大豆たん白質の健康知識 基本編
大豆たん白質と特定保健用食品
人々の生活の多様化に伴い、生活のリズムやバランスがくずれがちになったり、食生活にもひずみが生じる人が増えています。また、日本人の平均寿命が驚異的に延びたことによって、世界でもまれに見るスピードで人口の高齢化が進んでいます。このような中、長年の生活習慣、特に食生活の乱れ(エネルギーの摂りすぎや栄養の偏り、欠乏など)によって起こる「生活習慣病」が問題になってきました。三大生活習慣病であるがん、心臓病、脳卒中をはじめとして、高血圧性疾患、糖尿病、腎臓病、高脂血症、骨粗しょう症などは、生活習慣が大きく影響する病気です。
日本は2005年に65歳以上の高齢者が人口の20%を越えました。今後2015年には人口の27%が、2050年には40%が65歳以上の高齢者になるとされ(注1)、生活習慣病や認知症、寝たきりになる人々がますます増えると予測されています。
厚生労働省では食事と生活のリズムのバランスから健康を考える「食生活指針」や、健康づくりによって明るい高齢化社会の実現を目指す「健康日本21」などのプロジェクトをスタートさせ、生活習慣病などの予防に力を入れてきました。
またこれに先立ち、日本では1991年に「特定保健用食品」制度が発足しました。これはアメリカ食品医薬品局(FDA)がヘルスクレーム(健康表示)制度を1993年に発足させる2年前のことです。特定保健用食品は不足しがちな栄養素を補うという考えからさらに一歩進んで、これを食べればこういった効果・効能を期待できると表示することが許可された食品です。その許可基準は厳しく、効果や安全性が臨床実験などで科学的に証明された場合にのみ、認められます。許可を受けた商品には「消費者庁許可」と書かれた許可マーク(図1)が付けられ、その食品のもつ効果、期待できる効能をはっきり表示することができます。
特定保健用食品の表示を許可されている食品群には、たとえば次のようなものがあります。
おなかの調子を整える食品
コレステロールが高めの人のための食品
血圧が高めの人のための食品
ミネラルの吸収に関わる食品
虫歯になりにくい食品
血糖値が気になり始めた人の食品
大豆たん白質を機能成分とした食品では、1994年4月に「大豆からあげ」が、コレステロールを低下させる特定保健用食品に許可されて以降、多くの商品が同じように許可されています。2011年3月現在の許可数は、大豆たん白質が27品目、β-コングリシニンが5品目となっています。
(注)
1. 国立社会保障・人口問題研究所、日本の将来推計人口(平成18年12月推計) 出生中位(死亡中位)推計