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大豆たん白質の健康知識 心臓病予防編

<資料2> 中性脂肪と生活習慣病

 進行すれば恐ろしい虚血性心疾患を招く糖尿病、肥満、高脂血症、高血圧症、高尿酸血症。これらの生活習慣病が、日本人の健康をおびやかしています。その主な要因のひとつに、食生活の欧米化が指摘されています。たとえば日本人の脂肪の摂取量は以前に比べて増加しており、2004年の国民健康・栄養調査によると、脂肪エネルギー比(注1)は全国平均で25.3%、大学生対象の調査では32%という結果が出ています(注2)。日系米国人の虚血性心疾患の発症率は日本人の2~3倍となっていることから(注3)、この先、日本人における発症率も増加することが予測されます。
 ところで生活習慣病が話題にされるとき、善玉・悪玉コレステロールがよく引き合いに出されますが、最近ではその陰に隠れて目立たないものの、中性脂肪も悪影響を及ぼしていることがわかってきました。

体内で重要な働きをする脂肪

 脂肪には主に中性脂肪、リン脂質、コレステロール、糖脂質、遊離脂肪酸の5種類があります。私たちが食物から摂取している脂肪は、ほとんどが中性脂肪です。中性脂肪は吸収されやすく、そのうえ1gあたり9kcalものエネルギーを生み出す良質のエネルギー源です。食物から摂る中性脂肪だけでなく、糖質、たん白質なども、体の材料やエネルギーとして使われないと、その多くは中性脂肪に形を変えて皮下などに蓄積されます。これは飢餓や病気、けがなど、いざというときに備えてエネルギー源として貯えているのです。しかし現代人にとっては、栄養不足より栄養過剰によって引き起こされる問題の方が深刻です。肥満は中性脂肪が体内に過剰に蓄積された状態で、生活習慣病の引き金になるなど、さまざまな弊害が生じます。

脂肪の消化・吸収

 脂肪の消化・吸収の流れは、その脂肪の種類により異なります。中性脂肪は十二指腸で、肝臓でつくられた胆汁酸と一緒になり、さらに、リパーゼという酵素によって遊離脂肪酸とモノグリセリドに分解されたあと、吸収されやすい形(ミセル)になって、小腸から吸収されます。吸収後、これらは再び中性脂肪に再合成されてリンパ液に放出され、肝臓に持ち込まれたり、血液に乗って全身に運ばれることになります。コレステロールも同様に、十二指腸で胆汁とともに吸収されやすい形になり、小腸から吸収されたあと、血液によって全身に運ばれます。

血液中の脂肪

 血液は体内の細胞や組織へ栄養を運ぶ役目をもっています。血液は大きく、赤血球、白血球、血小板などを含んだ「血球成分」と、たん白質、糖質、脂肪、酵素、ホルモン、電解質、老廃物などが含まれる「血清成分」に分かれます。血清中の脂肪には、コレステロール、中性脂肪(トリグリセリドなど)、リン脂質、遊離脂肪酸があります。それぞれが体内で異なった重要な役割を果たしているため、過不足なくあることが大切です。
 しかし現代では、これらの脂肪が過剰になる傾向があり、問題になっています。血中の中性脂肪値が高くなると、動脈硬化から心筋梗塞などの虚血性心疾患を引き起こすおそれが出てきます。血液中の中性脂肪値が150mg/dlを超えた状態は、高中性脂肪血症といわれます。

働き盛りの男性や中高年女性は、中性脂肪の増加に要注意

 肥満は糖尿病、高脂血症、高血圧の最大の危険因子です。これらが合併すると動脈硬化を経て、虚血性心疾患を起こしやすくなることから、「死の四重奏」と言われます。男性の場合、中性脂肪値は30歳を過ぎた頃から急激に増加し、60代では20代の頃に比べると20~30mg/dl増加します。一方、女性では閉経後に急増します。このように中性脂肪やコレステロールは加齢に伴い増加する傾向にありますが、脂肪や糖質、アルコールの摂取を控えたり、運動を心がけるなど、生活習慣を見直すことによって適正な値を維持することは可能です(図1)。日本における過去の研究から、中性脂肪の上昇に伴う虚血性心疾患の発症率の相対危険率は、中性脂肪値が100mg/dlのときを1とすると、同250mg/dlで5となることがわかっています。欧米では同250mg/dlでの相対危険率が2以下で、欧米人と比べて日本人は中性脂肪値の上昇が悪影響をもたらしやすいことを示唆する結果も出ています(注4)。

図1 血清中性脂肪の平均値(性・年代別)

図1 血清中性脂肪の平均値(性・年代別)