グループ会社一覧

カカオのサステナブル調達

特に貢献を目指すSDGs

  • 4.教育
  • 8.成長・雇用
  • 12.生産・消費
  • 13.気候変動
  • 15.陸上資源

マネジメント情報

テーマと事業活動の関わり

不二製油グループでは業務用チョコレート事業の原料として、カカオを使用しています。カカオの生産国における農家の離農や高齢化、カカオツリーの老齢化、気候変動による生産地への影響、知識や資材不足による生産効率の低さといった供給面の問題から、将来的な需給のひっ迫が懸念されています。さらに、小規模農家が大半を占めるカカオ農家の貧困や児童労働、森林破壊、土壌汚染など、複雑に絡み合った人権および環境面での問題が指摘されています。このような背景を踏まえ、カカオ農家の支援等に取り組むことで、カカオのサステナブル調達に貢献できると認識しています。

サプライチェーン図

考え方

業務用チョコレート事業は、不二製油グループのコアコンピタンスの一角であり、ココアリカー・ココアバター※2・ココアパウダー※3等のカカオ由来原料は当社グループにとって基幹原料の一つです。当社グループが将来にわたり、持続可能なカカオを使用した製品を通じて食の喜びを届け続けるため、2018年8月に「不二製油グループ 責任あるカカオ豆調達方針」を策定しました。本方針に基づいて、持続可能なカカオ原料の調達活動を行うことを目指しています。

※ ココアリカー:チョコレート・ココアの製造工場の用語で、カカオ豆から外皮を取り除いて磨砕して出来るペースト状のもの。

※2 ココアバター:カカオ豆を搾油して得られる植物油脂。

※3 ココアパウダー:カカオ豆からココアバターを搾油した後のものを粉砕し粉状にしたもの。


責任あるカカオ豆調達方針PDF(166KB)

推進体制

カカオのサステナブル調達については、最高経営戦略責任者(CSO)の管掌のもとで取り組みを推進しています。また、ESG経営の重点テーマの一つとして、取締役会の諮問機関であるESG委員会 において進捗や成果を確認しています。

※ ESG委員会の詳細については、以下のURLをご参照ください。

https://www.fujioilholdings.com/csr/approach/

目標・実績

2019年度目標

  • エクアドルの支援先カカオ農家における単位面積当たりの収穫量増加

2019年度実績

上記の目標に対する2019年度実績は 単位面積当たりの収穫量 5%増 です。
これは農業技術支援活動による取り組みが寄与した結果です。

Next Step

2020年6月に、責任あるカカオ豆調達方針実現のための「中長期目標」を設定しました。この中長期目標に基づき、農家支援などの取り組みを通して、不二製油グループとしてカカオのサステナブル調達に取り組んでまいります。2020年度はガーナにおける児童労働撲滅に向けた新たなカカオ農家支援プログラムの開始を予定しています。

中長期目標

2018年8月に責任あるカカオ豆調達方針を策定し、カカオ農家支援活動などを推進してきました。2019年1月にはカカオのサステナブル調達の先駆者であり、本分野での優れたノウハウと経験を持つブラマー チョコレート カンパニー(米国)が不二製油グループの一員に加わり、2019年度には責任あるカカオ豆調達方針の実現に向けた強力な体制を整えることができました。2020年度以降、不二製油グループ一丸となってカカオのサステナブル調達を推進するために、新たに以下の目標を策定しました。この策定においては、SDGsの目標8.7など国際社会の目指す姿からのバックキャスティングの考え方を取り入れました。

  • 2030年までにカカオ豆・カカオ製品のサプライチェーン上における児童労働を根絶するため、2025年までにILOの定める「最悪の形態の児童労働」(WFCL= Worst Forms of Child Labor)をゼロ
  • 2030年までにカカオ農園に対して100万本植樹

中長期目標の詳細については、以下のURLをご参照ください。

https://www.fujioilholdings.com/news/2020/1198316_2533.html

※ 100万本 植樹:森林への負の影響を低減し、生態系と共存するカカオ農業の実践として、既存のカカオ農園にShade Trees(緑陰樹)等を植えていきます。当社グループはWorld Cocoa Foundation(世界カカオ財団)の主導するCocoa & Forest Initiativeに賛同し、このイニシアチブに資する活動として取り組んでまいります。

具体的な取り組み

コミュニティ支援プログラム

コートジボワール

カカオの最大の生産国であるコートジボワールにおいて、ブラマー チョコレート カンパニー(米国)では持続可能なカカオ調達のためのプログラムを複数展開してきました。
具体的には、72農協、41,000農家、1,000農村を対象に、以下の取り組みを行ってきました。

  • 児童労働撲滅に向けた取り組み
  • 農家の所得水準向上のための各種支援
  • 女性の社会的地位の改善のためのプログラム
  • トレーサビリティの確立
  • 森林破壊の抑制と植林活動
  • 地域コミュニティのインフラ(学校・病院・井戸など)の支援

これらの取り組みは不二製油グループの調達方針の実現に寄与するものであり、2019年にブラマー チョコレート カンパニー(米国)が不二製油グループの一員となって以降も継続して推進しています。
今後は、これらの取り組みを通してブラマー チョコレート カンパニー(米国)が長年にわたり構築してきた経験や手法を生かしながら、当社グループ全体で、取り組みの更なる強化を図っていきます。

ブラマー チョコレート カンパニー(米国)が参画している世界カカオ財団のプログラムについては、本ページ下部「世界カカオ財団への参画」をご参照ください。

ガーナ

カカオ豆の主要原産国の一つに、アフリカのガーナがあります。不二製油(株)は、2014年以降、カカオ豆購入代金の一部を利用し、ガーナのサプライチェーン上のコミュニティ支援を継続して行っています。これまでに、支援先コミュニティにおいて、「井戸の建設(2014年)」および「収穫率の改善のための研究(2016年~)」「収穫率改善研究の結果に基づく農業指導(2018年)」を行ってきました。
収穫率向上のための研究として、2016年から2018年にかけて、モデル農園を選定し、異なる条件で育成したカカオの収穫量を研究してきました。研究によって、モデル農園の収穫量は、2017年10-12月は前年同時期と比較し、18%の増加となりました。2018年2月からは、研究結果の横展開の目的で、モデル農園近隣エリアのカカオ農家を対象とした、「農園の管理方法」、「農薬の管理方法」などの農業指導を実施しました。2019年度には本コミュニティにおける環境保全の推進のプログラムを検討し、2020年度には、コミュニティのインフラ整備拡充に役立つ活動を予定しています。

  • また、2019年度には、上記の支援先とは別のコミュニティにおいてガーナ産のトレーサブルカカオ豆の購入を開始しました。この購入代金の一部は、生産者であるカカオ農家コミュニティに還元され、農家の収入向上に役立てられています。

    今後も、カカオ豆の持続可能な生産・消費体系構築を目指し、生産者の支援を継続していきます。

  • 農業指導の様子
    農業指導の様子

エクアドル

  • 責任あるカカオ豆調達方針に基づき、2018年12月より、エクアドルでの小規模カカオ農家支援活動を当社グループの直接サプライヤーとともに開始しました。農業支援を通して、生産性の向上・カカオ豆の品質向上・農家およびコミュニティの生活水準の向上を目指します。現在、支援プログラムでは68農家に対して、当社の直接サプライヤーが農園管理方法や土壌管理、収穫後のプロセス(発酵作業など)に関するトレーニングを行っています。カカオ豆は土壌管理・生産および収穫後のプロセスが品質を大きく左右する原料です。農業支援プログラムを通して、2019年度は支援先農家の単位面積当たりの収穫量が5%向上しました。このことによって、農家の収入向上が期待されます。また、現地にて風味研究を行うことで、カカオ豆の品質改善を図っていきます。

  • 土壌やカカオに負荷の低いオーガニックな虫除けスプレーをつくるための技術指導の様子
    土壌やカカオに負荷の低いオーガニックな虫除けスプレーをつくるための技術指導の様子

学術機関・政府・業界との協働

世界カカオ財団(WCF)への参画

不二製油グループは2012年より、世界カカオ財団へ加盟しています。世界カカオ財団は、農家が栄え、カカオ生産者コミュニティが活力を持ち、人権が尊重され、環境が保全されるようなカカオ産業の持続可能な繁栄を目指している、メンバー制の国際的なNPOです。

ブラマー チョコレート カンパニー(米国)は世界カカオ財団の設立メンバーであり、現在も世界カカオ財団の理事として参画しています。ブラマーは「African Cocoa Initiative(アフリカカカオイニシアチブ)」や「Cocoa Livelihoods Program(カカオ生計プログラム)」、「Cocoa Action(カカオアクション)」、「the Cocoa and Forests Initiative(カカオ&森林イニシアチブ)」といった世界カカオ財団の主力プログラムへの参画を通して、リーダーシップを発揮しています。新型コロナウイルス(COVID-19)への対応として、ブラマーは業界の他社とともに、世界カカオ財団の基金に協賛しています。この基金は、カカオ農家コミュニティが新型コロナウイルス(COVID-19)対策を講じるために必要となる物資の提供や教育支援に利用されます。

※ 世界カカオ財団の詳細については、以下のURLをご参照ください。

https://www.worldcocoafoundation.org/

世界カカオ財団の3原則

  • World Cocoa Foundation
  • WCFサステナビリティ3原則

認証カカオ製品への対応

認証カカオ原料の取り扱い

Fair Trade

Fair Trade

インダストリアル フード サービシズ(オーストラリア)、フジオイル ヨーロッパ(ベルギー)、ブラマー チョコレート カンパニー(米国)では、開発途上国の小規模生産者・労働者の持続可能な開発を促進することを目指すフェアトレード認証を取得しています。お客様のご要望に応じて、フェアトレード認証の原料を使用した製品を生産・販売しています。

UTZ

UTZ

不二製油(株)阪南事業所・関東工場、インダストリアル フード サービシズ(オーストラリア)、ウッドランド サニーフーズ(シンガポール)、フレイアバディ インドタマ(インドネシア)、フジオイル ヨーロッパ(ベルギー)、ブラマー チョコレート カンパニー(米国)では、持続可能な農業のための国際的な認証プログラムである「UTZ認証」を継続的に取得しており、今後もお客様のご要望に対応していきます。