権リスク把握が不十分 | ||||
2.苦情処理メカニズム |
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社内には内部通報制度が存在するが、サプライチェーンを対象とした苦情処理メカニズムが未構築 | サプライチェーンを対象にメカニズムを構築 |
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3.原材料サプライチェーン |
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特にパーム、カカオは人権リスクが高い | サステナブル調達の推進 |
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グリーバンス(苦情処理)メカニズム
従業員を対象とした内部通報制度
国内・海外グループ会社従業員および一部協力会社従業員を対象にした、内部通報制度※ を設けています。
※ 内部通報制度の詳細については、以下のURLをご参照ください。
https://www.fujioilholdings.com/csr/governance/compliance/
サプライチェーンを対象としたグリーバンスメカニズム
2018年5月、「責任あるパーム油調達方針」に基づくグリーバンスメカニズム※ を構築・公表しました。不二製油グループウェブサイトに「グリーバンスメカニズムWEBページ(英語)」を設け、メカニズムおよび進捗を公表しています。
※ グリーバンスメカニズムの詳細については、以下のURLをご参照ください。
https://www.fujioilholdings.com/en/csr/grievance_mechanism/
対話を通した取り組みのレビュー
有識者ダイアログ
2019年6月、ビジネスと人権の取り組みに関してアドバイスをいただき今後に活かす目的で、「ビジネスと人権に関する有識者ダイアログ」を実施しました。「ビジネスと人権」をテーマにダイアログの機会を持つのは、2016年度以降4回目です。有識者として、国連ビジネスと人権ワーキンググループのダンテ・ペシェ氏、およびロイドレジスタージャパン株式会社 取締役の冨田秀実氏にご参加いただきました。当社からは、最高経営責任者(CEO)、最高ESG経営責任者(C“ESG”O)、油脂・チョコレート事業部門の執行役員およびCSR部門のメンバーが参加しました。
ダイアログでは、ビジネスと人権に対する包括的な考え方のほか、具体的な取り組みとして2018年5月より運用を開始した「パーム油のグリーバンス(苦情処理)メカニズム」に関する意見交換を行いました。意見交換を通して、ステークホルダーとの対話の重要性を確認したほか、グリーバンスメカニズムを運用するに当たっての考え方についてアドバイスをいただきました。とりわけ、「親会社レベルのグリーバンス※」に対する考え方として、サプライチェーン上の問題ではなくとも、対応する事が望ましいということを、国連ビジネスと人権指導原則に基づきご助言いただきました。いただいた助言は、当社の活動改善に役立てています。特に親会社レベルへのグリーバンスについては、2019年度に当社の直接サプライヤーへの情報提供および問題が懸念される親会社のモニタリングを開始し、2020年4月に公開した改訂版のグリーバンスプロシージャー※2 において、RSPO※3 の定義に従いグリーバンスとして取り扱うことを公表しました。今後も、有識者による助言・アプローチの確認を得ながら、ビジネスと人権に関する取り組みを進めてまいります。
※ 親会社レベルのグリーバンス:当社のサプライチェーン上の農園の親会社が、当社のサプライチェーン外で運営する事業に対するグリーバンス(苦情)のうち、当社方針に抵触するもの。
※2 改訂版グリーバンスプロシージャーの詳細については、以下のURLをご参照ください。
https://www.fujioilholdings.com/en/csr/grievance_mechanism/
※3 RSPO:Round Table on Sustainable Palm Oilの略。持続可能なパーム油のための円卓会議。
