コミュニティとの共生
方針
不二製油グループは、「不二製油グループ憲法※」のプリンシプル(私たちの行動原則)にて地域に根ざした企業活動を行い、積極的に社会に貢献することを表明しています。
推進体制
当社グループの各社がそれぞれの操業国・地域社会への貢献活動を行い、グループあるいは地域横断的な社会貢献活動については、不二製油グループ本社が主導しています。
考え方
当社グループは世界14ヵ国に主要拠点を有し(2024年7月時点)、地域社会の発展へ貢献するため、現地のニーズに沿った社会貢献活動を行っています。地域に根ざした企業活動や対話を行い、そこで得た視点を経営に活かすとともに、それらの活動を通じて当社グループ従業員の働きがい向上やサステナビリティへの意識向上につなげたいと考えています。
なお、当社グループにとって重要なステークホルダーやコミュニティとの関わりについては、各ESGマテリアリティの取り組み、ならびに以下のURLをご参照ください。
具体的な取り組みGRI:203-2、413-1
主原料(大豆・パーム・カカオ)を通した食育活動
不二製油(株)では、2014年度から特定非営利活動法人放課後NPOアフタースクールと協働で、次世代を担う子どもたちを対象に、世界の食糧問題や食の大切さを学び、人と地球の健康を考える「食育プロジェクト」を実施しています。
2023年度も3つのプログラム(「地球環境と私たちの食」(大豆)、「食育ビンゴ」、「○○のヒミツを探れ!食べ物探偵団」(パーム油))を展開し、従業員15名が社員先生として登壇しました。また新たに、チョコレートを取り巻く課題を知り自分たちができるアクションを考える「カカオプログラム」を開発し、2回のトライアル授業を行いました。2024年度より本格的に稼働します。
出前授業は4つのプログラムの合計で16校31回実施し、830名の小学生が、大豆やパーム油、カカオについて学びました。食育プロジェクト開始以降、累計で5,979名の子どもたちが参加しています。
食育プロジェクトのほかに、学生や保護者の皆様にも不二製油グループで扱う原料を題材に「身近な食を通して持続可能な世界を考える」をテーマとした食育をお届けし、2023年度は7拠点250名以上に参加いただきました。

大豆の食育授業(食育ビンゴ)の様子

カカオプログラム参加者の作成ラベル一例
授業参加者の声
- もっと大豆で作れるごはんを作って世界の人にやさしいおいしいをとどけてください(3年生)。
- これからは世界中の人がたくさん食べられるように肉ばかりではなく大豆を食べたりしてみようかなと思いました。世界中の人のことを考えてメニューを決めたいと思いました(5年生)。
- 子どもたちの興味関心を引き出すようなクイズ、お話でとても子どもたちは楽しんでいました。普段の授業では学べない食育の学習、とても興味深い内容でした。食育の大切さを改めて私自身感じさせる1時間でした(実施校の先生)。
- パーム油という油があることも、それが地球に関わっていることも初めて知りました。今回でもっと油や環境にやさしい食べ物などを調べてみたくなりました(6年生)。
- 普段学校給食向けの食品素材を販売していますが、実際に食べる子どもたちと会って話をする機会がありませんでした。自分の仕事の社会的意義を感じ、仕事に対するエンゲージメントが高まりました(社員先生)。
- 普段自分たちが食べているチョコレートでも、表側の会社だけでなく、BtoBで裏側で支えている会社や人々がいることを知ることができました。一つのチョコが自分たちの所に来るまで、たくさんの人々が関わっていることを知って、もっと感謝を持って食べたいと思いました(高校生)。
SDGs for Schoolへの協賛
不二製油グループ本社は、2018年から一般社団法人Think the Earthが推進するプロジェクト「SDGs for School※」に協賛しています。「SDGs for School」は、SDGsを通じて持続可能な社会の実現について学ぶ教育コンテンツやつながる場をつくり、教育現場の先生と生徒を応援するプロジェクトです。2021年に環境省より「環境教育等支援団体」に指定され、「人材認定等事業」に登録されています。2023年度は前年度に引き続き、身近な食を通して環境問題を学習するための教材として、当社グループから国内の高校2校へチョコレート(カカオバター配合品および植物油脂配合品)を提供し、計250名の生徒が気候変動や森林保全の大切さを学びました。

阪南の森プロジェクト
不二製油(株)では、本社のある大阪府泉佐野市の里山再生を目指し、2010年に「阪南の森プロジェクト」を開始しました。
2018年3月からは、さらに活動を発展させ、泉佐野丘陵緑地※の公園づくりに社員がボランティアで参加しています。
現地では地元ボランティア、企業、行政が連携して森づくりや竹林管理などに携わり、同社は「企業の森」エリアにて月1回、里山の森を育てる活動を展開しています。
2023年度は、新型コロナウイルス(COVID-19)が5類感染症へ移行し、2022年度と比べて多くの活動を実施できました(活動計9回・参加者延べ120名)。「企業の森」のより深いエリアまで活動を広げ、竹林の中に「エクスプローラールート」と呼ばれる管理道の整備を進めました。
今後も、フクロウやムササビが棲める豊かな森を目指し公園づくりを行っていきます。


竹の伐採の様子
不二たん白質研究振興財団
大豆たん白に関する学術研究振興を支援する目的で、1979年に大豆たん白質栄養研究会を発足し、財団法人化を経て2012年からは公益財団法人不二たん白質研究振興財団※1として、植物性タンパク質に関する研究助成活動の継承と発展に努めています。助成件数は延べ1,200件を超え、助成する研究分野はライフサイエンス・食文化・調理科学・育種と多岐にわたります。2023年度からはさらなるグローバル化を見据え、財団EU支部を通じてオランダ国内の研究者へ海外研究助成を行っています。
研究助成の成果は、学術誌『大豆たん白質研究』として毎年刊行されるとともに、同財団のホームページに掲載※2され、研究者を中心に広く閲覧いただいています。
さらには大豆や植物性タンパク質の普及啓発・活用を目指し、公益活動として一般の方を対象とした無料の公開講演会を開催しています。2023年度は大阪市にて3名の先生にご登壇いただき、①考古学の観点から見た大豆の歴史から利用について、②食文化の観点から日本の家庭料理として大豆料理について、③昨今、社会問題となっているメンタルヘルスと大豆食との関わりについてなど、さまざまな観点よりご講演いただきました。講演会には当日170名を超える方にご参加いただき、後日期間を設けて同財団のホームページにて実施したアーカイブ配信もたくさんの方にご聴講いただきました。
財団への寄附活動を通して、引き続き大豆や植物性タンパク質についての学術振興を支援するとともに、広く社会貢献を果たしていきます。
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※2 研究成果については以下をご参照ください。

学術誌『大豆たん白質研究』

大阪で行われた公開講演会の様子
起業支援:ブラジルの低所得層向けチョコレート研修プログラム
ハラルド(ブラジル)は、低所得者層が収益性の高い副収入源を得られるよう、2019年から無料のチョコレート起業プログラムを開催しています。有資格の専門家による研修を通じ、実践的な知識と材料や技術のサポートを得られます。これまで2,000名以上が同プログラムに参加し、間接的に6,000名以上に影響を与えています。受講者の多くは18歳から65歳の女性と若年層です。限られた資源で起業でき、短期的に安定した収入が得られることが魅力で好評を得ています。
2023年度は、NGOや地方自治体との新たなパートナーシップ確立により取り組みを強化し、サンパウロのコミュニティキッチンや小売店での対面活動も拡大しました。基礎的な調理技術のトレーニングと潜在的な起業家の喚起を目的とした、小売店でのチョコレートとお菓子の無料ワークショップは、2,100回以上開催しました。ブラジル全土で27万名以上が参加し、地域社会にプラスの影響を与えています。
また、2022年度から継続してBunge財団と職業訓練プロジェクトを進めています。外食産業への就職希望者に応え、サンパウロ近郊の若者を対象に、製パン・製菓・調理の資格コースを無償提供しています。2023年度に選抜された15名は1年かけて専門資格を取得した後、実践の場で6ヵ月間キャリアモニタリングされ就職に備えます。


2023年にハラルド・プロジェクトがBunge財団などの社会的パートナーとともに実施した研修クラス
バレンタインイベント:米国の発達障害者施設でのボランティア活動
2024年2月7日、ブラマー チョコレート カンパニー(米国)は、発達障害のある約80名の女性にケアを提供する非営利入所施設St. Mary's of Providence(SMOP)でのバレンタインイベントに参加しました。このイベントは、ブラマーの元従業員であるサンディ・マーフィーが16年前に始め、米国菓子技術者協会(AACT)シカゴ支部が毎年開催しています。ブラマーは、イベント開始以来、毎年チョコレートを寄付し、ボランティアとして参加しています。イベントではシカゴ都市圏の菓子企業が一堂に会し、自社のおいしいお菓子をテーブルに並べ、女性たちがホリデーを祝い、喜びを分かち合えるよう支援しています。
2024年はブラマーのほか、Mars Wrigley、Flavorchem、Jelly Belly、Primrose Candy Company、Roquette、Ferrara Candy Company、Dawn Foods、Bunge、American Licorice Company、Chocolate Inspirations、Sensient、Malt Products Corporation、Lucky Teapot Consulting、Long Grove Confectionery Companyの14社が参加しました。ブラマーからは、現役社員と退職した社員からなる10名のボランティアが参加しました。ブラマーのブースでは、ピンク色のストロベリー風味のチョコレートファウンテンと、ブラウニー、マシュマロ、ライスクリスピーなどのお菓子が用意され、女性たちは社員たちの手を借りながら、チョコレートファウンテンに浸したり、各種スプリンクルでデコレーションをしたりしました。

ブースのブラマーチーム

St. Mary'sの女性たちがチョコレートファウンテンにデザートを浸すのを手伝う様子