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大豆ペプチドとは

ペプチドはアミノ酸より吸収が速い?

図1
タンパク質、ペプチド、アミノ酸の吸収

 タンパク質はアミノ酸が幾つも繋がったものです。一方、ペプチドは、一般的にタンパク質の消化過程でできる中間産物といわれています。しかし、厳密にはアミノ酸が2つ以上繋がっているものがペプチドと定義され、タンパク質との境界線は曖昧です。このように、多くのペプチドが存在する中で、アミノ酸より吸収が速いことが報告されているペプチドはアミノ酸が2つ繋がったジペプチドと、3つ繋がったトリペプチドです 1)。これは、小腸に発現し、ジ・トリペプチドをペプチド態のまま細胞内に輸送するためのペプチドトランスポーターが存在するためです 2)。アミノ酸がアミノ酸トランスポーターを通して1つずつ吸収されるのに対し、ジ・トリペプチドはペプチド態のまま吸収されます(図1)。
 また、ペプチド輸送はアミノ酸輸送と異なり、多くのアミノ酸をほぼ等しく吸収するのに適しています。ある種の疾患によって腸粘膜の吸収能が低下している状態でもペプチドの吸収は保たれるので、成分栄養剤の窒素源としてアミノ酸よりも有効と言われています 3, 4)

 不二製油の大豆ペプチドは、独自の酵素分解技術により、遊離アミノ酸含量が低く、吸収性に優れたジ・トリペプチドを高含有しながら、ペプチド特有の苦み、旨みを抑えています。
 大豆ペプチドの易吸収性は、同一アミノ酸組成を有する大豆タンパク質、大豆ペプチド、アミノ酸混合物を同一被験者に摂取してもらい、静脈血中のアミノ酸濃度の継時的変化を指標にして評価しました 5)。なお、この研究に用いられた大豆ペプチドは、ゲルろ過分析により分子量分布から推測されるジペプチド及びトリペプチド含量(分子量500以下)が72%、アミノ酸分析機で測定した遊離アミノ酸含量は8%以下です(図2)。

図2
ゲルろ過分析による大豆ペプチドの分子量分布

参考文献5より抜粋。
矢印は分子量マーカーから計算された分子量を示す(単位はDa)。

 図3に一例として必須アミノ酸の継時的アミノ酸濃度変化を示します。吸収グラフのピークの高さから、大豆ペプチドの吸収性の速さがわかります。さらに、継時的血中アミノ酸濃度変化から求められた初期吸収速度からも、大豆タンパク質及びアミノ酸混合物に較べて、大豆ペプチドの吸収性が優れていることが明らかです(図4)。特にこの傾向は、分岐鎖アミノ酸や芳香族アミノ酸で顕著でした。なお、この研究成果は、Food Science and Technology Research 誌において2008年に論文賞を受賞しました。

 また、これまで、経口摂取された大豆ペプチドは主にペプチドトランスポーターを介して吸収され、アミノ酸に分解されると考えられてきました。しかし、近年、大豆ペプチド由来の生理活性ペプチドが腸管でアミノ酸に分解されることなく、血中に移行することが報告されています 6)

図3
大豆タンパク質、大豆ペプチド、アミノ酸混合物を摂取した場合の経時的血中アミノ酸濃度変化

参考文献5より抜粋(一部改編)。
大豆タンパク質、大豆ペプチド、アミノ酸混合物、およびプラセボ摂取後の経時的血中アミノ酸濃度変化。一例として必須アミノ酸の結果を示す。

図4
大豆タンパク質、大豆ペプチド、アミノ酸混合物を摂取した場合の各アミノ酸の初期吸収速度

参考文献5より抜粋。
初期吸収速度は、摂取後(0 min)から血中アミノ酸濃度のピークに至る30から40minの間で、濃度上昇に直線性の得られた5から25 minの傾きとして定義する。異なる文字間で統計学的有意差あり。

 このように、以降ご紹介する大豆ペプチドの生理機能は、アミノ酸吸収の速さだけでなく、生理機能ペプチドもしくはその複合効果によるものと推測されます(図5)。

図5
推測される大豆ペプチドの生理機能発現メカニズム

参考文献

1.
Craft I. L., Geddes D., Hyde C. W., Wise I. J., Matthews D. M.: Absorption and malabsorption of glycine and glycine peptides in man. Gut. 9, 425-437 (1968).
2.
Adibi S. A.: The oligopeptide transporter (Pept-1) in human intestine: biology and function. Gastroenterology. 113, 332-340 (1997).
3.
Adibi, S. A., Fogel, M. R. and Agrawal, R. M.: Comparison of free amino acid and dipeptide absorption in the jejunum of sprue patients. Gastroenterology, 67, 586-591 (1974).
4.
Tanaka, H., Miyamoto, K., Morita, K., Haga, H., Segawa, H., Shiraga, T., Fujioka, A., Kouda, T., Taketani, Y., Hisano, S., Fukui, Y., Kitagawa, K., Takeda, E.: Regulation of the PepT1 peptide transporter in the rat small intestine in response to 5-fluorouracil-induced injury. Gastroenterology, 114, 714-723 (1998).
5.
Maebuchi M., Samoto M., Kohno M., Ito R., Koileda T., Hirotsuka M., Nakabou Y.: Improvement in the intestinal absorption of soy protein by enzymatic digestion to oligopeptide in healthy adult men. Food Sci. Technol. Res., 13, 45-53 (2007). (obtained best paper award in 2008)
6.
Kovacs-Nolan J., Zhang H., Ibuki M., Nakamori T., Yoshiura K., Turner P. V., Matsui T., Mine Y.: The PepT1-transportable soy tripeptide VPY reduces intestinal inflammation. Biochim. Biophys. Acta., 1820, 1753-1763 (2012).