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3. 大豆たん白の健康知識 基本編

大豆たん白と特定保健用食品

 人々の生活の多様化に伴い、生活のリズムやバランスがくずれがちになり、食生活にもひずみが生じる人が増えています。また、日本人の平均寿命が驚異的に延びたことによって、世界でもまれに見るスピードで人口の高齢化が進んでいます。このような中、不健康な生活習慣や、栄養バランスの悪い食生活(エネルギーの摂りすぎや栄養の偏り、欠乏など)を長く続けることで発症してしまう「生活習慣病」が問題になってきました。代表的なものとして「三大生活習慣病」といわれるがん(悪性新生物、上皮内新生物)、心疾患(急性心筋梗塞、狭心症、心不全など)、脳血管疾患(脳梗塞、脳内出血、くも膜下出血など)がありますが、最近ではこれに高血圧性疾患(高血圧症、高血圧性心不全など)、糖尿病、肝疾患(肝硬変、肝炎、脂肪肝など)、腎疾患(尿管結石、慢性腎不全、腎盂炎など)を加えた「七大生活習慣病」もいわれており、生活習慣病を改善することが重要となります。

 日本は2020年に65歳以上の高齢者が人口の28.6%となり、2038年には人口の33.9%が、2070年には38.7%が65歳以上の高齢者になるとされ2.7人に1人が65歳以上となります(注1)。今後、生活習慣病や認知症、寝たきりになる人々がますます増えると予測されています。

 厚生労働省では食事と生活のリズムのバランスから健康を考える「食生活指針」や、健康づくりによって明るい高齢化社会の実現を目指す「健康日本21」などのプロジェクトをスタートさせ、現在も「健康日本21(第三次)」として、全ての国民が健やかで心豊かに生活できる持続可能な社会の実現を目指して、健康づくりの推進を行っています。

大豆たん白質と特定保健用食品

 またこれに先立ち、日本では1991年に「特定保健用食品」制度が発足しました。これはアメリカ食品医薬品局(FDA)がヘルスクレーム(健康表示)制度を1993年に発足させる2年前のことです。特定保健用食品は不足しがちな栄養素を補うという考えからさらに一歩進んで、これを食べればこういった効果・効能を期待できると表示することが許可された食品です。その許可基準は厳しく、効果や安全性が臨床実験などで科学的に証明された場合にのみ、認められます。許可を受けた商品には「消費者庁許可」と書かれた許可マーク(図1)が付けられ、その食品のもつ効果、期待できる効能をはっきり表示することができます。

 特定保健用食品における機能性領域は、整腸作用(お腹の調子を整える)やコレステロールや中性脂肪低下、血圧や血糖値低下などさまざまな生理機能が許可されています。

 大豆たん白質を機能成分とした食品では、1994年4月に「大豆からあげ」が、コレステロールを低下させる特定保健用食品に許可されて以降、多くの商品が同じように許可されています。さらに2007年6月にはβ-コングリシニンを関与成分として、血中中性脂肪を低下させる食品として認可されました。2023年12月現在の許可数は、大豆たん白質が20品目、β-コングリシニンが4品目となっています。

 なお、特定保健用食品についてより詳しく知りたい方は(公財)日本健康・栄養食品協会のホームページをご覧ください(注2)。

(注)

  • 1. 国立社会保障・人口問題研究所、日本の将来推計人口(令和2年10月1日推計)  出生中位(死亡中位)推計

  • 2. 公益財団法人日本健康・栄養食品協会「特定保健用食品《 トクホ 》とは