エステル交換~油脂製品の製造に欠かせない技術~
エステル交換とは?
不二製油の油脂を語るのに欠かせない技術の一つが「エステル交換技術」です。エステル交換技術は、チョコレート用油脂、マーガリン・ショートニング用油脂など様々な油脂製品の製造に使用されている加工技術です。
油脂はグリセリンと脂肪酸により構成されており、グリセリンに結合した脂肪酸を別の脂肪酸に並べ替える技術をエステル交換と言います。
このエステル交換技術には、化学触媒を使用する化学法と、リパーゼを触媒とする酵素法があります。今回は不二製油が世界で初めて工業化に成功した、リパーゼによる「酵素エステル交換技術」を利用したチョコレート用油脂についてご紹介します。
油脂の構成 |
---|
ココアバターの代替油脂開発に成功
カカオ豆から採れるココアバターはチョコレートの原料として使用されていますが、ココアバターは天然物であるため高価であり、また品質や生産量が安定しません。このような理由から、1970年代には世界の油脂大手企業がココアバターの代わりとなるような油脂を探索し、研究を行っていました。
ココアバターの構成成分には、グリセリンにステアリン酸(S)とオレイン酸(O)という脂肪酸がSOSの順に結合したトリグリセリドのSOS脂があります。
SOSトリグリセリド |
---|
品質が安定したココアバター代替脂の供給、SOS脂の効率的な生産を実現させるために世界中で研究が急がれていた中、不二製油はそれまでの常識を覆す方法でのエステル交換によってOOO脂の1位、3位にステアリン酸を置換し、SOS脂を作ることに成功しました。
エステル交換 |
---|
チョコレート用油脂の工業化へ
この技術の確立により、1980年代中頃に不二製油は世界で初めてリパーゼのエステル交換技術を用いたチョコレート用油脂の工業化・大量生産を開始しました。
チョコレート用油脂の生産によって本格的に始まった酵素エステル交換技術は、様々なジャンルの食品へ広がり、現在の油脂加工分野ではなくてはならない技術となっています。