不二製油株式会社
代表取締役社長
大森 達司
明けましておめでとうございます。旧年中は一方ならぬご高配に預かり、心から御礼申し上げます。
まず、このたびの新型コロナウイルス感染症に罹患された方々には謹んでお見舞い申し上げますとともに、一日も早いご快復を心よりお祈り申し上げます。 また、最前線で人びとの健康を守ろうと奮闘されている医療従事者、介護従事者の皆さまには心より敬意を表します。
新型コロナウイルス(COVID-19)の感染が確認されてから、ほぼ一年になろうとしています。世界中を巻き込む感染拡大により世界経済は大きな打撃を受けました。日本においてもGDP成長率はマイナス水準となり、ここ数年、日本経済に恩恵をもたらしたインバウンド消費は、往来規制により急減退し、日本の土産物市場、外食市場は落ち込み、昨年は当社も影響を受けました。
一方で、このような事態は世界の社会課題を顕在化させました。世界人口の増加に対する食糧問題や地球の環境問題が取り沙汰されるようになり、消費者の植物性食品(Plant-based Food(PBF))のニーズや環境への関心が高まっています。
昨年、当社はPBF需要に対し、さまざまな施策を打ってきました。日本では植物性がもつ健康イメージが、PBFの拡がりを後押ししており、大豆ミートに代表される粒状大豆たん白素材の需要が増えました。これに応えるため、昨年6月に千葉に新工場を建設し、現在は、阪南工場と千葉工場の2拠点で粒状大豆たん白を生産しています。また、豆乳でつくったチーズ様素材(「マメマージュ」)や豆乳クリームバター(「ソイレブール」)は、新ジャンルのPBFとして注目を集め、お客様に好評をいただいています。
また環境面での施策では、昨年、コージェネ設備において、高効率のガスタービンの更新をいたしました。コージェネとは、ガスなどを駆動源として発電を行うとともに、その際の排熱を蒸気などに利用するシステムです。当社は環境に配慮した生産活動を行っており、当機の導入により、さらなる省エネ、CO2排出削減が期待されています。
近年高齢化が進む日本は、少子高齢化と人口減少が大きな問題となり、またCOVID-19を機に人びとの健康意識も高まりを見せています。当社は生産・開発・販売すべての事業活動を通じて、これらの課題解決を目指そうとしています。例えば、健康寿命の延伸は体と頭の両方の健康が必要です。体の健康にはたん白質の摂取が重要と言われていますが、当社がおいしい大豆たん白素材を提供することで、社会のお役に立ちたいと考えております。また頭の健康面では、当社の安定化DHA/EPA技術に期待をしています。魚油に含まれるDHAは認知症の発症リスクを低減させる効果があるとされる一方、その臭いが食品への利用範囲を限定してきました。当社では藻類より抽出したDHA/EPA安定化技術により、臭いのない油として、普段の食事から無理なく摂取することが可能になりました。
昨年はCOVID-19に翻弄された一年でしたが、この影響は今年も続くでしょう。さらに近年、地球規模で自然災害も頻発しており、BCP対策がこれまで以上に重要になってくると考えています。このたびの未曾有の事態は人びとの価値観を大きく変えました。それにともない我々製造業も、事業環境の変化に迅速に対応していかなければなりません。世の中のニーズに柔軟に対応し、「おいしさと健康」をベースとしたPBFで、2021年もさまざまな社会課題に向きあっていきたいと考えております。
本年も、お客様から信頼され、選ばれる会社となるべく、全社一丸となって努力する所存でございます。引き続き、一層のご指導、ご支援を賜りますようよろしくお願い申し上げます。