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大豆たん白質の健康知識 女性の健康編

ウエートコントロールと大豆たん白質

【1】ウエートコントロールは年代を問わず女性の関心事

 国民健康・栄養調査(2004年)で見ると、女性では50歳代で肥満者の割合が若干、増加に転じたものの、全体的にどの世代でも減少傾向にあります。特に20歳代、30歳代では低体重(BMI≦18.5)の人の割合が高く、20年前との比較では20歳代~40歳代で約1.5倍に増えています(図1、図2)。

図1
女性の肥満者(BMI≦25)の割合の年次推移
図2
女性の低体重(やせ)の者(BMI<18.5)の割合の年次推移

体重が重いのが肥満?

 肥満は単に体重が重いということではありません。体に余分な脂肪が蓄積していることです。肥満には皮膚の下に脂肪がたまる「皮下脂肪型肥満」と、内臓の周りに脂肪がたまる「内臓脂肪型肥満」があります。内臓脂肪型肥満の人は、糖尿病、高血圧症、脂質代謝異常など動脈硬化の危険因子を合わせもつ「メタボリックシンドローム」になりやすいことがわかってきました。

BMIは手軽にできる判定方法

 肥満の判定方法にはさまざまな方法がありますが、現在最も広く用いられているのはBMI(Body Mass Index)という国際的な体格指数です。BMIは次のような計算式で求められます。

 日本ではBMI25以上を肥満としています。これは、BMIの値と複数の生活習慣病が合併する率との関連を調べた結果に基づくものです(表1)。BMI22の場合の危険率を1とすると、25を超えた人では高血圧、高脂血症が合併する危険率が2倍になると言われています。
 BMIが25未満でも、おへその位置の胴回りが女性で90cm以上、男性で85cm以上の場合、また、体脂肪率が女性で30%、男性で25%以上の場合は、内臓脂肪型肥満や体重のわりに脂肪が多い隠れ肥満の可能性が高いとされています。外見的にはやせている若い女性にも、内臓脂肪型肥満、隠れ肥満が多いことが指摘されています。

表1
BMIと生活習慣病発生率

若い女性では「やせ志向」が問題

 20歳代、30歳代の日本女性は世界でもまれにみる低体重傾向にありますが、2002年国民栄養調査によると、自分の体型に対する自己評価について、男性は適正に評価している人が多いのに対し、女性は、現実の体型が「普通」なのに「太っている」と自己評価している人が少なくありません。このような傾向は1998年の調査よりいずれの年代でも増加しています(図3)。また15~19歳では「低体重」にもかかわらず「普通」と自己評価している人も多く見られます。このような「やせ志向」による無謀なダイエットで急激に減量すると(1か月に体重の5%以上)ホルモンのバランスが崩れ、生理が不順になったり止まったりして、更年期障害と同じような症状を示すことがあります。また、現在の健康への悪影響だけでなく、将来、骨粗鬆症になる危険が高まります。

図3
現実の体型別体型に対する自己評価(女性)

【2】バランスのよい食事と健康的なウエートコントロール

 太り過ぎの人、隠れ肥満の人は、バランスの良い食事を摂り、標準体重を目安としてウエートコントロールを心がけることが大切です。

ダイエットの基本は必要量のたん白質摂取

 減量の原則は、日常生活に必要なレベルより少ないエネルギーの食事にして、体脂肪をエネルギーとして使うことです。そのための食事は、(1)低エネルギーであること、(2)たん白質、ビタミン、ミネラルが不足しないこと、(3)長期間継続できること、が基本になります。
 特にたん白質を必要量きちんととることは重要です。たん白質には動物性と植物性がありますが、カロリーの高い脂肪を一緒にとらないよう、植物性たん白質を利用することが望ましいとされます。

大豆たん白は良質なたん白質

 ヒトに必要な20種類のアミノ酸のうち、体内で合成されない9種類の必須アミノ酸をすべてバランスよく含み、体内で効率良く利用できるのが、栄養価の高い良質なたん白質です。
 植物性たん白質の代表である大豆たん白質は、これまで牛乳や卵のたん白質よりも、栄養価が低く見られていました。しかし、最近改善された栄養評価法である「たん白質消化吸収率補正アミノ酸スコア(PDCAAS)」(注1)で測定すると、大豆たん白は、すべての必須アミノ酸をバランスよく含み、牛乳(カゼイン)や卵(卵白)のたん白質と同様、スコア1.00の最高点であることが分かりました(図4)。

図4
各種食品たん白のたん白質消化吸収率補正アミノ酸スコア(PDCAAS)

Protein Quality Evaluation, Report of the Joint FAO/WHO Expert Consultation, FAO/WHO, 1989

大豆たん白質の肥満予防効果

 大豆たん白質には、肥満に対してさまざまな効果があることがわかってきました。
 実験では普通のラットと遺伝的に肥満しやすいマウスに、それぞれ高カロリーのえさを与え、肥満させました。その後、大豆たん白または、カゼイン(牛乳のたん白)35%を含むダイエット食を、3~4週間与えて体脂肪を比較したところ、大豆たん白食を与えたラットやマウスの体脂肪率は、カゼインを与えたラットやマウスにより明らかに低くなりました(図5)。このことから、大豆たん白質はカゼインより体脂肪低減効果が大きいと考えられます。
 また、標準体重を20%以上オーバーしている女子学生を2グループに分け、21日間、一方には大豆たん白食を、他方にはカゼイン食を食べてもらい、体重の変化を観察する実験も行われています。図6はその結果です。最初の10日間はほぼ同じ減少カーブをとりましたが、大豆たん白食のグループはそれ以降も体重が減少し続けたのに対し、カゼイン食のグループはほぼ横ばいになり、大豆たん白質のダイエット効果はカゼインに比べて大きいことが示されました。

図5
大豆とカゼイン食を摂取した場合の体脂肪の比較
図6
肥満者に対する大豆たん白、及びカゼインの体重減少効果

中性脂肪、内臓脂肪を減らすβ-コングリシニン

 大豆たん白質の主要成分の一つであるβ―コングリシニンには中性脂肪、内臓脂肪の低減効果があります。β―コングリシニンの、ヒトに対する効果を調べた実験についてご紹介します。実験方法は通常の食事に、1日5gのβ―コングリシニンを摂ってもらい、血中の中性脂肪と内臓脂肪量を調べるというものです。
 その結果、同量のカゼインを摂取したコントロール群(図中では「プラセボ群」)に対し、β―コングリシニンを摂取した群は、図7のように実験開始後4週間で、血中の中性脂肪が有意に減少しました。これについては血中の中性脂肪値がもともと高い人(150mg/dl以上)と適正範囲(150mg/dl未満)の人で比較すると、β―コングリシニンは中性脂肪値が高い人のみに作用することも確認されています。中性脂肪も体にとっては欠かせない成分なので、適正範囲内の人には特に影響をもたらさないということは食品成分として重要な要件です。
 次に内臓脂肪に対する効果を見たところ、表2のように実験開始20週以降でβ―コングリシニン摂取群に有意な減少が確認できました。この場合も内臓脂肪が多い人ほど減少率が高いことがわかっています。

図7
血中中性脂肪の推移
表2
大豆β-コングリシニン投与前後における内蔵脂肪面積の変化

 さらに、女性28人を対象に、タブレット状の試験食品(β―コングリシニンの含有量5.28g)を8週間食べてもらった実験では、でんぷんを摂取した群に比べ、β―コングリシニン摂取群に有意な体脂肪の減少が認められました。このことは、1日当たり5gという少量のβ―コングリシニンを摂取することで、体脂肪の蓄積が抑制される可能性を示唆しています(注4)。β―コングリシニンを5g摂取するには、大豆たん白パウダー(分離大豆たん白)では25~33g、大豆・きなこでは90~100g、豆腐・豆乳では800~1000gが目安になります。

たん白質が空腹感を抑える

 たん白質を多く含む食品を食べると、満腹感が長時間、持続するためダイエットを続けやすいといわれています。実際、高たん白食をとった人の24時間以降のカロリー摂取量は、低たん白食を摂取した人に比べ、平均12%少ないという研究があります(注2)。そしてこの満腹感は基本的にどのたん白質でも同程度、得られることが分かっています(注3、4)。
 ローカーボ・ハイプロテイン・ダイエット(低炭水化物高たん白質ダイエット)は、簡単にいえば、糖質は脂肪として蓄積されやすいので、炭水化物を主体とするごはんや精製された小麦粉、砂糖を控えるというダイエットです。大切なのは、糖質を減らす代わりに、脂質やたん白質中心の食生活にし、脂質分解に必要な栄養を多く摂取して栄養のバランスをとることです。
 食べ物を食べた後の血糖値の上がりやすさの指標としてはグリセミックインデックス(GI)が知られていますが、ご飯のようなGIの高い食品をとると、血液中の血糖値は急激に上昇し、その後すぐに下がります。これは空腹感を刺激します。これに対して、大豆たん白のようなGIの低い食品の場合、血糖値の上下がより穏やかなため、空腹感はそれほど刺激されません。実際、空腹感・満腹感に関する調査でも、GIの低い食事はGIの高い食事に比べ、満腹感を与え空腹感を減少させることが示されています。大豆たん白のように、高たん白質で、GIの低い食事をある期間続けることによって、カロリー摂取量が抑えられ、体重減少が期待できます。
 大豆たん白質は多くの健康効果があります。また、大豆たん白質を利用した食事は、満腹感を高め食欲を抑える効果が持続し、ウエートコントロール、肥満防止、ダイエット効果の高い食事といえます。

(注) 1. PDCAAS:Protein Digestibility Corrected Amino Acid Score
WHO(世界保健機構)とFAO(国際連合食糧農業機関)が採用している評価方法
2. Eisenstein J, Roberts SB, Dallal G, Saltzmann E. High-protein weight-loss diets:are they safe and do they work? A review of the exper imental and epidemiologic data. Nutr Rev 2002,60:189-200
3. Lang V, Bellisle F, Oppert JM, Craplet C, Bornet FRJ, Slama C, Guy-Grand B. Satiating effect of proteins in healthy subjects: a comparison of egg albumen, casein, gelatin , soy protein , pea protein and wheat gluten. Am J Clin Nutr 1998; 67:1197-204,
4. Lang V, Bellisle F, Alamowitch C, Craplet C, Bornet FRJ, Slama G, Guy-Grand B. Varying the protein source in mixed meal modifies glucose, insulin and glucagon kinetics in health men and has weak effects on subjective satiety and fails to affect food intake. Eur J Clin Nutr 1999; 53:959-65.