責任あるパーム油調達方針
制定日:2016年3月16日
当社グループは、不二製油グループ憲法で定義している下記ミッションの下、ステークホルダーの皆様と双方向のコミュニケーションを図りながら、事業活動を通じて社会に貢献し、社会と共に持続的に発展していくことを目指しています。
<ミッション=私たちの使命・私たちの存在理由>
私たち不二製油グループは、食の素材の可能性を追求し、食の歓びと健康に貢献します。
<ビジョン=私たちの目指す姿>
私たちは、油脂と大豆事業を中核に、おいしさと健康で社会に貢献する、食の未来創造カンパニーを目指します。
<バリュー=私たちが行動する上で持つべき価値観>
- 安全と品質、環境
- 人のために働く
- 挑戦と革新
- スピードとタイミング
私たちは、食品素材メーカーとして、私たちの調達が環境的、社会的、及び経済的に持続可能である必要があると考えています。パーム油は世界で最も広く使用されている植物油であり、私たちの事業にとって重要な原材料です。私たちは幅広いサプライヤーと協力し、持続可能な管理方式を採用するサプライヤーと長期的な関係を構築しようと努めています。
不二製油グループは、事業全体を通じて人々と環境とを尊重するサプライヤーから、責任ある方法で生産されたパーム油を調達することを約束いたします。私たちの「責任あるパーム油調達方針」は、私たちが世界中で購入、取引、加エ、販売するあらゆるパーム、パーム核油及びパーム由来原料を取り扱う、グループ会社のサプライヤー全てに適用されます。
RSPO
不二製油グループは2004年に持続可能なパーム油のための円卓会議(RSPO)に加盟して以来、お客様からの要請に従って認証油を購入及び提供することに継続的に取り組んでいます。
重要コミットメント
不二製油グループは以下の基準に従って生産されたパーム油を調達することを約束いたします:
- 保護価値の高い(HCV)1森林、炭素貯蔵量の多い(HCS)2森林および泥炭湿地林における森林破壊ゼロ。
- 深さに関わらず、泥炭地における新規開発ゼロ3。さらに、泥炭地上の既存のパーム農園におけるベスト・マネジメント・プラクティスの実施4。
- 整地や土地開墾のための火の利用ゼロ。
- 先住民、地域住民及び労働者(契約労働者、臨時労働者、移民労働者を含む)の搾取ゼロ5。
- 既存事業からの温暖化ガス排出量の段階的削減。
- 適用される全ての現地、国内及び国際法令の遵守。
搾取ゼロを目指します
不二製油グループの搾取ゼロ方針は、ILO(国際労働機関)条約及び勧告に基づくものであり6、サプライヤーに対しては以下の基準の遵守を義務付けます。:
- 児童労働、強制労働及び/又は奴隷労働を禁止すること。
- 全ての適用法令に従って(最低賃金、超過勤務、最大労働時間、福祉手当、休暇に関係する法令を含む)労働者に対して補償を提供すること。
- 雇用又は業務における差別、いやがらせ、非人道的扱いを含む一切の人権侵害を禁止すること。
- 安全、清潔且つ相当な住宅(該当する場合)を含め、全ての労働者に安全且つ健康的な職場環境を保証すること7。
- 労働者の結社の自由及び団体交渉の権利を尊重すること。結社の自由及び団体交渉権が法律により制限されている場合には、独立した自由な結社及び団体交渉を可能とする他の類似の手段を従業員が利用できるようにしなければならない。
- ゆすり、賄賂を含む汚職を防止及び禁止すること。
- 文書化され、透明性が確保された採用プロセスによる備理的な採用方式を実施し、労働者が負担する費用に関して、透明性、正当性及び合法性を担保すること。
- 全ての労働者に対して、労働者が容易に理解できる言葉を使用して作成した契約書を提供すること。
- 化学物質への曝露を防ぐための安全な作業手順及び適切な防護装置を提供し、労働者の有害な化学、生物、理学物質への曝露を排除すること8。
- 二塩化パラコートの使用を段階的に排除し、人及び環境により安全な代替物質を積極的に探すこと。
- 先住民及び現地住民の土地所有権ならびにこれらの者が法的、集団的又は慣習的な権利を有する土地上でなされる事業に関し、自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意(free, prior and informed consent : FPIC)を提供又は留保する権利を尊重すること9;
さらに、不二製油グループは小規模農家のサプライチェーンへの組み込みを促すため、私たちのサプライヤーと協働いたします。
トレーサビリティ
私たちは、サプライチェーン上の関係者の優先づけを行い、搾油工場レベルまでのトレーサビリティ達成に向けてサプライヤーと連携いたします。また、サプライヤーの慣行改善ならびに森林破壊ゼロ、泥炭地開発ゼロ、焼畑ゼロ及び先住民•労働者•地域住民搾取ゼロの検証のためのサプライヤーとの連携プロセスの一環として、農園レベルまでのトレーサビリティ実現に向けた取り組みを行います。
実施及び透明性
私たちの方針は即時に発効するものとし、コミットメントの完全な実現に向けて前進するため、私たちはサプライヤー及びその他の関連ステークホルダーとの協働を継続してまいります。期限を定めた実施計画を策定し、コミットメント達成に向けた進拔度をモニタリングいたします。
不二製油グループの実施計画においては私たちの調達の大半を占めるパーム及びパーム核油に関する明確な目標を定めるものとします。パーム及びパーム核油オレオケミカル製品10のサプライチェーンは複雑であり、さらに、不二製油グループが取り扱う派生製品の量は限定的であることから、派生製品に関する不二製油グループの実施計画については長期的な視野に立つものとします。これにより私たちは、最も調達割合が大きい分野について迅速に取り組みを進めることに注力いたします。
不二製油グループは、全てのステークホルダーが報復の恐れなく、サプライヤーに関係する苦情を通報することができる、信用でき且つ利用可能な苦情処理体制を構築することを、不二製油グループのサプライヤーに義務付けます11。サプライヤーは、公平且つ利用可能な紛争処理プロセスを通じて、既存の紛争及び苦情処理手続きの下に記録された全ての苦情に適時に対応し、全ての調査及び実施された措置に関し、透明性ある記録を残すこととします。
さらに不二製油グループは、サプライヤーの調達拠点内で発生する苦情への対応に関して、サプライヤーと協働するための実施手順を策定いたします。不二製油グループは苦情の特定及び苦情への対応のための手順に関する説明書を発行し、苦情の解決に向けてサプライヤーと共同で実施した全ての措置について、透明性ある文書を作成いたします。特定の苦情がRSPOの苦情処理パネルに申し立てられた場合には、RSPOの手続きに従います。
私たちが定める義務について違反があった場合、私たちはサプライヤーと共同で、期限を定めたコミットメントを含む是正アクション・プランを作成します。私たちが求める改善義務を合理的に満たすことができなかったサプライヤーに対しては、契約の不更新又は契約解除を上限とする制裁を課すこととします。加えて、コミットメントの基準は、今後不二製油グループのサプライヤー選定プロセスにも含めるものとし、新規サプライヤーに対しては基準を満たすための準備に合理的な時間的猶予が与えられます。私たちは、年に二回進捗状況を報告いたします。
- 「保護価値の高い(HCV)森林」については、HCV資源ネットワーク(https://www.hcvnetwork.org/)により定義されています。
- 「炭素貯蔵量の多い(HCS)森林」については、HCS運営グループにより定義されています。(https://highcarbonstock.org/).
- 「泥炭地」については、65%以上の有機物を含むと定義しています。
- 「ベスト・マネジメント・プラクティス」については、「RSPO Manual on Best Management Practices (BMPs) for existing oil palm cultivation on peat(泥炭地における既存のパーム農園に関するRSPOのべスト・マネジメント・プラクティス(BMP)•マニュアル)」の記述に従うものとします。
- サプライヤーに対しては、世界人権宣言、先住民族の権利に関する国際連合宣言、国際労働機関(IL0)の中核的労働条約に定める理念を遵守することが求められます。
- IL0 (国際労働機関)条約及び勧告の最新の一覧表は以下のサイトに掲載されています。(http://www.ilo.org/dyn/normlex/en/f?p=1000:12020:0::NO:::)
- サプライヤーは、1961年のIL0労働者住宅勧告(第115号)に定める指針を参考にすることができます。(http://www.ilo.org/dyn/normlex/en/f?p=NORMLEXPUB:12100:0::NO::P12100 INSTRUMENT ID:3 12453)
- 世界保健機関(WHO)の分類でクラス1A又はクラスIBに分類されている農薬です。
- ステークホルダーに対しては、先住民族の権利に関する国際連合宣言、及び、国連食糧農業機関(FAO)が発表した土地の保有の権利に関する責任あるガバナンスについての任意自発的指針が定める定義及びガイダンスを遵守することが求められます。
- 一次製品及び二次製品として製造されるパームオレオケミカル製品ならびにこれらの派生製品と定義され、脂肪酸、脂肪アルコール、脂肪族アミン、脂肪エステル、石鹸、グリセリン、メチルエステル及び乳化剤を含みます。
- 不二製油グループは、ビジネスと人権に関する国連指導原則に定める苦情処理メカニズムに関する指針に従います。