新年のごあいさつ

2025年を迎え、年頭のご挨拶を申し上げます。
昨年を振り返りますと、インバウンド(訪日外国人)数が、新型コロナウィルス前を超え過去最高を記録し、外食やお土産産業への需要が伸長いたしました。一方で、昨年の世界の平均気温は観測史上最も高く、農作物の収穫量と品質にも大きな影響を与えました。西アフリカ産カカオは、気候変動による大雨の影響やウィルス病の蔓延などで不作となり、先物価格が歴史的な高騰を記録しました。それはチョコレート製品に大きな影響を与え、「カカオショック」や「チョコレートショック」という言葉も使われるようになりました。また、世界的なインフレや円安の進行により、主要事業の一つである業務用チョコレートをはじめ、多くの原料を輸入に頼らざるを得ない当社にとりましては、引続き厳しい経営環境の1年となりました。
このような中、当社はこの歴史的なカカオの高騰をチャンスと捉え活動し、チョコレート用油脂およびコンパウンドチョコレートは、多くの引き合いをいただきました。チョコレート用油脂の需要は今後も続くと見込まれ、増産の余地を検討しながら、引き続き注力してまいります。昨年発売した新製品のコンパウンドチョコレート「CPシリーズ」は、チョコレート用油脂の活用によるコストメリットに加え、クセのない風味やピュアチョコレートと遜色ない口どけをご評価いただき、採用が増えております。カカオの産地においては、現地のカカオ農家を支援する当社独自基準のプログラム「サステナブル・オリジン」を進めています。2025年のカカオ豆の需給は引続き厳しいと見込まれており、当社はチョコレート用油脂やコンパウンドチョコレートの強みをいかした事業展開を進めてまいります。
また、不二製油グループでは、「植物性素材でおいしさと健康を追求し、サステナブルな食の未来を共創します。」をグループ憲法のビジョンとして掲げ、ビジネスを推進しております。同ビジョン実現に向けた植物性食品のブランド「GOODNOON」では、驚きのおいしさを実現し、人と地球の健康を考え、食の選択肢を増やし、新たな時代の食のスタンダードとして誰もが心から食事を楽しめる世界を目指しています。
昨年当社は、「豆乳クリームバター」、「プライムソイ」、「やさしいつゆ」の3品を、GOODNOONブランド初の小売製品として、グループ会社を通じて発売いたしました。インバウンドの高まりに伴い、食に対する多様性のニーズがホテルや外食産業を中心に高まってきており、今後も更なる普及が進んでいくと予想しております。おいしい植物性食品による新しい価値の提供により、市場の更なる拡大に貢献できるように努めてまいります。
原料においては、前述したカカオ以外にもパームや大豆等の植物性原料を扱う為、サステナブルな原料調達は重要な課題と認識しております。サステナブルな原料の需要が高まる中、当社グループではサステナブル調達の中長期目標を掲げ、日本においても積極的に取り組み、責任あるサプライチェーンを構築してまいります。
2025年4月1日に当社は不二製油グループ本社株式会社に合併し、新たな「不二製油株式会社」としてスタートします。お客様や地域社会と共に、社会や地球環境の課題に真摯に向き合い、事業を通じた課題解決により新たな価値を創造し、サステナブルな食の未来を共創してまいります。
引続き一層のご指導、ご支援を賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。
代表取締役社長
大森 達司