麹の品種改良で旨い醤油や味噌が誕生
精進料理が庶民にまで広まる中で、日本人は“肉に代わる旨味”を探さなくてはなりませんでした。それが“だし”の発展につながったとされています。植物性の旨味成分であるグルタミン酸を含む昆布をはじめ、動物性の旨味成分のイノシン酸を含む鰹節、グアニル酸を含む椎茸、そしてこれらと合わせる味噌や醤油が鎌倉・室町時代から日本独自の進化をとげていきます。
日本酒やみりんづくりでより良質な麹(こうじ)を育成していく上で、日本人は品種改良を地道に続けて毒性を弱めた特殊な菌をつくりだしていきました。米にこの麹菌を使うとおいしい日本酒やみりんができたので、大豆にも応用されていきました。
こうして、大豆の風味がいきた日本独自の繊細な味の醤油や味噌ができ、“出汁”とあわされ、旨味の世界が広がっていきます。それから主食である米に合うよう醤油や味噌に改良が加えられていきました。大豆を穀物とともに醗酵させて調味料をつくることは中国や朝鮮半島でも行われていますが、液体のカタチの醤油、個体(ペースト状)の味噌というように分けて発展させたのは日本が最初と言われています。