当社の研究グループの「コプラミール由来β-1,4-マンノビオース*1の機能開発 -免疫学的解析を中心とした機能性飼料開発-」が日本応用糖質科学会の技術開発賞を受賞し、9月11日に秋田県立大学で行われた学術集会にて受賞講演を行いました。

この研究は、ヤシ油搾油後の抽出残渣から酵素処理などを行ったβ-1,4-マンノビオース(MNB)を含む飼料の製品開発と機構解明を行ったもので、食品製造で生じる副産物を機能性飼料に応用した産業面の貢献と、一連の学術的業績が評価されました。MNBを含む飼料は、病原菌対策への有効性、飼料効率への寄与により当該産業界へ貢献しています。
MNBはDNAマイクロアレイを用いた検討により30種類の腸管免疫遺伝子の発現を上昇誘導しており、マクロファージ*2を活性化することによる初期免疫の誘導を行い、抗菌性を高めていることを示しました。また、甲殻類にもこの効果があることも示しました。
さらにMNBはToll様受容体4*3をレセプターとしたアゴニストとして作用することを示し、エンドトキシン*4存在下では、抗炎症効果に働くことを見出しました。
このように主要成分MNBが腸管上皮細胞を通過して体内に取り込まれ免疫賦活を誘導していることを示し、その抗菌性の作用機構とその他の免疫作用も解明いたしました。今後も作用機構の解明を進めていき、食品分野でも広くおいしさと健康に貢献できるよう進めてまいります。

*1 2分子のマンノースがβ-1,4により結合したもの。ヤシ由来のマンナンから独自の酵素処理により得られる機能成分。
*2 白血球の1種で、食細胞ともいう。基本的役割は細菌、ウイルスなどの異物を取り込む食作用だが、伝達物質の放出や取り込んだ細菌の断片を細胞表面に提示する抗原提示などにより、他の免疫細胞を活性化する役割をもつ。
*3 動物の細胞表面にある受容体タンパク質で、種々の病原体を感知して自然免疫を作動させる。ヒトの場合には10種類のファミリーが存在し、それぞれに特定の物質が結合する。
*4 内毒素ともいう。細菌がつくりだす毒素のうち、細菌が崩壊したときに菌体外に遊離してくるもの。成分はリポ多糖体で、発熱や局所障害などを起こす。