食の安全と品質の徹底
特に貢献を目指すSDGs
マネジメント情報
テーマと事業活動の関わり
不二製油グループは食品素材メーカーとして、お客様そして消費者における食の安全に影響を与え得ることを認識しています。製品設計から原料調達、製造、出荷、そして消費者が口にするまでを考慮して食の安全と品質を徹底することが重要であると考えています。
考え方
不二製油グループにとって、安全・安心な製品を社会に提供することは、事業活動の前提です。当社グループでは、お客様に安心して、安全な製品をご使用いただくために「品質基本方針」を定め、製品設計からお客様にお届けするまで、お客様の目線に立った製品づくりを目指しています。品質保証規程に基づく品質および食品安全マネジメントの強化、継続的な従業員の品質意識向上のための活動を推進することで、食の安全と品質の徹底に貢献できると認識しています。
品質基本方針
- 法およびその精神を順守し、安全・安心な商品をお客様にお届けする。
- 創造的な商品を開発し、タイムリーにお客様にお届けする。
- 顧客満足度の向上に努める。
- 真意の伝わるコミュニケーションで問題解決に努める。
推進体制
食の安全と品質の徹底については、最高ESG経営責任者(C“ESG”O)の管掌のもとで取り組みを推進しています。また、ESG経営の重点テーマの一つとして、取締役会の諮問機関であるESG委員会※ において進捗や成果を確認しています。
不二製油(株)では、品質に関するお客様からの苦情、クレーム、お問合せについて、営業部門が受け付けています。これらは品質管理部で精査され、適切な部署で検証や調査を実施しています。その後、品質管理部を経て営業部門からお客様へ回答しています。
不二製油グループの各社で受け付けしたお客様の苦情、クレームのデータは、各社が収集・分析しています。不二製油グループ本社はそれらの情報を集約・分析し、グループ会社全体で情報共有しています。
※ ESG委員会の詳細については、以下のURLをご参照ください。
https://www.fujioilholdings.com/csr/approach/
目標・実績
2019年度目標
- 海外品質保証体制レベル向上のための品質監査項目のブラッシュアップ
- 品質担当者間のネットワーク構築
- 品質保証規程のブラッシュアップと浸透
2019年度実績
品質監査項目のブラッシュアップについては、現場の管理レベルが把握できる内容に変更し、2019年10月以降の監査での使用を開始しました。また、品質担当者間のネットワーク構築として、世界の品質事故、食品法規制の動向などを生産性推進グループで収集し、グループ会社へ発信する、情報共有の取り組みを始めました。品質保証規程のブラッシュアップと浸透品質保証規程の理解を深めるために、規程に記載された「品質保証活動」について解説した資料をグループ会社へ配布しました。
Next Step
今後も「不二製油グループで製造されるすべての製品において、自社が原因となるクレームをゼロにする。」に向け、従業員の品質意識向上のための教育活動や認証取得などの取り組みを通して、不二製油グループでの食の安全と品質の徹底に取り組んでまいります。
2020年度は「① 重大品質クレームゼロを実現するために、従業員の品質意識向上を図る」、「② 不二製油グループ本社を中心とした品質ネットワークの構築を推進する」を目指し、集合教育実施状況調査、定期品質データ収集の見直しなどの活動を推進する予定です。
具体的な取り組み
リスク管理と対策
品質マネジメント体制
当社グループでは、「不二製油グループ安全品質環境基本方針」を事業活動に適用するため、グループ各社で品質マネジメント体制を構築しています。また、当社グループとして、「安全環境管理規程」および「品質管理保証規程」を制定し、これらの規定に基づき各グループ会社の管理状況のモニタリング(安全・品質・環境監査)を実施しているほか、各グループ会社の担当者を対象に、「安全・品質・環境会議」を地域ごとに開催し、取り組みの共有化・グループ内の好事例や管理ノウハウの横展開を行っています。
マネジメント認証の取得
マネジメント認証の取得状況の詳細については、以下のURLをご参照ください。
https://www.fujioilholdings.com/csr/authen/
品質管理者間のネットワーク構築
潜在的なリスク(他グループ会社の経験知を共有していない、自国以外の最新の食品規制情報や国際的な食に関するトレンドを共有していない等)の低減・解消に努め、また、問題発生時には相互に協力して速やかな解決を図るため、各グループ会社の持つ資源(経験に基づくノウハウ・地域特有の規制動向等)を相互活用できるネットワークの構築を進めています。具体的には、包括的に品質保証に携わる品質管理者間での情報共有を促進し、品質保証体制の向上を目指します。

食の安全に関するリスク管理手法
食の安全に関するリスクについても、不二製油グループ全体のリスクマネジメントシステム※ の中で、各グループ会社および職能が管理・対応しています。
※ リスクマネジメントシステムの詳細については、以下のURLをご参照ください。
https://www.fujioilholdings.com/csr/governance/risk/
食の安全に関するリスクと対策
不二製油グループ全体での2019年度のリスクアセスメントの結果、食の安全に関して、異物やアレルギー物質、不適切な原材料の混入リスクが改めて認識されました。これらのリスクについては、品質マネジメント認証の取得および内部監査での重点的な評価・指導を通じて、発生の可能性低減に努めています。
教育
不二製油グループでは、従業員の品質意識の向上のために教育活動を行っています。不二製油(株)では行動指針を掲げ、各工場での取り組みを支援するとともに、衛生講演会などを実施しています。2019年度は衛生講演会に100名が参加しました。
そのほか、日本産業界の「品質月間委員会」が定める品質月間(毎年11月)に参画しています。品質月間においては、品質テーマを決めて周知徹底を図るなど、従業員全員の意識の啓発に力を入れています。
また、当社グループ全体の品質マネジメント水準を向上させるべく、海外グループ会社に向けて、新たに導入した分析機器の技術指導を継続して行っています。グループ内の先進的な分析技術をほかのグループ会社に広め、より安全・安心な製品を世界中のお客様にお届けできるよう、今後もグループ間の技術交流を広めていきます。
製品表示
製品の表示内容は、販売する国によって大きく異なるため、各グループ会社の品質保証部もしくは品質保証を担っている部署が情報を収集し、各国・各地域の法令に則った製品表示の徹底に努めています。例えば、不二製油(株)では、法令については品質保証部が毎日情報収集し、改正があれば日々配信している「食品安全情報」を通じて社内関係者に伝えることで、迅速かつ的確に製品表示に反映しています。
また、製品表示の内容で法令に反する誤りがないか、実際に表示する前に開発部門・生産部門・品質保証部などの担当者がチェックする仕組みをつくり、管理を徹底しています。さらに、お客様が求める情報は、商品規格書や不二製油(株)ウェブサイトなどでタイムリーに開示することで透明化を図っています。
2019年度、製品表示に関する重大な違反は、日本および海外グループ会社において発生していません。
リコール・事故の状況
2019年度、不二製油グループにおいてリコールは発生しませんでした。
年度 | リコール 発生件数 |
内容 |
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2019 | 0 | ─ |
2018 | 1 | 2018年3月フジオイル ヨーロッパ(ベルギー)製造の一部の油脂製品およびチョコレート製品で、EU規則による上限値を上回るグリシドールエステル※ が含まれる事案が発生し、リコールを実施しました。すべての対象商品について消費者に販売される前に回収されたことを確認の上、再発防止策を講じました。 |
2017 | 0 | ─ |
※ グリシドールエステル:油脂を精製する過程で発生する物質で、発がん性等の人体への影響の観点から、欧州ではすでに含有量について法制化されており、CODEXにおいても安全性について議論されている物質。