6. 大豆たん白の健康知識 心臓病予防編
臨床で証明された大豆たん白の血中コレステロール低下作用
■図1 大豆たん白質の血中コレステロール値改善効果

1995年、Andersonら(注1)が、ヒトを対象とした血中脂質についての試験38件を比較分析(メタ分析)したところ、食事に含まれる動物性たん白質を大豆たん白質に置き替えると、総コレステロール、特に悪玉(LDL)コレステロールおよび中性脂肪が明らかに低下した、という結果が出ました(図1)。
またこのとき、善玉のHDLコレステロールの値に変化が見られないことから、大豆たん白質は悪玉コレステロールと善玉コレステロールの比率を改善することもわかりました。
■図2 初期のコレステロール濃度に基づいて研究群を四群に分けた場合の血中コレステロールおよびLDLコレステロール濃度の変化

大豆たん白質のコレステロール低下作用がこれだけ強力であると、もともと総コレステロールが正常な人や、低めの人が大豆たん白質を大量にとった場合、コレステロールが下がりすぎるといった問題は生じてこないのでしょうか?
これについては、大豆たん白質は大量にとってもコレステロールが下がりすぎることはない、という結果がはっきり出ています。図2は同じAndersonら(注1)の分析結果で、初期のコレステロール濃度を基準として、被験者を4群に分けた場合の、血中総コレステロールおよび悪玉(LDL)コレステロールの変化を示しています。総コレステロールおよび悪玉(LDL)コレステロールが高い被験者は大幅に数値が下がっていますが、正常範囲あるいは数値がもともと低い人は数値の変化が小さいことが分かります。つまり、大豆たん白質のコレステロール低下作用はもともとコレステロール値が高い人ほど顕著に現れるのです。
2019年に発表されたランダム化比較試験のメタ分析(注2)では、成人において、大豆たん白(主に分離大豆たん白の介入、摂量中央値25g/日、摂取期間中央値6週間)が対照の非大豆たん白(例えば、乳たん白)に比べ、血中総コレステロール(3290名対象者;平均差: -6.41 mg/dL、P < 0.0001)とLDLコレステロール(3228名対象者;平均差:-4.76mg/dL、P < 0.0001)を有意に低減することが示されました。これらの結果から、大豆たん白をより摂取するように推奨されています。
(注)
1. Anderson, et al. Meta-analysis of the effects of soy protein intake on serum lipids. N Engl J Med. 1995;333(5):276-82.
2. Mejia et al. A Meta-Analysis of 46 Studies Identified by the FDA Demonstrates that Soy Protein Decreases Circulating LDL and Total Cholesterol Concentrations in Adults. J Nutr. 2019;149(6):968-981.