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PROJECT STORY

01

健康問題や環境問題などの社会的課題の解決に貢献する、


世界初の技術で誕生した画期的植物性新食材「豆乳クリームバター」。

創業以来、大豆をはじめとしたPlant-Based Food (植物由来の食品素材。以下「PBF」と称する)を開発・推進してきた不二製油。これまで多彩なPBFを市場に送りだしてきたが、今回、動物性原料不使用の豆乳クリームバター(商品名・ソイレブール)を生み出した。その背景には、世界初の技術への挑戦と商品化に向けた奮闘の軌跡があった。

PROJECT MEMBER

M.N

開発部門 油脂開発室
つくば第二グループ
2006年入社 農学系出身

入社後、阪南事業所の製菓製パン素材開発室に配属。マーガリン・ショートニングの開発を担当。2009年つくば研究開発センターに異動し、同じくマーガリン・ショートニングの開発に従事。2019年4月より現職。現在は主に、豆乳クリームバターの開発に取り組んでいる。

N.K

開発部門 油脂開発室
つくば第二グループ
2013年入社 農学系出身

入社後、阪南事業所の油脂開発室に配属。健康油脂の開発を担当。2014年つくば研究開発センターに異動し、チョコレート用油脂の開発に従事。2019年4月より現職。主に、豆乳クリームバターの開発を担当している。

※記事内容は取材当時のものです。

社会課題を植物性素材で解決したい。
その信念が開発のきっかけに。

画期的な新食材である豆乳クリームバター・ソイレブール。その名が示すように、豆乳クリームを主要原料として誕生した、今までにない、まったく新しい植物由来のバター様素材である。その開発の背景には、社会課題を植物性素材で解決しようという不二製油の信念があった。

当時、地球環境問題(温暖化等)、健康問題(肥満の増加等)、食の多様性の広がり(ビーガン、ベジタリアン等)といったさまざまな社会課題から、肉の代替、ミルクの代替など、植物性素材でできたPlant Based Food=PBFが世界で急速に普及してきていた。不二製油では、サステナブル・ヘルシー・ダイバーシティという条件を満たし、かつ、何よりもおいしいPBFバターを創ろうと模索していた。

一般的にバターはクリームをチャーニング(撹拌)することにより作られるが、その際に水分が抜け、風味が濃縮される。しかし、一般的な豆乳を使用すると濃縮された風味が表現できず濃厚感は生まれない。
そんな中、開発のきっかけとなったのは、不二製油独自素材の「豆乳クリーム(※)」である。 豆乳クリームは、自然な風味でありながら、植物性原料とは思えない濃厚感とクリーミー感があり、まさにバターのような濃厚感を表現できる原料として最適だと判断した。

(※)牛乳から生クリームを分離するように、弊社独自製法(USS製法)で大豆から分離した豆乳クリーム。

製品の固形化とくちどけを両立させるという難題。従来の考え方とはまったく異なるアプローチを試みる。

おいしいPBFバターを創るべく、M.Nらは、つくば研究開発センターのラボで試作。そして、試作品を一口食べて、M.Nらは驚嘆した。 「バターともマーガリンとも全く異なるおいしさに驚きました。バターのようにくどくなく、あっさりしており、瑞々しく、素晴らしいくちどけ。また豆乳製品にありがちな青臭さもなく、大豆の甘味、旨味がしっかり感じられるものでした。これを商品化すれば、多くのお客様に喜んでいただける。メンバー全員がそう感じ、開発はスタートしました」(M.N)

しかしラボで最終的な商品の形にするまでには、高いハードルがあった。その一つが、製品の固形化という課題だった。豆乳クリームバターは、固まらない液状の大豆の油が油脂中に半分以上含まれている。わかりやすく言えば、サラダ油をバター化するような試みだったといっていい。固形化するためには、固まる油脂が不可欠であるが、油脂の選択を間違えればくちどけの良さは無くなる。検討を重ねてM.Nらが選択したのは、不二製油の独自のノウハウを基にした加工技術で生まれた油脂だった。厳選した油脂を豆乳クリームと合わせることで、製品の固形化と良好なくちどけを両立することが可能となった。

W/O型のエマルジョンの実現と維持。
「豆乳クリームバター」の誕生。

厳選された油脂の採用で製品固形化は見通しがついたものの、開発チームはさらなる壁に突き当たった。豆乳クリームバターの成分は、豆乳クリーム、低脂肪豆乳、大豆粉、食塩、植物油脂で構成されているが、全体の中で占める割合としては植物油脂が最も多い。したがって、植物油脂のありようが製品完成に向けて、最大のカギを握っていた。ここで浮上してきたのが、エマルジョンの問題である。エマルジョンとは乳化物のことで、水中油滴型のO(Oil)/W(Water)型と油中水滴型のW/O型に分けられる。いわば水の中に油が分散している状態と、油の中に水が分散している状態。バターはW/O型の乳化物である。

「豆乳クリームバターは、油中に水が分散したW/O型の状態を維持して生産するわけですが、単に分散していればいいというわけではありません。きれいに分散された状態で連続生産する必要がありました。言い換えれば最適な乳化物を作らなければならない。今回の製品では油が液状の大豆の油と固まる油脂から成る植物油脂であり、水が(油分を含むものの)豆乳クリーム、低脂肪豆乳です。油と水は本来反発し合う性質、分離する性質を持っています。それを混ぜ合わせて、油中に水をきれいに分散させた状態にすることは、非常に難しいものがありました。通常、乳化剤を使いますが、今回は天然素材のみでつくることを目指していましたので、乳化剤を使わないで最適な乳化を実現するために、試行錯誤を重ねました」(M.N)

この時期、チームに加わったのが、当時入社7年目のN.Kである。
「豆乳クリームバターは、これまでに前例のない製品であり、生産は極めて難しいものがありました。また生産することで終わりではなく、それをお客様が最終製品として問題なく使えるかどうかも重要です。我々開発チームだけでなく、他部署との強固な連携で開発を進めました」(N.K)

開発チームが目指した乳化状態の実現・維持のためのポイントとなったのは、大豆の油と固まる油脂の配合割合であり、数%内の微調整を繰り返した。N.Kは「本当にこれで乳化できるのか」という大きな不安があった。開発開始から約半年経った頃、幾度なく検証を重ねてきた豆乳クリームバターの生産に向け、工場プラントに豆乳クリーム、低脂肪豆乳、大豆粉、食塩、そして最大の懸念材料であった植物油脂を投入。やがて、生産ラインで豆乳クリームバターの充填が開始された。N.Kの不安は杞憂に終わった。充填性に問題はなく、求めてきた良好なくちどけ、瑞々しい、すっきりしたおいしさがそこにあった。「豆乳クリームバター」誕生の瞬間だった。

豆乳クリームバターの価値を世の中に発信。PBFの持つポテンシャルが社会課題の解決へ。

豆乳クリームバター「ソイレブール」は発売以来、そのおいしさとくちどけ感、使い勝手の良さが、食のプロの間で評判を呼び、日本を代表するホテルなどでも採用されている。しかし、まだ広く認知されていないのが実情であり、今のN.Kのミッションも、豆乳クリームバター「ソイレブール」の価値を世の中に広めていくことだ。

「一つは開発担当として、お客様のニーズ・要望を聞き、より使いやすい物性や形態、求められる風味の開発など、新たなバージョンの豆乳クリームバターの開発に取り組んでいます。もう一つの役割が、製品自体の開発に留まらず、営業やマーケティングの部署と連携しながら様々な形で情報を収集・発信して価値を広げ、多くの人にその良さを理解していただくための活動です。PBFは様々な社会問題を解決する一助になると確信していますが、その前提として『おいしさ』にこだわった製品を世の中に発信していきたい。そして豆乳(大豆)に抵抗がある国も含めて、豆乳クリームバターを世界に広めることが目標です」(N.K)

豆乳クリームバターの開発のスタート時期から関わってきたM.Nも、N.K同様の取り組みを進めている。 「豆乳クリームバターという製品には、自信を持っています。それはもちろんそのおいしさ。PBF製品であることから、健康や環境にも優しい。ただ、これまでになかったものですから、その価値を伝え、感じてもらう難しさも痛感しています。社外のシェフやお客様の声を聞きながら、その価値を改めて見つめ直し、明確に認識する作業を続けていく必要があります。そんな中、あるトップシェフの方から『おいしいから使う』と言っていただいたときは、嬉しく、そして自信につながりました。今回の豆乳クリームバターを含め、おいしい植物性由来の食品素材の研究開発を通して、入社以来の志である、人々の健康や地球環境問題等、社会課題の解決に少しでも寄与していきたいと思っています」(M.N)

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